日本のプログレッシブロック 新●月

日本のプログレッシブロックバンド最高峰「新月」のファンサイト 「新月ファンサイト〜新●月」 管理人が、「新●月」を紹介するブログです
 
2005年「Metagaia」Phonogenix
2005年10月30日発売。全編津田さんの演奏によるインストルメンタルのソロアルバムです。
Phonogenixについては、
http://scn-net.easymyweb.jp/member/shingetsu-koro/?view=category&category_code=1こちらの【Phonogenix

http://shingetsu-koro.whitesnow.jp/phonogenixalbum.html
を読んでください。

Phonogenixが音楽を担当していた映像作品「ちきゅうのきもち」「霊峰富士」からの作品も含まれています。

「ちきゅうのきもち」に使われていた『HOME』は地球そのものの事で、それを年齢を経た女性に例えています。アルバムはすべてインストルメンタルですが、『HOME』には、唯一歌声が入っています。

これは北極圏に住んでいた100歳くらいのおばあさんが歌った子守歌だそうです。津田さんがこのテープを聴いた時、その方はすでにこの世にはいらっしゃらなかったそうですが、津田さんは、この子守歌を聴かれた時、唐突に涙が出てこられたとか。
同時に、曲の構造が勝手に生まれたそうです。
そして、こういうことは新月でもよくあることなのだとおっしゃっていました。

このアルバムの発売と同時に記念ライブが2005年10月30日、新月メンバー四人で行われました。
http://shingetsu-koro.whitesnow.jp/phonogenix103002.html


写真にある津田さんと花本さんのサインは、会場販売特典です。
ライナー内側のモノクロ写真は津田さんご自身がオーストラリアで撮影されたものだそうです。
『WATER HARP』では、花本さんがピアノで参加されています。

アルバム全編を通して、生命の脈動を感じます。是非、聴いてみてください。



収録曲

1.DIVINITY RISING
2.COSMO-SPHERE
3.THE STAR OF D.O.G
4.PSYCHE OF CLOUD
5.THE CONFIGURATION DANCE
6.A SIGNAL GLOWS IN THE DARK
7.HOME
8.WATER HARP







2011/06/16 7:16:51|新●月コンサート
2006年 「新●月コンサート」 遠き星より
2006年4月8日・9日の両日、新●月コンサートが原宿クエストホールにて行われました。
コンサートタイトルは「遠き星より」。

「新●月●全●史」に収録された新月オリジナルメンバーによる未発表曲を含む新録音アルバムと同じタイトルです。
8日土曜日は19時、9日日曜日は14時の開演でした。

ちらし中央の月には『殺意への船出PART2』の歌詩、「遠い星で待つ君のために歌う」の言葉が書かれています。

出演は、もちろん新月オリジナルメンバー北山真さん(Vocal)花本彰さん(Keyboad)津田治彦さん(Guitar/Vocal)鈴木清生さん(Bass)高橋直哉さん(Drums)。

そして、ゲストプレイヤーに幻の新月メンバー清水一登さん(winds/Keyboards)で、「新月/新●月」でもサポートで参加している小久保隆さん(Vocal/Keyboards/Percussion)が参加しています。

第一期新月メンバーで、メジャーデビューと同時にマネージャーに転向された遠山豊さんが運営されているコンサート運営会社がプロモーター、ミキシングは、デビューコンサート芝ABC会館と同じく、日本のトップミキサー志村明さんです。


新月オリジナルメンバー5人でのコンサートは、1980年4月3日のラフォーレ原宿(この時のサポートメンバーは、津田裕子さんです)以来、実に26年ぶり、四半世紀を超えてのコンサートです。

当初、お寺の境内をコンサート会場にして、本物の鐘の音の演出等のアイディアを盛り込んだ企画もあったそうですが、音響効果等諸般の条件から、ホールでの開催となりました。


ステージは、正面にボーカル北山さん、右に向かって、津田さん、花本さん、その奥がサポートメンバー清水一登さん、正面左奥に鈴木さん、その左に高橋さん、高橋さんの奥がサポートメンバー小久保隆さんという配置でした。

北山さんは、グレーのパンツにジャケット、真っ赤なシャツに、ベレー帽にマフラーを片巻きにして目元ブルーのメイクで登場しました。
一曲目は、個人的にコンサートの前から絶対この曲だと思っていたベースを聴くためと言っても過言ではない、と花本さんがおっしゃっている『白唇』でした。

また、『白唇』は、鈴木さんご自身が一番お好きな曲だそうです。
この曲が作られた当初は、鈴木さんのベースのフレーズと高橋さんのキックのタイミングが違っていたそうですが、高橋さんのキックのアクセントがかっこいいので、鈴木さんは、ベースも全部それに合わせる事にして、その合間を埋めるようにしてメロディーを組み立てて曲は完成しました。

また、この曲は、津田さんと花本さんが8小節づつ繋げて作っていった曲で、津田さん的であり、花本さん的である不思議な曲です。
『白唇』がどのように作られたか、は、「新●月●全●史」の「新月/新●月」に書いてありますので、興味のある方は読んでみてください。

バックの三面スクリーンには雪が吹雪いています。
北山さんの変わらない歌声、小久保さんの綺麗な声。夜明けのカケラが砕けて雪の結晶となって、目の前ですーっと縦に流れて落ちてゆくような曲が目の前で演奏されました。

そして、絶対二曲目もこれ!と心の中で決めていた『雨上がりの昼下がり』です。

79年当時の新聞記事にも書かれていますが、アルバムでも聴くたびにそう感じていた、マグリットの絵を見るような感覚を、実際のステージを見てさらに強く感じました。

アルバムでは、レコーディングディレクター森村寛さんがソプラノサックスを吹いています。新月曲の中で唯一、本物の管楽器が使われた曲です。
今回のライブでは、清水一登さんの美しいクラリネットを聴く事が出来ました。


ラストでは、北山さんがジャケットの内ポケットから、おもむろに、タクトを取り出して、客席に背を向けて、メンバーに向かってオーケストラの指揮者のパフォーマンスが行われました。
「子供の頃から人前で指揮をするのが夢でした」とのMCです。

そして、「早いけれど、後半になると余裕がなくなるから」、という意味のことを言われて、いきなりメンバー紹介になりました。ステージで、メンバーの名が、北山さんの口から呼ばれます。新●月のライブを観ているんだという実感が嬉しさと共に沸いてきました。

次の曲は、知る人ぞ知る新月の隠れた名曲『砂金の渦』です。
この曲は、「新●月●全●史」にも収録されておらず、1995年に発売されたアルバム「セレナーデ+新月 スペシャルコレクション 科学の夜」でのみ、聴く事が出来ます。

歌詩は、歌詩カードでのみ読む事が出来ますので、このページの下にリンクを張ってありますので、歌詩カードをご覧ください。

そして、『砂金の渦』が終わりかけの頃、ステージ左側に、なにやら動きが・・・と思うとそこにちゃぶ台がおかれ、劇団インカ帝国による『不意の旅立ち〜寸劇「タケシ」』が演じられました。

文学バンドのメンバーでもある、時任顕示さん演じるパパが
「地球は青かった、のガガーリンが来日するぞ」
と日本経済新聞を読みながら言うと、よひら青子さんのママが
「あらガガーリンが尾道に来るんですか?」
パパ「ん?」
ママ「尾道に来んかったら日本に来た事にはならんけぇねぇ!」
と突っ込んだりと、短い劇でしたが楽しくまた迫力ある演技に大笑いしながらも釘づけになりました。

そして、スクリーンに、海と小型船が映し出されます。
『不意の旅立ち』の曲が始まりました。

この三大大曲の一つは、北山さんが一番お好きな曲です。
"中盤から後半にかけての畳み掛けるような演奏は空前絶後"と、おっしゃっていました。

すさまじいぶ厚くかつアップテンポな演奏が繰り広げられ、タケシが海へとぐるぐる吸い込まれていく抗いようがない力を、真っ赤なシャツ一枚になった北山さんの、大振りのパフォーマンスによって、わたしも自身もタケシと同じように体感し、タケシと同じように海に飲み込まれていくような感覚がありました。
圧巻です。

曲が終わると北山さんのMCです。
「『島へ帰ろう』は、複雑なコード進行にも関わらず、美しいメロディの曲ですが、なぜかずっとレゲエバージョンで演奏されてきました。なぜそうなったかわかりませんが、今回、本来の姿に新録音もされて、花本も喜んでいます」、という意味のことを言われました。

2005年新録音イギリスの若者バンド風アレンジ?『島へ帰ろう』が演奏され、ボックスのCD同様、オルガンの美しさに、酔いました。メンバー皆さん、本当に気持ちよさそうに演奏されていました。

曲が終わると、おもむろに、北山さんが、右端に置かれたピアノの前に座り、北山さんのファーストソロアルバム、「光るさざなみ」から『武道館』が弾き語りで演奏されました。
新●月時代のこの名曲をライブで聴く事ができて、これは本当に嬉しいサプライズでした。

それから、にこにこと、鈴木さんが正面に出てきてのMCです。
にこにこと、まずは額のところで手をかざして、会場全部を見渡され、それだけで、ほのぼのとあたたかい気持ちになりました

そしてさらに癒し系鈴木さん独特の、のんびりとした口調で「ちょっと質問です。この中で一度でも新●月のライブを見たことがある人手をあげてくださ〜い」と客席に向かって質問がありました。

わたしは思わず小学生のように勢い良く手をあげたのですが、鈴木さんが「殆どの方が始めてなんですね」とおっしゃったので、リアルタイムファンでも、ライブに行ったことのない方が多いのかな、と思いました。


そして、新月の新曲、インストルメンタルの『生と死』の演奏が始まりました。
先ほどまでのあたたかい、ゆったりとしたキャラクターの鈴木さんからは信じられないような太く重い大音量がステージを席捲します。

ドライバーでベースの弦を奏でる、というより打ち出されるような鈴木さんの演奏の勢いに、今まで座って演奏されていた津田さんが、立ち上がってギターを演奏しはじめ、鈴木さんに対峙するようでした。

そして鈴木さんのベースにメンバーの演奏がすさまじい勢いで絡みつき、そこをどっしりと支える高橋さんの重い、重いドラムがあって、そこは、もう、ステージではなくて、砂塵を吹き上げる強い風が吹く中近東の砂漠に思えました。


この曲が終わると、花本さんが、さきほど北山さんが弾いていたピアノの前に座り、「新●月の代表曲の一つに『殺意への船出パート2』がありますが、セレナーデ時代の『殺意への船出1』が演奏されるのは始めてで、『殺意への船出2』と初公開のメドレーで演奏します」という意味のMCがありました。


静かな波をたたえる海の映像と、小久保さんが奏でる波の音。
静かな、静かな、花本さんの美しいピアノ。
そこへ、グレーのニットに着替えて、目隠しをしたままの北山さんが、ゆっくりと、マイクに近づいてきます。

花本さんのピアノ、津田さんのギターが静かに静かに流れ、北山さんが、歌い終わって、去っていく脇から、清水さんの、バス・クラリネットが、重く静かに響き、その低音がさらに静寂を感じさせました。
本来、音がないはずの静寂が、音によって表現されています。
夜・海・星空を超えて・・・。

そして・・・


『殺意への船出PART2』のイントロが鳴り響き、三面スクリーンには、巨大な惑星が浮かびあがり、その右後方にまた小さな惑星が映し出され、前面の巨大な惑星が遠ざかり小さくなっていき、姿が見えないまま、北山さんの歌声が聴こえてきます。

当時、この『殺意への船出PART2』をファーストアルバムに入れなかったのは、この曲が未完成で、10代の頃の作品でもあり、アレンジに不満があったため、という事でしたが、30年を経て新たなアレンジで演奏された『殺意への船出PART2』。

ここで、津田さん・花本さんから、以前この新録音版『殺意への船出PART2』について、いただいたコメントをそのまま掲載してしまいます。

津田さん:「新録のイントロは白人的なものではないんです。
ありゃ、イランの弦楽器奏者をトラックで集めてきて、古い寺院遺跡とかでマイク立てて、せーので録音しようぜ、、
というイメージなんですね。
ついでに、「生と死」も中東の道端でなごんでいるオヤジ連中が遊んでる感じをエレクトリックでやってますのイメージ。」

花本さん:「たしかにあのイントロは弦の鳴りのいいイランのオケにやってもらうことを想定しつつアレンジしたものです。
イスラームの世界でもバッハ以降、アカデミックな音楽教育がさかんに行われましたが、自然にモノフォニックな民族音楽に先祖がえりしてしまった前科がありますね。
オケがやっても大衆酒場(笑)。」

ここで演奏された『殺意への船出PART2』は、すさまじい厚さとエネルギーを従えて、何度も、何度も光速の衝撃をわたしに与え、ゆさぶり、打ちのめしてきました。

北山さんの星男の金銀マントは、27年前の芝ABCでたった2日間使われただけで眠っていた、当時のマントだそうです。
そして、中で豆電球が光る、星男のかぶりものは、今回のライブのために自作されたもので、当時より、大きく重いそうですが、本当に不思議な光景でした。

カブリモノの中の銀板に北山さんの顔が映って、北山さんの向こうにまた北山さんの顔があります。
多元世界がそこにありました。

「遠い星で待つ君のために、歌う」
このマントにすみれ色のライトがマントに当たった時、光が砕けて何色もの細かいプリズムのような輝きが燃えるように美しい瞬間でした。

79年の芝ABCを観た人は、当時、この同じ美しさを観たのかと思うと、それが甦ったことにも、感動しました。

「Live1979」に収められている『殺意への船出PART2』が、27年たって、本人達によって、当時をさらに凌駕するパワーで、演奏されていました。
このスケール。何なのだろう、このバンドは。新●月という名をいただく、このメンバーたちは、何者なのだろう、そんな思いを抱きました。


この『殺意への船出』は、未だ未完成の曲です。ファンサイトへ掲載されている『殺意への船出PART2』の解説で、花本さんご自身が「いかにもパート3がありそうだ」と、おっしゃっています。

のちに、北山さんより『殺意への船出』はパート5までの構想が当時からあり、未だ未完成の曲との解説をいただきましたので、転載します。北山さんの解説によると、このPART2は、実はPART4だそうです。

「PART1が殺意への船出そのもの。
PART2は殺意を手に入れようと旅する少年の苦悩。
PART3は殺意を手に入れ、地球を終末へと向わせた何者かを攻撃(歌になり難いのでインストかも)。
しかしM20(射手座の三裂星雲)の王女が登場し、「そのナイフを振り下ろしてはなりません」。
この一言でPART3はカットアウトされ、あのオルガンのイントロに導かれPART4へ。
生きる意味を見失った男には瞳がなくなり表情がなくなる、ただ王女への想いだけが……。
という構想でした。」


津田さんのMCです。
「殺意2はとても長い14分もの曲でした。この曲は、わたしが新月に入る前からあった曲です。
今回のボックス制作で、まだまだこの曲は未完成だということに、みんな気付いてしまいました。まだまだ、この曲は進化し続けます。

次は赤い目の鏡という曲で、中近東のイメージが入っています。
先ほど演奏された『生と死』も中近東のイメージで、本来はこの『赤い目の鏡』のイントロにしようと作られたのですが、あのように長い一つの曲となりました。」

三面スクリーンに、花本さんが当時からお持ちの、うさぎのオルゴールの映像と音楽が流れ、かわいいうさぎがこちらを向いて動きを止めた途端、映像と音もぴたりと止み、それから、三面スクリーンには、赤い砂漠の映像が映し出されました。

新録音のアルバム曲順どおりに、北山さんが歌われるのか、それとも、かつてと同じように『鬼』のお着替え用に、津田さんが歌われるのかといろいろ予想して、『鬼』はきっと最後の演奏になると思うので、これは絶対津田さんが歌われるのでは、と思っていたのでしたが、やっぱり!

津田さんが作曲で花本さんが作詩という曲ですが、花本さんは、津田さんの曲を聴いた瞬間、中近東の砂漠がはっきりと迫ってきて、見えたものをただ誇張して書き写せば良かったそうです。


津田さんのきれいな声で、不思議なお話が語られ
津田さんのギターが、不思議な旅へ連れて行ってくれました。

一見ファンタジーな風景の曲に思えますが、この「山羊」とは何か、を考えると新月曲の歌詩がいくつもの意味を持っている事に気付かされます。


そして、三面スクリーンにLIVE1979の裏ジャケにもあるように、障子が映し出されます。
客席に、鐘の音が鳴り響きます。

キーンコーンキーンコーンキンコンキンコンキンコンキンコン・・・そして、津田さんのあのギターが。

『鬼』だ、『鬼』だ『鬼』だ。
『鬼』だ!

真っ向からの風に逆らいながら、被衣を頭上に掲げて、北山さんがマイクに向かってすり足で歩いてきます。
白い鬼装束に、龍笛に見たてた扇。

再び劇団インカ帝国のお二人が登場し、異形の姿の時任さん、よひらさんが、鬼の爪で北山さんを、誘い、舞台左端に置かれた棺桶へ、閉じ込めてしまいます。
当然台詞などない、インカのお二人の演技に、俳優とか女優ではなくて、「役者」という言葉が浮かびます。

そして、再び棺桶が開けられ、輝く光の中から、北山さんが小面をつけて、棺桶から出て、面をつけたまま歌い、去っていきました。

ステージで、一度北山さんがすこし下向いたとき、少女の面である小面が笑みを浮かべたままぞっとするような顔に見えた時、戦慄しました。

このコンサートでの『鬼』の演奏のすさまじさを、言葉という媒体でどう表現したら、わたしには全くわかりません。

見た、見てしまった。


『鬼』とはなんでしょう。?


表現しようのない熱気溢れる余韻を観客席に残して、メンバー全員が退場しました。


そしてアンコールを求める拍手の嵐です。

『科学の夜』 がいきなり始まります。
高橋さんが、ドラムを叩いている時一番陶酔感を感じる、と言われていた、この曲に、新●月はロックバンドなんだ、とあらためて思いました。

そして、当時は滅多に聞く事が出来なかった、高橋さんのMCです。
清水さんが、新●月加入を快諾されて、そして加入後初ライブ直前に、入院されてしまい、幻の新●月メンバーだったというエピソードや、ブックレットにあるように「わすれもの」を取りに来ました、という意味のことを言われ、いよいよ2日間のコンサートの終わりが近づいてきた事を告げられました。

「ものには、終わりがあるんです」
と、高橋さんの締めくくりの言葉に、なぜかさびしさより、心地の良い、始まりのような感覚がよぎりました。

『せめて今宵は』と、高橋さんによって紹介されました。

シンプルで美しいメロディを持った曲を作りたいと思った花本さんが、深夜アップライトの小さなピアノで、丁寧にすこしづつ、作られたというこの曲に、また聴くわたしも思いを籠めて、聴き、会場両側の壁面に小さな、灯りがたくさん灯され、ボックスのDVDに収められていた、あの北山さんのパフォーマンスに見入りました。

「新月/新●月」を聴いて、『せめて今宵は』を聴き終わると、またアルバムの最初に戻り、『鬼』を聴きたくなってしまい、また『鬼』を聴き、そして『せめて今宵は』を聴き終わると、また『鬼』へと戻ってしまう、あの感覚が、ライブにもありました。


でも、高橋さんが言われたように、ものには、終わりがあります。

新●月の26年ぶりのコンサートが、終わりました。
なのに、何かが終わった、という感覚はまるでなくて、ただただ、幸せな幸せな感覚がいつまでもいつまでも、わたしを満たしていました。


素晴らしい、素晴らしい、2日間のコンサートでした。



セットリスト
8日・9日共に演奏曲・曲順は同じです(敬称略)

○北山真MC
●白唇
●雨上がりの昼下がり
○北山真MCメンバー紹介。
キーボード:花本彰
ギター:津田治彦
ベース:鈴木清生
ドラムス:高橋直哉
ボーカル:北山真
キーボード・パーカション: 小久保隆
キーボード・クラリネット・バスクラリネット:清水一登

●砂金の渦
●劇団インカ帝国寸劇 タケシ
●不意の旅立ち 
○北山真MC 島へ帰ろう 新アレンジ紹介
●島へ帰ろう
○北山真MC
●武道館
○鈴木清生MC
●生と死
○花本彰MC
●殺意への船出PartT
●殺意への船出partU
○津田治彦MC
●赤い目の鏡
●鬼
アンコール
●科学の夜
●せめて今宵は

開演前BGM
北山 真:
プログレ全盛期にヒットチャートを賑わしたポップスを選曲しました。
編集中にホワイトプレインズを再評価し、一番多くの人が聞くであろうタイミングに合わせました。
まあこのへんは「こだわり」ってやつですね。

■新月客入れ用BGM「68〜72」
1 サイレンス イズ ゴールデン  トレメローズ
2 サンシャイン スーパーマン  ドノバン
3 リリーの面影  ザ フー
4 ストレンジ ブルー  クリーム
5 ビコーズ  デイブクラーク5
6 ミセスブラウンのお嬢さん  ハーマンズハーミッツ
7 トレイシー  ザ カフリンク
8 笑って!ローズマリーちゃん フライングマシーン
9 恋のかけひき  ハミルトン・ジョーフランク&レイノルド
10 Step Into A Dream ホワイトプレインズ
11 恋に恋して  ホワイトプレインズ
12 In A Moment Of Madness ホワイトプレインズ
13 Ive Got You On My Mind  ホワイトプレインズ
14 グリーンタンブリン レモンパイパーズ (初日ここで登場)
15 イエローリバー  クリスティ
16 シルバームーン マイクネスミス&ファーストナショナルバンド
17 恋は二人のハーモニー グラスルーツ
18 ビレッジグリーン キンクス
19  サニーアフタヌーン キンクス(2日目たぶんここで登場)

花本 彰:
えー、終演後のBGMは僕が担当。
1曲目は「つらい時はいつも、沢山の友だちが太陽と優しさをもってやってきてくれる」という内容の歌詞でメンバーとファンのみなさんにあてたメッセージ。
2曲目は「幸せは花びらに宿る朝露のようにはかなく、悲しみは永遠に続く」という美しい曲。言い換えれば悲しい日常の中にもたくさんの幸せがかくれているということです。

■新月終演後BGM
1 LAMITIE  フランソワーズ・アルディ
2 A Felicidade マリア・ルイーザ・ジョビン(曲:アントニオ・カルロス・ジョビン


コンサートの写真はサイト内に掲載してあります。

「奇跡の二日間」新●月コンサート写真〜北山真セレクト


新●月コンサートリハーサル


新●月歌詩カード
1979年に芝ABC会館ライブ会場で配布されたもので、歌詩・イラスト共に、花本さんの手書きです。
新●月詩集







2011/06/16 7:16:15|新●月アルバム
2004年「新●月Live1979」
1979年7月25日、26日に芝ABC会館ホールで行われた、「新月/新●月」発売記念コンサートを収録したライブ・アルバム「新●月Live1979」(shingetsu LIVE 25,26july 1979,ABCkaikan hall Tokyo)です。

新月オリジナルメンバー北山真さん(vo)、花本彰さん(key)、津田治彦さん(G)、鈴木清生さん(Bs)、高橋直哉さん(Ds)、キーボードサポートはアルバム「新月/新●月」と同じく小久保隆さんが参加しています。
第一期新月メンバーだった遠山豊さんはマネージャーに転向しています。

ミキシングは森村寛さん。
プロモーションビデオと、このコンサートのスタイリストは土屋昌巳さんの奥様です。


このアルバムは、2003年から計画されていた新月ボックス「新●月●全●史」制作のため、当時の音源をメンバー及び関係者が発掘中、芝ABC会館ホールでのコンサートを収録した、前回の「赤い目の鏡」より音が良質の、当時のレコーディングディレクター森村寛さんが所有していた、マイク録りの1/4オープンデッキで収録したものをコピーしたカセットテープが発見され、2004年9月5日に、ボックスに先駆けて発売されたものです。

25年前の音源のマスタリング作業は、花本さん、津田さん、北山さんの立会いのもと、荻窪のスタジオJEOにて、エンジニア竹花直樹氏により行われ「ノイズ除去を行うと音楽的成分も一緒に取り除かれるというジレンマ」の中完了したそうです。

ノイズレベルや定位の揺れを「ProTools」のシステムで約80箇所を調整し、ノイズを極力取り除き、「赤い目の鏡」の時はまだそのようなシステムもなく出来なかったため、この「LVE1979」は、前作よりも、良質な音になっており、また同じライブのアルバムではありますが、前作「赤い目の鏡」は客席からのオーディエンス録音、本アルバムはオープンデッキからカセットテープにコピーしたものと、音源自体も異なるため、別物の仕上がりとなっています。

また、「赤い目の鏡」でカットされている『せめて今宵は』が収録されていますが、このアルバムでは収録時間の関係で、『不意の旅立ち』がカットされており、全体のバランスのために、曲順が実際の演奏順と異なっています。

オリジナルアルバム「新月/新●月」の曲順構成は「夢-朝-昼-夜-夢」とひとめぐりしているように整えられています。

実際のコンサートもこの曲順の中に未発表曲が挿入された順番での演奏ですが、この、「新月Live1979」は実際のコンサート時と異なる曲順で、このアルバムの曲順構成を想像するのも楽しいかもしれません。

そんな意味でも、このアルバムは、メンバー自身が制作した、25年ぶりの、ある意味コンセプトアルバムに近い形ではないかと勝手に思っています。

このアルバムのデザインは花本さんご自身で、ジャケット写真は両面モノクロの『鬼』。
ライナーノートはなく、封入されているのは、このコンサートのPAセッティング図と、コンサートのモノクロの写真です。

わたしは残念ながら、このコンサートを観ていないのですが、文言がない分、この写真と資料を眺めながら、このアルバムを聴き、イメージを膨らませています。
また「赤い目の鏡」ではカットされているMCや拍手がこのアルバムには収録され、より臨場感があります。


このコンサートは、開演20分前からお寺の鐘の音が客席に流されていたそうです。
そして、5分遅れの18時35分、オープニング曲『鬼』が鐘の音に続いて演奏されコンサートが始まりました。
ステージには、当時最先端だった三面マルチスクリーンを導入し映像を映し出すという画期的なものでした。

観客席には、ジェネシスのマネージャー、ムーンダンサー、美狂乱のメンバーが観に来ていました。
ジェネシスのマネージャーは、この三面マルチスクリーンの映像をしきりに褒めていたそうです。


『鬼』、『朝の向こう側』、『発熱の街角』、『雨上がりの昼下がり』、『白唇』と、「新月/新●月」の収録順に曲が演奏され、それから、未発表曲『不意の旅立ち』、『少女は帰れない』、『赤い目の鏡』〜『殺意への船出PART2』(メドレー)が演奏され、そして再び「新月/新●月」の順番に『科学の夜』、『せめて今宵は』が演奏され、コンサートは終わりました。

アルバムデビューと同時のコンサート。
新人バンドのコンサートとしては異例の、千人という多数の観客を動員しました。

これから世界へと向けて出て行こうとする新月5人のメンバーのエネルギーとその高い演奏力と魅力が、存分に溢れんばかりに表現されていたそのコンサートを収録した「新月Live1979」は、「新月/新●月」同様、何度も何度も、何十回、何百回聴いて、さらに聴き飽きないアルバムです。


収録曲
1.『鬼』(oni)
2.『白唇』(Fragments of the Dawn)
3.『朝の向こう側』(The Other Side of the Morning)
4.『発熱の街角』(Influential Streets)
5.『雨上がりの昼下がり』(Afternoon-After the Rain)
6.『少女は帰れない』(She cannot return Home)
7.『科学の夜』(The Night Collector)
8.『赤い目の鏡』(Reddish Eyes on Mirror)〜『殺意への船出PART2』(The Voyage for Killing Love part2)
9.『せめて今宵は』(Return of the Night)

新月の歌詩カードはこちらに掲載してあります。
歌詩・イラスト共に、花本さんの手書きです。







2009年「信号」高津昌之
セレナーデギタリスト、高津昌之さんのソロアルバムです。

高津さんのアルバム「信号」は、プログレではなく、フォークロックのアルバムですが、全編、高津さんのお人柄そのものが満ち溢れている、うつくしい曲が流れてきて、あたたかく心に沁みこんできます。
是非、聴いてみてください。

高津バンドのメンバーは、高津さん(G)、鈴木清生さん(Bs)、鈴木達哉さん(Drs)、花本彰さん(key)、北山真さん(G、Vo.key)、小松博吉さん(Drs)、渡部高明さん(Bs)、藤田秀さん(Ds)、関根一樹さん(piano)、西原秀範さん(Bs)、阿久津徹さん(Bs)です。


『悪魔のトリル』、『燃え尽きた心に残るものは』、『海にとけこんで』の詩は、北山真さんが書かれています。


そして、ボーナストラックとして、セレナーデの曲が収録されています。
組曲『夜話』は、メンバー間で「ドッテテ」と呼ばれています。なぜ、ドッテテか?お聴きになればわかります。

『夜話』『回帰』は、1976年目黒区民会館で行われたHALとのジョイントコンサートで演奏されました。アンコールが、プログレメドレーの「プログレの逆襲」です。

特典アルバムには、1984年の、鈴木清生さんのソロ曲が収録されています。作曲・すべての楽器を鈴木さんが演奏しています。ベース以外は、25年前で数千万円の高額な楽器「フェアライト」で打ち込まれています。当時聴いていた「JAPAN」の影響を受けて作られた曲だそうです。


福生市民会館で行われた高津さんのライブ「信号」「抱きしめたい」には北山さんがギターとボーカルで、花本さんがキーボードで参加しています。


「信号」
1.冬のランプ
2.抱きしめたい
3.悪魔のトリル
4.信号
5.クルミの中はミルクティー
6.プレリュード:ウィスコンシン州ポートバーグ
7.フェンへ
8.ノクターン
9.燃え尽きた心に残るものは
10.海にとけこんで

1976年セレナーデ
11.組曲『夜話』強い光〜悪夢〜川に沿って歩いて(未発表曲)
12.オリュンポスの落日(未発表曲)
13.回帰(未発表テイク)

特典アルバム
1.信号(1984年:福生市民会館ライブ)
2.抱きしめたい(1984年:福生市民会館ライブ)
3.盆踊り月に行く(鈴木清生ソロ)



高津さんご自身による「裏ライナー」がサイトに掲載されていますので、是非読んでみてください
「信号」裏ライナー


ディスクユニオンで行われた、時報ライブで、高津さん、北山さんが演奏する『信号』の映像です
『信号』


・高津さんのバンド「高津昌之with T-Friends」のライブが6月5日(日)に行われ、無事終了しました。
ゲストキーボードプレイヤーは新月の花本彰さんです。

会場満員御礼で12弦ギターを堪能でき、花本さんのキーボードも2曲堪能できて、何より高津さんご自身が楽しんでおられた事が伝わってきた、本当に楽しいライブでした


新月関係の方たちは、急遽駆けつけることができた鈴木清生さん、桜井良行さん、劇団インカ帝国のみなさんがいらしていました。
こちらにフライヤー等掲載しています。プチおまけ写真つき?
セットリストは
『プレリュード:ウィスコンシン州ポートバーグ〜フェンへ』
『燃え尽きた心に残るものは』
『クルミの中はミルクティー』
『信号』
『冬のランプ』
『海にとけこんで』
『抱きしめたい』

花本さんと高津さんとの共演は、1984年に行われた福生市民会館での、高津さんのソロライブへ北山さんとお二人でゲスト参加された時以来です。
その音源は、高津さんのソロアルバム「信号」でのDU特典で聴く事が出来ます。この特典CDには『盆踊り月に行く』という鈴木清生さんの多重録音ソロ曲も収録されています。

花本さんは「本当は客席で楽しみたいのですが・・・」とのことですが、公でのたくさんのファンの前での、花本さんの演奏は、2006年12月26日のHAL&RINGでのゲスト出演以来ですので、本当に嬉しいニュースです。

また2008年6月7日の「新●月セッション」では、ファンの演奏者と共にキーボードで演奏に参加してくださいました。

ちなみに
「新●月セッション」
とは、蕨市の「HONEYFLASH」にて年に一回程度、不定期に開催されている新月・新月関連の曲のみを有志の参加者で演奏するイベントです。どなたでもリスナーのみの参加も出来ます。

2007年10月7日には北山真さん、2008年6月7日には花本さんとHALの桜井良行さん、2009年4月4日には鈴木清生さん、2010年9月24日には北山さん、桜井さんと、Serenadeの高津昌之さんがゲストで参加してくださいました。2010年のセッションでは、新月関連メンバーからのリクエスト曲を演奏するという新企画でしたので、新月曲以外も演奏しています。

この時の花本さんの演奏曲は『朝の向こう側』でした。
そしてこの曲のエンディングから、わずか20数名の参加者の前でしたが『殺意への船出PART2』のイントロ部分が演奏されました。
花本さんからファンへの、嬉しいサプライズプレゼントでした。

ちなみに「信号」には、ボーナストラックとして、Serenadeの『夜話(組曲)』、『オリンポスの落日』の未発表曲と、『回帰』の未発表テイクが収録されています。
Serenadeオリジナルメンバーの演奏の未発表曲・未発表テイクをこのアルバムで聴く事ができます。
http://shingetsu-koro.whitesnow.jp/takatsusan.html
高津さんからライブ当日の機材リストを送っていただきました。

当日の使用機材
高津昌之:
ギブソン レスポールデラックス、リッケンバッカー 360-12、エフェクターがVOX VALVE-TONE、RAT、特注ボリュームコントローラー、名付けて「TAKAVOLUMER」(笑)、MXR CAE BOOST/LINE DRIVER(12弦用)
で、アンプが備え付けのRoland JC120

峰田信行:
KAWAI ムーンサルト、リッケンバッカー 370-12、エフェクター
ボリュームペダル → アーニーボール VPJR
オーバードライブ → BOSS BD2
ディストーション → ソバット DRIVE Breaker
ブースター → XOTiC EP Booster
ディレイ → BOSS RE-20
アンプが備え付けのFender Twin Reverb

飯野奈実:
グレコの赤いショートスケールベース(型番不明) アンプが備え付けのPEAVEY COMBO 115

鈴木達哉:
スネア LUDWIGの402 (Brass Edition)
スティック VIC FIRTH の つのだひろモデル(メイプル)
キックペダル DWの DW9000PB
ほかは備え付けのPEARL BEAT INN SERIES + ZILDJANのシンバル
です。
こういう質問はうれしいですね。


花本彰:
ミキサーはMACKIE 1202-VLZ3ちゅうやつです。ふつーのサブミキです。
キーボードはおなじみ
NORD WAVE
それからお店の
KAWAI MP9000
です。

尚、次回ライブは高津ワールドに合わせて、他のスネアとスティックは
Negi Drumsの H3 (メイプル)を使用するかも。


高津昌之から皆さんへ:
皆さん、5日はお忙しいなかお越しくださいましてありがとうございました。

実はライブ前日のリハ中に突然声が出なくなってしまい(急性声帯炎というものらしい。花本君が調べてくれた)、ライブ延期も勧められたくらいだったのですが、投薬(市販品)と安静(マスクと筆談)の甲斐あってか、何とか本番までには間に合いました。

が、やはり出来は悪かったです。本番前のリハで手応えをつかんだので「治った治った♪完璧!」と思っていたのですが、録音を聴いてガッカリ↓
http://www.welcomeback.jp/

次回に必ずやリベンジしますので、ぜひ以降もお越しください(営業かっ!)
今回は時間内に収まらず、演奏できなかった曲もやりますので!

声以外は、私の感じている、表現しようとしている音世界をおおよそお伝えできたと思います。
メンバーみんな、長いリハ時間に耐え、頑張ってくれました(一日10時間スタジオを取ってあきれられたことあり。でもセッティングとおしゃべりで3時間つぶれた。女子会かよっ!)。
ではまた、今後とも宜しくお願いいたします。

次回は秋ごろ、新宿で?
高津昌之









1983年 『わが解体』(文学バンド)楽譜
「文学ノススメ/文学バンド」(1983年3月発表)に収録されている『わが解体』の楽譜です。

高津さんが花本さんから渡された全体の構成を記した譜面と、高津さんがご自分のギターパートを考えながら記した譜面の2種類です。

「文学ノススメ」は、当時、北山真さんが主催されたSNOWレーベルより、カセットで発売されました。現在はPOSEIDONよりCDで再発されています。

この楽譜は高津さんのお引越し時、荷物の中から20数年ぶりに発見されました。

こちらに掲載した楽譜は、花本さんが高津さんに渡された楽譜の1枚目です。
このブログでは大きな画像はアップできないため、楽譜を読みたい方はファンサイトに5枚掲載してありますので見てくださいね。



1983年4月 『わが解体』(「文学ノススメ/文学バンド」収録曲)楽譜
:高津さんより