フランス厨房 ル パスポート

 
2022/04/25 13:26:57|その他
野性の茶葉で紅茶の仕込み・・湘南フレンチ奮闘記・・

暑いですね、もう初夏の陽気です
山の木々も若葉が吹き、とても綺麗ですが、それらを愛でる暇もなくひたすら茶葉を摘んでいます
 
お出しする物は全て自家製で自主採取で賄います
今は野生の茶木から新芽を摘み取り、紅茶の仕込みです
 
前に書きましたが、畑の栽培物とは違い、雑木林に点在する茶木は好き勝手に伸びています
 
背を越す高い木もあれば、斜面にへばりつくように生える木もあり、新芽は枝先にチョッピリ!
まず摘み取ることから始めますが、一時間平均で150グラム摘めれば良い方・・・
それを10キロほど集めます
 
一日ではとても無理なので、約一か月は奮闘しますが、その間にも茶葉は成長します
ですから、最初は日当たりの良い暖かな場所から始め、終盤は日陰山という事になります
 
摘んだ茶葉はすぐに加工します
まず、写真のように新聞紙の上に広げ、一晩置いて茶葉を空気さらし、しおれさせます
 
それを両手に挟み込んで揉み込むわけです
やがて楊枝のように細くなったら、まとめてビニール袋に入れて、暖かい所
(30度)に放置すれば、後は勝手に発酵を始め茶色く変色します
 
頃合いを見て新聞紙の上に薄く広げ、乾燥させれば見慣れた黒い紅茶が完成します
今仕込んでいるのは、細〜い新芽だけで作る「王様の紅茶」とてもやさしいお味の紅茶です
今後摘み取る茶葉は、少し葉が開いていますので「しっかりとした紅茶らしい紅茶」が仕込めます
 
 
 







2022/04/17 14:31:09|その他
茶摘・・湘南フレンチ奮闘記・・
夏もちかずく八十八夜(5月2日頃?)にはまだ間があるのですが、茶摘が始まりました
畑の栽培物は不揃いな茶木の頭を刈取り、次に芽吹いたものを機械で刈取ります
 
山の雑木林の野生児は、本当に気ままに芽吹きます
わずか1メートルしか離れていなくても、芽吹きは不揃いになります
 
しかも椿科の常緑樹は、枝分かれも荒く勝手に枝を伸ばし、新芽はその枝の先端部だけですので、枚数はチョビット数枚だけです
 
それを根気よく摘み集めます
用途は紅茶と釜炒り茶を仕込むためですが、この作業は気の遠くなるような時間と、忍耐力が必要です
 
しかも、雑木林の中に点在していますので、探しながらの採取です
そしてこの時期の気温では、あの吸血鬼「山ビル」が血を求めて襲ってくるのです
 
対処はやはり聖水(飽和食塩水)が一番ですが、靴やズボンに吹きかけておいても、下草の朝露ですぐに薄まり、効力がなくなりますので、定期的に吹き掛けなくてはなりません
 
結構つらい作業が、約一か月は続きます
と言うのは、先ほど話したように茶木は、好き勝手に枝先を伸ばしていますので、それを手繰り寄せて柔らかな新芽を2〜3枚、指先でもぎ取ります
 
では、一時間にどのくらい収穫できるか測ってみました
今摘み取っているのは、本当に新芽!まだ開ききっていない芽ですので、効率は悪いのですが、150グラム平均です
 
この集めた新芽を一晩室内に広げ、葉の水分を減らしてから揉みこみます
針状になったら、暖かい場所で発酵させます(約30度)
 
発酵すると茶葉が茶色に変色し、紅茶らしい香りを放ちますので、それを天火干しにすると、見慣れた黒い紅茶になります
 
写真の新芽は、まだ開く前の新芽です
これだけを集め、仕込んだ紅茶を「王様の紅茶と」と呼んでいます(私が勝手に命名しました)
軽くて癖がないおいしい紅茶です
 
これが一段落すると、少し大きく成長した茶葉を採取し、これも紅茶にしますし、余裕があれば、釜炒り茶(緑茶)も仕込みます(大きい茶葉は効率が良いので、少しは楽)
最初の茶葉が仕上がると、数分の一まで目減りします
 
ですから茶葉は最低10キロは必要なのです(ちなみに2日間で800グラム採取出来ました)
私はこの茶葉の採取が一番嫌いです!といってもやらなければなりませんが・・・
 







2022/04/11 11:50:18|その他
八重桜の花摘み・・湘南フレンチ奮闘記・・

 
暖かい・・いや暑いくらいですね
冬が長かったからか、春が駆け足で走り抜けているように感じます
スーパー丹沢山もにぎやかで、木の芽も開きシイタケは終盤、ワラビとタラの芽が最盛期で、ウドも顔を出し始めました
 
里山ではソメイヨシノが終わり、山桜が最盛期です
日当たりの良い斜面では、八重桜の蕾が膨らみ、今3分咲きで摘み頃を迎えました
 
桜の花を料理に使うには、全開の花では香りがないので、6〜7分咲きの蕾を使います
 
摘み取った蕾は料理用と、デザート用に仕込みます
昨日の朝摘み取った物は、デザート用に仕込んでいます
ツボミを一晩塩で漬け、翌日余分な水分を抜いた後、レモン汁を加えて又一晩
最後にツボミと砂糖を交互に重ね、冷蔵庫で保管します
 
塩だけで漬け込んだものは、デザートに使いずらいので、砂糖で・・・という、事になりました
 
あとバケツで1〜2杯取れば終了ですが、野性の茶木の新芽が伸びてきましたので、今週の木曜日あたりから、茶摘も始まりますが、この気温ではヤマビルも活発に動き出しそうですから、ヒル除けの聖水・・飽和食塩水も、必ず持参しなくてはなりません
 
 







2022/04/06 11:17:45|その他
恒例のチーズの仕込み・・湘南フレンチ奮闘記・・

今日は河岸は休み、公設市場なので中央に習い水曜は休みとなる
この早朝の空き時間を利用して、チーズを仕込んだ
 
私としては作業は夜中でも良いのだが、原乳を取に牧場に行かなければならない
当然相手がいて、作業の都合があるので、こちらの都合の良い時間に・・とはいかない
 
それでも朝の5時に押しかけ、乳を分けていただいた
チーズの仕込み自体は、それほど技術は必要としないが、環境の整備と温度・衛生管理が面倒になる
 
チーズなどの仕込みスペースがあれば苦労はないが、狭い調理スペースで全てをこなさなくてはならないので、一工夫が必要となる
 
まず店内の環境を整えるため、鍋で湯を沸かして蒸気を大量に発生させる
湿度が上がれば、浮遊しているチリをある程度落下させることができる
 
あとは器具の殺菌で、特に水切りのスノコやチーズの型などは、煮沸して使う
己の手はさすがに煮沸・・とは行かないので、使い捨てのゴム手袋とアルコールで処理をする
 
それさえキチンとやれば、失敗はない(たぶん)
今日はカマンベールとブルー・バランセ・サンドレの4種を仕込んだ
 
あと10日もたてば、山で茶摘が始まる
雑木林に入り、野性の茶木から新芽1枚々摘む作業は、気が遠くなる
この拷問は約1か月続き、1年分の紅茶と釜炒り茶を仕込むことになる
 
まずは今日のチーズが上手く仕上がりますように・・・と、神頼み・・・?
 
写真は原乳から豆腐状のカードを作ったものと、型入れ後のチーズ
 







2022/04/03 16:22:32|その他
タンポポコーヒー・・湘南フレンチ奮闘記・・
春になると野山を彩るタンポポ、どこに行ってもあり実に生命力の強い植物ですね
タンポポは日本種と西洋種がありますが、そこいらに咲いているのは雑種が多いようです
 
料理にはどちらでも使えます
柔らかな葉はサラダに、花は果実酒にもなりますが、根にも利用価値があります
私は「タンポポコーヒー」に仕込みます
 
戦時中はコーヒーが不足し、代用品として飲まれましたが、今では健康食品として地位を得ました
特にカフェインがないので、妊婦さんに喜ばれます
あと、催乳効果があるとも言われます
 
ただし、この根の採取は大変労力を必要とします
タンポポ自体はどこにでもありますが、根を利用するのですから、大きく太くなったものを掘り起こします
 
ですから、株の大きなものを選びますが、生えている場所の土が固いと、根は真っすぐには伸びずの、横へ横へと広がり太くはなりません
 
そこで、柔らかな土で根が太く真っすぐに伸びたのだけを、掘り起こします
長いものは60pもありますが、無理に抜くと途中でプッツリと切れてしまいます
 
掘り起こした根は、流水で洗いながらヒゲ根をこそげ落としてから、5ミリ位に輪切りにして、天日乾燥してから、低温のオーブンでコーヒー色までジックリとロースト
後はミキサーで微粉末にしてから、使います
 
お味は、やはり植物の根!ですから豆のコーヒーとは明らかに違いますが、香りはコーヒー?ですね・・・