知財コンサルタントの目でみた知財裏話

他とは違う知財コンサルタントを目指している私が 仕事で出会った面白い話題を私の目で見て書いています。
 
2010/08/29 21:53:07|その他
知財裏話(22)アップル、ジェイルブレイク対策の特許を出願
「Systems and Methods for Identifying Unauthorized Users of an Electronic Device」(電子機器の不正ユーザーを検出するためのシステムと手法)という特許が2010年8月19日にアメリカ特許庁で公開になりました。(US2010/0207721A1)
早速非営利団体Electronic Frontier Foundation(EFF)が「スパイウェアどころか、(ユーザーを裏切る)“Traitorware”だ」というコメントをだしたとか。
“Traitor”って裏切り者、内通者、反逆者、謀反人、ひきょうなやつ、売国奴 

EFFっていう団体は結構有名な草の根運動団体で古くはソニーのベータマックが市場に出た時にソニーを訴えた映画団体に反対してVCR(日本ではVTR)の販売を出来るようにした実績があります。

でもなんかおかしいですよね。 アップルって何でこのような特許をだしたでしょう。

巷の話では“キルスイッチ”なるものがあって、改造したiPhoneを一発で元に戻す機能までが含まれているとか。 でも特許というのは技術を公開することで産業の発達を促すと共にその代償として独占権を得るものなんです。 対抗相手となるアンドロイドはオープンポリシーですからこのような機能は邪魔であってきっと使わないでしょう。 ならばなんでこんな特許を出したんでしょうね。 ちょっとアップルさん何を考えているの?



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2010/08/24 20:42:55|その他
知財裏話(21)超ラッキー特許番号
8月17日にアメリカ特許庁で登録になった特許の番号は“7,777,777”
名称は「System and method for active call monitoring」
発明者は「Bowman; Kevin (Austin, TX), Lemieux; James (Austin, TX)」
出願人は「Tandberg Telecom AS (Lysaker, NO)」

A video call monitor managerの特許です。
狙ってとれる番号ではないでしょうが、パチスロなら大当たりでしょうね。

出願は2002年4月30日に仮出願したもので審査経過をみると

04-02-2007 Non-Final Rejection
07-11-2007 Final Rejection
08-15-2007 Examiner Interview Summary Record (PTOL - 413)
06-20-2008 Non-Final Rejection
12-22-2008 Final Rejection
04-27-2009 Request for Continued Examination (RCE)
06-22-2009 Non-Final Rejection
12-18-2009 Final Rejection
03-18-2010 Amendment after Final Rejection
04-16-2010 Mail Notice of Allowance

苦労したんだ。 2007年に最初の拒絶理由を貰ってから、3年苦節の上にやっと登録になりました。 結構金かかっただろうな。



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2010/08/23 20:53:24|その他
知財裏話(20)自由な国 アメリカ? 特許では世界と違う仕組み
特許の世界は内国民待遇といって、自国民に現在与えている、又は将来与えることがある利益を他の同盟国民にも与えなければならない(パリ条約の三大原則)と決めています。 意見すると米国はそれに従っているようなのですが、実務上ではえっという内容がいくつかあり、私は知財的には米国は日本、ヨーロッパより遅れている後進国と考えています。

その幾つかの例を・・・

限定された公開制度
 日本やヨーロッパでは出願してから18ヶ月すると自動的に公開されます。 この結果誰もがこの特許をみて改良特許を考案することが出来るし、また公開された特許に対して意見を提出する事も出来ます。 ところが米国は米国だけに出願した特許に対してのみ、公開しない、公開するのオプションがあります。 従って米国ではある日突然こんなレベルの特許が登録になってわれわれが唖然としてしまいます。

米国市民が居ると、米国に一番先に出さないと米国での登録が出来ない。
 内国民待遇とは米国市民と外国人とで知財権では差別してはいけないと決めています。ところが日本で米国市民権を持つ人と日本人が共同で日本に先に特許を出願すると その後日本出願を基礎出願にして国際出願しても米国は認めない。 米国を先に出願してからそれを基礎出願して国際出願として日本への出願されても日本はパリ条約を厳格に守っているので認めます。 米国は発明者に米国市民が居ると、米国に一番先に出さないといけません。

似たような規則を持っているのはあとインドで、インド特許庁に内容を照会して国防上の特許でないという許可を得ると、どこの国に最初に出しても問題なくなります。



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2010/08/19 22:05:01|その他
知財裏話(19)マイクロソフト ゲームの商標”Kinect”が発表まで漏れなかった理由
商標は早い者勝ちなので、商品発表してからあれは駄目だったという為に急遽名前を変更しないといけない羽目になるケースがあります。
私が初めてそのケースを知ったのは、もう40年も前 まだ知財なんてなにも気にしていなかった時代です。 1972年にオリンパスが従来の重い、高いという一眼レフカメラを手軽に扱えるM-1という一眼レフカメラを発表しました。
 ライカから商標問題を突きつけられ、名称をOM-1に変更しました。
たしかカメラショーではM-1といってかっこいいなと思っていたのですが、発売されたらOM-1、でもコンセプトが好きで初ボーナスで購入、長い間私の愛機になっていました。

最近はネットで検索出来るので、出願すると直ぐ検索され発表前に名称が明らかになってしまうケースが多いです。

でも知財関係のニュースを読むと今回のマイクロソフトのゲームの商標”Kinect”は発表まで秘密にできたそうです。 それは南アフリカに出して、それから6ヶ月たって米国に出したみたいです。 米国に出すと数ヶ月で公開になるので誰もがアクセスして分かってしまいます。 どうも南アフリカはオンライン検索できなかったみたいでその間秘密に出来たそうです。



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2010/08/15 21:59:19|その他
知財裏話(18)グッチの曾孫 グッチ商標をホテルの宣伝には使えない
Elisabetta(エリザベッタ)は、グッチの創設者のグッチオ・グッチのひ孫、彼女がドバイに高級ホテルを開くにあたって、その宣伝に「Elisabetta Gucci」の商標およびドメイン名をビジネスや広告宣伝目的に使用したことが、グッチ本社の逆鱗にふれて裁判になり、負けました。

商標の出願で「Elisabetta Gucci」となった時に、GucciとElisabettaと、どちらがみんなの目を引く、それからElisabetta Gucciという連続した言葉はGucciという言葉とは違うという主張をしたのでしょうけど、どうみてもこの戦い、曾孫の勝ち目はなさそうです。

Gucciという名前を借りてホテルの宣伝をしたと判断される確率は高かったでしょう。

商標の戦いでは経験がものを言いますから、経験豊かな弁理士に依頼するのが一番です。 駆け出しの弁理士では空回りして結構負けることがあります。



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