知財コンサルタントの目でみた知財裏話

他とは違う知財コンサルタントを目指している私が 仕事で出会った面白い話題を私の目で見て書いています。
 
2010/09/21 21:21:39|その他
知財裏話(27)職務発明(最近のニュースから訴訟での支払い金額)
2010年8月19日の産経ニュースにソニーの元社員がソニーの家庭用ゲーム機「プレイステーション」などに使用されたソフトの情報を読み取る装置に関して、計1億円の支払いを求めた訴訟の控訴審判決があり512万円の支払いを命じました。

今回はこのニュースをベースに職務発明と企業でやらなければならない作業をまとめてみました。

原告はソニーの元社員「××××」さん。早速特許庁のデータベースで調べてみると無い。あれ?? 公開もしていない特許での支払い命令はないでしょう。 ちょっとテクニックを使って調べてみると、出願時の名前は旧姓でした。

公開されている特許は36件、その中で登録になっているのは7件でした。
新聞の記事から光ピックアップ関係の特許ということからあたりをつけると、【特許3287071】あたりが今回問題になった特許みたい。(ここはもっと精査が必要ですが、今回は特許を特定するのが課題ではないので、ここで終わりにしました)

昨今職務発明関係で元社員から訴訟をおこされて、多額の支払いを命令されるケースが増えております。
半導体の回路製造技術を発明した日立製作所元社員の約6300万円の支払い、その前に同じく日立製作所元社員のCDやDVDなど光ディスクの読み取り技術で約1億6000万円の支払い、そして有名なのは青色LEDの開発で日亜化学から200億円の支払い(最終的には8.4億円の和解金で決着)などあります。

金額も高額であり、何が悪かったでしょう。(To be Continued)


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2010/09/15 20:52:05|その他
知財裏話(26)サブマリン特許
勿論潜水艦の特許ではありません。 米国では限定された特許公開制度(かつては公開制度がなかった)の結果、審査中はその内容が公開されないことをいいことにして審査を継続して、ある日突然登録にしてみんなを訴えまくる特許です。 特許の目的が産業の振興にある日本、ヨーロッパでは考えられない権利優先だけを考えた米国特許制度の欠陥ともいえる特許です。
有名なものに「レメルソン特許」US7,065,856というものがあります。
調べてみましたがびっくりしたと同時にこんな輩とは関わりあいたくありません。

公開された登録特許をみると

This is a continuation of application Ser. No. 06/251,656, filed Apr. 6, 1981, now abandoned which is a continuation of application Ser. No. 05/091,908 filed Nov. 6, 1979, now abandoned, which is a continuation of application Ser. No. 05/107,357 filed Jan. 18, 1971, now abandoned, which is a continuation-in-part of: a) application Ser. No. 05/858,560 filed Aug. 29, 1969, now U.S. Pat. No. 3,854,889, which is a continuation of application Ser. No. 05/629,758 filed Apr. 10, 1967, now abandoned, which is a continuation-in-part of application Ser. No. 05/465,812 filed Apr. 8, 1965, now U.S. Pat. No. 3,313,014, which is a continuation-in-part of application Ser. No. 05/152,702 filed Oct. 17, 1961, now abandoned, which is a divisional of application Ser. No. 03/449,874 filed Jul. 28, 1954, now abandoned, and b) each of the applications Ser. No. 04/712,443 filed Mar. 12, 1968, now U.S. Pat. No. 3,559,256, and Ser. No. 05/717,065 filed Mar. 12, 1968, now U.S. Pat. No. 3,559,257; each of said applications Ser. Nos. 04/712,443 and 05/717,065 being a continuation-in-part of application Ser. No. 04/387,954 filed Aug. 6, 1964, now U.S. Pat. No. 3,372,568, which is a continuation-in-part of application Ser. No. 04/219,357 filed Aug. 13, 1962, now abandoned, which is a continuation-in-part of application Ser. No. 03/557,415 filed Apr. 10, 1956, now U.S. Pat. No. 3,049,247, which is a continuation-in-part of the applications Ser. No. 03/477,467 filed Dec. 24, 1954, now abandoned, and Ser. No. 03/449,874 filed Jul. 28, 1954, now abandoned.

最後をみると最初は1954年、で登録はJune 27, 2006、実に52年も潜っていたです。
ところで52年前ってどんな世界、テープレコーダならオープンリール、ラジオ放送がメインでTVもやっとカラー放送が始まったばかり、(WIKIで調べたら1953年(昭和28年)2月1日 - NHKのテレビ放送開始)でした。

もし本当にこの特許が有効であれば、彼は時代の先端を行く"エジソン“を超える大発明家でしょうが、誰も彼の実績を知らないという事は、特許という法律の抜け穴をかいくぐった金儲けだったでしょう。 彼がアメリカでいう”Good Citizen“だったでしょうか?



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2010/09/10 21:04:23|その他
知財裏話(25)B級特許 第2弾
面白い特許として私が収集した中で二番目にあげるのが、この特許です。

特開昭59-89600 「天気を晴天にする方法」 タイトルから何かありそうな雰囲気です。
凄いのは審査請求「有」で審査結果は予想通り拒絶査定です。

請求範囲を読むと
「最初に「今日は晴天にして下さい」と述べて、次いて神道大祓全集に基づいて・・
ここからは入力が普段使わない文字ばかりで大変だったのでスクリーンキャプチャーしました。





こんな出願相談されたら弁理士も困るだろうな。
出願するのは自由ですからね。



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2010/09/07 21:05:38|その他
知財裏話(24) B級特許
B級グルメの話が話題になっていますが、特許の世界でもB級というものがあります。
一番良く知られているのは、「永久機関」 外部からのエネルギー注入無しで永遠に動き続ける装置でこれは結構沢山出願があります。 でも特許庁を逆手にとった珍妙な出願が他にもあります。 

その一つで私がお薦めなのが、「逆さヒザ落とし」出願番号昭56-32730 昭和56年3月7日、茂原市の宮崎氏が出願したものです。 なんといってもこの特許は特許庁の分類が(分類不能)、読んでみるとなかなか楽しい内容です。
でも別の一面をみると、特許明細書に必要なステップがちゃんと書かれているので、それは勝手しった方なんだなとも考えてしまいます。

【上図をクリック】

特許をどのように書くかの初歩教材としては、眠気を覚ますいい例として使っています。

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2010/08/31 21:34:38|その他
知財裏話(23)角川マーケティングの特許 回転寿司のようなメニュー
すこし商標の話が続いたので、特許の話をしましょう。
最近目についた公開特許でほーー、でもねという特許を解説します。

角川マーケティングが出願した「コンテンツ提供システム」という特許(特開2010-176232)です。
 
要約を読むとこうです。{【課題】 遊び心満載で、おもしろく、ユーザがコンテンツの選択から楽しむことができるようにすること
【解決手段】 コンテンツを選択するメニュー画面が、地球を模した地球オブジェクトEobの周りを複数の皿オブジェクトSobを回転移動させるとともに、その皿オブジェ クトの上に提供するコンテンツに対応するコンテンツオブジェクトCobを載せ、そのコンテンツオブジェクトが皿オブジェクトとともに回転移動するものとす る。そして、回転移動中のコンテンツオブジェクトを選択すると、そのコンテンツオブジェクトに関連づけられたコンテンツの利用画面に遷移し、当該コンテン ツを提供する。これにより、地球規模での回転寿司屋において寿司ネタを取るような感じでコンテンツを取得することができる。}

百聞一見にしかず、図面をみるとこんな感じです。




勿論特許にする、しないの判断は審査官であって私達ではないですが、創造性、かつてないブレイクスルーなる技術(新規性、発明性)という目でみると首を傾げてみてしまいます。



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