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2009/12/29 22:34:09|竹とんぼとの苦闘
脂抜き・・・・分かっているようで解らない

 「図説 竹工芸」の「乾式脂抜き(火晒し)P37」には次のように記述されています。
 
 火にあぶり、十分蝋脂質を滲み出させて直ちに布片で拭き取る方法。竹を回して焦がさぬよう且つムラのないように熱して、黒いかすを残さないように、手早く丁寧に拭き取る。
 加熱によって蒸気圧となった組織中の水分が、内皮層に妨げられて外部へ蝋脂質を伴ってふきでる。それが溶けている間に手早く拭き去る。布片は竹の脂の染込んだものが光沢が出るという。
 竹は伐採後、風通しの良い所に1〜3ヶ月陰干しし、水分がおおかた蒸発したものに行うのが最も良く、すぐ良い色に仕上がる。 乾式法を行うとおおむね硬度が増し可撓性が減少する。 脂抜きは入梅前(4月)に終わるのがよい。
 
 写真1 伐採後2ヶ月経過の真竹を台所のガスコンロで火あぶりしたものです。水分がかなり残っている状態ですので均一な色合いになっていません。
 写真2 伐採後3週間経過の孟宗竹です。乾燥は井桁に組み南側の部屋で行いました。脂抜きのつもりで火あぶりしたのですが、水分が多すぎて端が焦げ色合いも良くありません。脂分は抜けたようですが、割ってみると内部には水分がいっぱいです。
 写真3 伐採後12ヶ月経過の孟宗竹を脂抜きしているところです。手前の白い粉が噴いている部分は未処理、光沢のある部分が脂抜きした部分です。
 写真4 同上の処理を施した状態の竹材です。 

 ガスコンロでの火あぶりは、弱火にし約10〜20秒(厚さによる)かざし、脂分が溶けて光っているうちにぼろきれで拭き取ります。温度が下がりタール状に固まった部分は再加熱し、拭き取りを繰り返します。脂分を吸込んだ部分の布は固まります。

 失敗体験
 火あぶりする時の竹材の状態は、40mm程度に割った長い状態をお薦めします。
150mm程度の羽根の長さに切ったものは手で掴む部分が少なく「あーちっち!」の憂き目に会います。長いままのほうが拭き取り作業が一挙に出来、結果的には効率的でした。数枚の羽根材でしたら所用の寸法に切断後でも構いませんね。
 乾燥を速めようと内側の肉部分を落とし平に削り終えた羽根材用意しました。これを加熱すると、水分が内側に出ることにより、折角平らに削った面が膨らみ再加工したこともあります。
 「竹工芸」の記述の「組織中の水分が、内皮層に妨げられて外部へ」の、「内皮層」を取り除いた失敗例ですね。







2009/12/27 22:21:19|竹とんぼとの苦闘
竹の切り方・割り方・・・・維管束との闘い

 割る前に竹の梢側の端面に「20mm(外周基準)」ピッチのマークをコンパスで入れます(写真1)。割れや樋の端を基点としてマークします。
先ず40mmの幅で割り、真直ぐで膨らみも無く、捩れてもいない物は競技用に使います。曲りや膨らみが見られ品質的に良くないものは再度20mm幅に分割します。20mm幅のものは、教材用として加工します。もちろん、20mm幅に割ったものも良質な部分は象嵌滞空用に使います。細い竹の場合は、コンパスのピッチを小さくし、曲率とのバランスを見ながら刻みます。

 写真2は関連する道具です。
右よりゴムハンマ、両刃鉈2本、ヤスリ流用の鉈、電工ナイフ、そして割り台です。両刃の鉈を使います。
ヤスリ流用の鉈は頂き物です。東久留米の竹とんぼ仲間が使い古したヤスリを自家再加工し鉈として復活させたものです。
小物細工をするのに「電工ナイフ」が結構使えます。特に教材用の羽根(写真3)を剥ぐ(厚さ調整)時に便利ですね。この使い方は竹とんぼ仲間から教わりました。
割り台は、秦野市の某高等学校の教諭から竹とんぼ教室のお礼で頂きました。10年物です。

 図説 竹工芸(写真4)によれば;
竹割りの鉈は軽く刃止めをしてから使用する。竹割りは繊維を縦に裂き分けることであって、決して繊維を切断してはならない。したがってあまり鋭利でないほうが良い・・・・・とあります。

 竹を割る時スパっと割れてくれると気持ちがいいものですね。この割裂性に富むのは、竹材を構成する維管束(鉄筋コンクリートの鉄筋に相当)が、縦走しているからです。分割方向により異なり、柾目方向(割り)と板目方向(剥ぎ)とでは25%位の割り易さの差があるそうです。

 一番苦労したのは、節を付けたまま孟宗竹を割ろうとして、節の部分で前進も後進も出来ず、鉈が挟まれ立ち往生したことがあります。節の板の内部には、維管束が網の目のように補強材として配列されています。特に乾燥した竹の節板は割るには苦労します。伐採したら直ぐに節を抜いておけば多少は楽に割れました。最近では、伐採して青みが残っている間に切断、割り加工をしています。







2009/12/25 22:54:46|竹とんぼとの苦闘
竹の切り方・割り方・・・・乾燥した竹の切り難さ

 竹を切断するのに苦労したことは、乾燥した竹はとにかく硬くて鋸での切断作業が苦痛であったことです。
十年前、東広島産の孟宗竹を頂いたことがありました。じっくり乾燥させ満を持して切断に入りました。乾燥した直径15cm、肉厚15mmほどの孟宗竹を切断しようとして「ぐうの音」を上げたことがあります。腰は痛むは、手は痺れるはの散々な思いをしたことがあります。仕方無しに、BLACK&DECKERの電動鋸を購入し切断しました。この鋸は三角の鋸本体が前後に10mmほど高速振動(前後運動)し、手加減により切り込んでいきます。硬い竹を5分も切り込んでいくと振動により手が痺れ逃げ出したくなりました。以後、未乾燥で緑色が落ちない前にとにかく切断することに決めました。乾燥した竹は、先ず鉈で割り、鋸の稼動範囲を狭めることで少し楽に切れるよう手順を変えました。トータルの運動量は変わりませんが、腰痛気味のChikusuiには適当な方法です。
 鋸で丸竹を切断する時、足元を固めることが最も重要です。青竹であれ硬い乾燥竹であれ、必ず固定する用具や場所が必要です。廃材を使い写真2,3のような固定冶具を作りました。近場の竹林に伐採に行くときも持参します。
 鋸は、写真4のような替刃式竹挽鋸を使用しています。細かな作業をするときには「ピラニア鋸USA」や「オルファの便利のこ」を、伐採時には刃の粗い鳶用の鋸を使います。小物(教材の羽など)を大量に切断するときにはPROXXON丸鋸を活用しています。
 節を外すために節の上下を切ります。切った後に上側・下側が分かる印を付けておくと、後工程の鉈割の時助かります。竹は割る方向により割裂性が異なり、梢側から根元側に向かって割るときれいに割れます。
 竹の品質、伐採、保存、加工などの専門知識を得るのに「図説 竹工芸」佐藤庄五郎(共立出版)が役立ちました。購入すると1万2千円でしたので図書館で読みました。引用されている図表類(竹の収縮率など)がありますが、その出典が1919年などの古い資料です。竹に関する研究は古いのですが、一方では新しい資料の需要が少ないのでしょうか。余談でした。







2009/12/24 21:24:46|竹とんぼとの苦闘
生竹の養生・・・水分との戦い(続き)

竹の養生 その2
 協会で発行した「楽しい竹とんぼの作り方」には、こんな解説があります。
 
 ー青竹の乾燥、脂抜きの方法ー
1.天然乾燥 : 適当な長さに切断し、四つ割にして、風通し の良い場所に置き、一年位乾かす。
2.割った竹をアルミフォイルで包み、オーブントースターで30秒位加熱、これを2〜3回繰り返す。 要はチンしなさいと言うことです。
3.煮沸した湯の中に適当な大きさに切った竹を30分位煮て取り出し、天日で10日ほど乾燥する。

 1.の天然乾燥は先のブログに載せたやり方ですね。
 2.のチンする方法も試みました。少量を処理するには上手い方法ですが、大量な竹材を一時に行うには家内の絶大なる協力が必要です。軸材の処理(どちらかと言えば、焼を入れる目的)はこの方法を活用しています。
 3.のやり方は家の中では難しく、友人の竹林ではこの方法です。脂分が染み出てきたら、熱いうちに一挙に磨きをかけ、残渣を取り除く作業が大変です。

 脂抜きはあまり考えずに、先ず乾燥作業を優先しています。
 
 写真2は乾燥が進み、竹自体の水気が少なくなり、表面の撥水性が低下した時季に雨にあたり変色したものです。教材用の竹材として十分使えます。

 写真3のように青竹の節に孔を開けたり、節を片側取り除くなどして、内面が外気に触れるようにします。大量の水を吐き出させるために一週間ほど天日干しします。
伐採したままの竹を寝室に一晩置き、部屋の壁に水滴がいっぱいの朝を迎えた経験から、最初の乾燥は日干しの強制乾燥としてみました。竹の日当たり面を回転させることが重要です。
この後、短冊状に割り、室内でのモデラート乾燥、天日乾燥を繰り返します。

 写真1 竹とんぼ講座初級編  1996年6月第一刷
 写真2 養生に失敗した竹材(雨に打たれて)・・・教材用に活用
 写真3 天日干し・・・伐採直後の水を吐かせるため節は抜く
 写真4 天日干し・・・板状にし乾燥。 軸材も乾燥中







2009/12/23 22:31:35|竹とんぼとの苦闘
生竹の養生・・・・水分との格闘・・・・カビとの戦い

養生の失敗例
 竹とんぼに嵌り始めた頃、近くの竹林で伐採した竹を、丸のまま節の部分に孔を開け空気の流通を図り、家の北側の日陰に置きました。緑色が黄色に変色するくらいになったら切断する積もりで放置しました。

1.竹は乾燥すると硬くなり鋸引きが大変です。電動鋸を買う破  目に。
2.乾くまでに雨に当てると表面が劣化し見た目が悪く、巣が   入った状態になります。
3.緑色がなくなった頃、日に当て乾燥させたところ、竹を回転  しなかったため割れが生じました。宇宙船の回転と同じす。

 養生が上手くいった事例
 茨城県の仲間の竹林で頂いた竹は現地で割り、リュックに背負い運びました。青竹のまま切断し割った方が作業が楽で、乾燥速度も速く、割れの発生もありませんでした。室内乾燥でじっくり時間を掛けた成果なのか竹材が引き締まった感じがします。
 南面の部屋に井桁に組み、風通しに気をつけ、毎日カビの発生がないかを観察します。カビの芽を発見したらその部分をそぎ落とし、切断面はヒートガンで繁茂しないように撲滅作戦を繰り返し、梅雨時期を乗り越えます。
 天気のよい日にはベランダで日向乾燥します。また、小さめの羽根材(高度用)は網袋に入れて軒下乾燥します。
夜露に当てないよう夕方には部屋に取り入れます。部屋からの出し入れには、通気の良い段ボール箱や布製の袋に入れます。
一年経てば羽根材として使えます。手元には3年目の乾燥材がありますが、あまり古いものは脆くなります。

 伐採した直後の生竹は水分が非常に多く含まれています。
晩秋から暮頃に伐採した竹を自動車のトランクに入れたまま一晩放置したところ、トランクカバーの内面張りの中に大量に水が溜まり水浸しでした。
竹とんぼ作りの第一関門は「竹の水分」との格闘です。