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リアルなクライマー・・・心臓部の開示

このクライマーの心臓部とも言うべき滑り止機構を作ります。
クライマーの腕が上方に向かい伸びる時には、紐を滑るように手が登り、脚を縮めてよじ登るときには紐をつかむカラクリが必要です。

以前のごついクライマーの滑り止機構はスプリングとピストンの組合わせでした。
腕の中に組込むには、コイルスプリングは大きすぎます。試行錯誤の連続です。失敗の繰り返しでした。

写真ー1
Φ0.5mmステンレスばね鋼を使い紐を挟む構造としました。巧くいく筈がスプリングパワー不足でした。
真直ぐなままでは一寸物足りなかったです。

写真ー2
同上を上から見たものです。
腕のスペースの中に可動ピンを収めた様子です。
スペーサーが3mm厚さ、可動ピンの厚さは約2.5mmです。Φ3mmの竹串から切取ります。

写真ー3
失敗は成功の元、必要は発明の母なりでした。
Φ0.5mmのステンレスばね鋼をUの字に曲げてばね力を確保します。そのばね力により紐を固定ピンとの間に挟み滑り止めとします。
辿り着いた姿です。結果的に見れば当たり前でした。

写真ー4
腕に組み込んだ状態です。
固定ピンを差し込む前の姿です。

次回は工作の様子を掲示します。これは見る方がかったるくなりますがご容赦を。








リアルなクライマー・・・小さな部品ほど大切

小さな部品が重要なことを何回も教わりました。たった一個の部品がなくても作り物は動きません。
小さな頃、分解するのが大好きで、柱時計を動くようにしたのを褒められました。ところがドッコイ、小さなネジを畳の縁に見つけました。畳の縁はぼろぼろでした。僕を忘れないで!とその小ネジが叫んでいました。柱時計の裏蓋のネジでしたが、翌年の大掃除の際、亡き親父から「蓋のネジを忘れたな!」と叱られた記憶があります。
時計の中は一年間の埃だらけでした。
昭和30年当時です。

小さな部品を作る時に一番大切なことは、自分の身は自分で守ることに尽きます。
怪我をしたら元も子もない。

写真ー1
Φ3mmの竹串から長さ10mm位のピンを切り出しています。指で掴むには円鋸の刃が指を噛みます。そこで一考、両面接着テープを竹の端切れの裏面に着け、部品となる竹串を押さえながら切断し、回収しました。

写真ー2
10数体のクライマーを動かすのに必要なピンとスペーサの数は100を超えます。
何とか切り出した状態です。

写真ー3
左の整然と並べた部品がスペーサです。3mm角の檜材です。右側の積上げたものが竹串から刻んだピンです。
少し余分に切り出しておきます。

写真ー4
切出した部品はバリが出ています。一個ずつ角に丸みを付けます。面倒な作業ですが愉しんでいます。
真心を込めて「竹とんぼの仲間たち」を作っています。
竹とんぼの友人たちが、一つ一つの工作物です。

竹とんぼからの恩恵 : 人の仲間はもちろんですが、作るという面白さを教えてくれるこの部品達が竹とんぼ仲間です。







リアルなクライマー・・・部品の切出し・外形仕上げ

孔明けの終わった板材を部品毎に切り分けます。両面接着テープを内蔵したまま切断します。板の素材を切る感覚と若干粘っこく感じます。刃物の焼付の心配がありましたが大丈夫でした。刃先に粘着物が付着し、作業終了後には丁寧に掃除をする羽目となりました。


写真ー1
円鋸で部品を切り分けます。細かな部品を切断する時に、指で持てる寸法であれば冶具を使い切断していきます。指でつかめない時には、厚手の両面テープを先端に付けた細棒で、円鋸の刃との相対を維持し、部品を取り外します。


写真ー2
部品の切断終了です。
円鋸を使い極力円形部分も余分な肉を落とします。
グラインダーやサンドペーパ、ヤスリを駆使し外形の仕上に掛ります。
写真の右端の部品は、外形を綺麗に仕上たものです。


写真ー3
手作業でなければ仕上られない部分は小型万力で掴み、一つずつ加工します。写真は足の脛部分の外形仕上中です。
ナイフの歯面に両面接着テープの接着剤と木屑が混ざり、ねっとりと着きます。


写真ー4
外形仕上げを完了した部品です。
右は仮組立したクライマーです。
この時点まで、左右の部品は両面テープで貼り付けたままです。







リアルなクライマー・・・部品製作・・・型取り

部品の製作に進みます。ここでは大量(10数体)に作った事例を示します。材料は3mm厚のアガチス材を使用しました。

写真ー1
型紙です。
大量に作る時には型紙を用意します。葉書や名刺の使古しを活用します。左右の部品の形が異なる場合はその分型板を増やしますが、今回は左右を同時に作るため型紙は片側分だけで済みます。このような手抜きの工夫も面白さの一つです。

写真ー2
手抜きをする方法・・・・右と左の部品を一挙に作り、且つ合わせた時に誤差がないようにするには、左右の部品を取り出す板材を貼り付けます。幅広の両面接着テープを用意し、材料の全面に貼ります。材料を貼り合せます。板材はなるべく曲がりのないものを選ぶと加工が順調に進みます。
接着力の弱い両面テープの方が後々の剥がしが楽です。

写真ー3
罫書き
型紙により罫書きます。2枚の材料を貼り合せているため片面のみの罫書きで済みます。
罫書きを始める前に、材料の板がずれていないか確かめます。板材の寸法が異なる場合は、貼り合せた両方の材料から部品が取れる場所を選びます。

写真ー4
孔明けを終了した状態です。
細かな部品の孔明けは、大板の状態で加工します。また今回のように貼り合せの目的が、左右量部品を一挙に切出し誤差(部品のずれ)を無くすことですから、最後の最後に左右を分離します。
罫書きの線と線との間は、切断する工具の厚さや通り道を考慮した隙間を取りましょう。

小さな部品は、必要数量より余分に作っておきます。部品を無くしたり、不良品が出た時に補充が出来ます。足りない事が判ってから再加工するのは精神的に非常に疲れます。これは各自の性格によりますが。







リアルなクライマー・・・アイディア公開

リアルなクライマーの試作過程を公開します。
今回のクライマーは何度も失敗を繰り返し漸く辿り着きました。都度、図解しメモを記した結果、ここに掲示するような図面が出来ていました。

材料は竹とんぼの端材の内側を使いました。板材一枚一枚を、平らな板に貼ったサンドペーパーの上で削り、厚さを統一します。
アガチスや桐の板で作っても良いでしょう。その際は、ピンの長さやスペーサの厚さなど、使用する板厚に合わせた若干の調整が必要です。


写真ー1
部品図です。
ピンは図示してありませんが、長ピンは大外まで通すピンです。単品は内側の板の間をつなぐ長さのピンです。写真ー4のピンの関連から長さを想定してください。
ピンはΦ3mmの竹串です。


写真ー2
板材とピンの組立要領図です。
ピンと板材を接着する場所としない場所に気を付けます。
接着しないピンは、伸縮するためのゴムを掛けるピンで、ゴムが切れたときに交換するため、抜差し出来るようにします。


写真ー3
紐とゴム輪の掛け方を図示したものです。
上腕と下腕が伸縮するようゴム輪を掛けます・・・・・実用新案並みのアイディアかも!
ここで苦労したことは、腕の動きと脚の動きの順番です。腕が先ずよじ登り動作を起こし、脚が追従するような動きを一本のゴム輪で再現することです。背中のピンの位置によりこの作用が実現できました。


写真ー4
部品の写真です。紐とゴム輪は写っていません。
部品の関連を「見える化」により表わし、高齢者にも愉しんでいただけるよう配慮したものです。
写真での配置は、部品相互の関連を示すもので、この位置に取付けるのではありません。特に、スペーサーの取付け位置は、写真ー1の部品図に倣います。