8月3日開催の「あのうたこのうた」では さまざまなジャンルの楽曲を演奏させて頂きます
その中で、シューマン(画像)のリーダークライスという歌曲集から 1曲歌います。この歌曲集はシューマンが詩と音楽を融合させたもので、ピアノは伴奏ではなく、1つの楽曲のように詩に寄り添い、1つの世界を造ります。詩はハイネの作品で、ドイツ語で書かれているので、日本語訳をご紹介します
この曲の後、シューマンのピアノ作品を1曲ご紹介させて頂きます
愛らしく、優しいばらやミルテで
愛らしく優しいばらやミルテで また馥郁としたサイプレスや金箔で 僕はこの本を棺のように飾り付けよう そして、その中に歌草を納めよう
ああ 恋も棺に納めることができれば! 恋の墓から、慰めの花の芽が出て 咲き出せば 人はそれを摘み取りもしよう でも、僕は摘めない 墓に入った後で咲くのだから
ここにある歌草も もとはと言えば エトナ山から噴き出した溶岩の様に荒々しく 胸の奥底からほとばしり出て あたりに、火の粉をまき散らした物なのだ
今はそれも物言わず 死んだようになって 冷たく 霧のように青ざめて硬直している だが 愛の息吹がひとたび歌草に触れてくれば 消えた灼熱の想いが再び掻き立てられることだろう
そしてぼくの心は高まる予感を声にして出す いつの日か 恋の息吹が 硬直した歌草を溶かし いつの日か お前はこの本をてにするだろう はるかなる国に住む優しい恋人よ
その時こそ呪縛の力が歌草から掻き消えて 色褪せた文字がお前にみとれはじめる 思いを込めて お前の美しい目を見つめつつ 悲しみと 愛の息吹をささやきかけるのだ |