 主治医への情報提供
治療と介護を一体的に行うことは、在宅医療のケアカンファレンスにおいて、医師とケアマネは対等な立場でそれぞれの情報の提供を共有し、密接に連携をすることが必要です。
このカンファレンスの主催は主治医ですが、ケアマネは担当者会議の条件(ケアマネの主催と新規・更新・区分変更のタイミング)に合致していなくても、参加することは、主治医との連携が規定されている以上避ける事はできません。
この主治医のカンファレンスは、退院時と在宅療養支援診療所の主治医が診療方針の変更時に行うとされています。この診療方針の変更は、利用者の心身の状況変化に応じて行うものであり、主治医が行う検査や診察の結果で定めるものと、ケアマネからの情報を基に確認を行って定めるものとがあります。すなわち相互に情報の共有が治療と介護の一体化の原点であるのです。
さて、この主治医に提供する利用者の心身の状況変化の最新情報をケアマネが持っているとは限りません。主治医が必要な情報は、家族か、ヘルパーが把握していると考えるのが常識であり、ケアマネの又聞情報を、主治医が信頼のおける情報とすることでは危険であるため外来を求め自ら確認をしようとするはずです。信頼のおける情報を持たないケアマネは信頼のおけるケアマネではないという事です。
ケアマネが医療と連携に必要な情報を持っていないのであれば、このカンファレンスは、医師からの指示を受けたケアマネが介護スタッフに伝達するだけにとどまり、対等に協議を行う体系を持つことさえできません。
では、このケアマネの情報不足にどう対処するのかと言うと、その1は、常時利用者に張り付いて、状況を正確に把握するか? その2は、サービス提供責任者に直接主治医との連携を進め、ケアマネは調整役に回るかの選択が必要となるでしょう。
ケアマネの規定からすれば、ケアマネは調整役と定めていますし、又聞きでの情報のミスはそのままケアマネの責任にもなることから、主治医とサービス事業者間の情報の流れをスムースにし、生の情報が伝わることが重要であると判断する必要があります。
かかわりをしないのではなく、常に輪の中にいることはケアプラン作成上重要ですが、現場の医療と介護の作業者同士で対話を行い、簡潔に利用者への対応を進めることは、結果的にケアマネの業務を軽減することにもなるのです。
利用者・医療・介護の当事者間の情報の伝達をスムースにすることが、ケアマネが行う調整の基本であり、決して又聞きの情報を自ら確認してきたようなうそは避けなければならないものであると認識してください。
さて、主治医に介護側の情報の提供は、ヘルパーがその鍵であることは理解できたとして、どの様な情報を提供するのか?が問題になりますが、単独で勝手な情報収集をするのではなく、主治医にどの様な情報が必要かを確認することが最良の方法です。これが連携であり、医師との意思の疎通を必要とする理由でもあります。
医師が行う診療方針の変更は、外来・または訪問診療の診察にあります。多くの場合通院はヘルパーが行っており、診察の時に主治医に在宅での心身の状況を報告し、診察結果による治療の変更について確認すると共に、観察すべき内容の確認と、在宅での療養について注意事項の確認をすることが必要です。
医師に挨拶もせず、ただ利用者の送り迎えは、介護の対象でないと言われることのないようにヘルパーの通院業務を明確に指導して頂きたいものです。
主治医への情報提供について、ご質問のある方は、貴方のメールアドレスで、 ankan@mh.scn-net.ne.jp 宛にお問い合わせください。 以上 庵漢
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