北陸紀行 4、
金沢城址公園
中へ入って、外へ出て
石垣を眺めながら歩き回って
足が痛くなってきて
吾輩も石垣のように朽ち果てて
だがしかし
石垣の石はしっかりと
腹は減っていたのだけれど
あの天麩羅そばはまずかったな〜
万緑叢中石垣は城の顔
「対酒」 酒に向かひて
(中唐)白楽天
(一)
巧拙賢愚相是非 巧拙賢愚
相ひ是非す
何如一酔尽忘機 いかん一酔 ことごとく
機を忘るるは
君知天地中廣窄 君知らん天地中の
廣と窄とを
G鶚鸞凰各自飛 G鶚 鸞凰
各自に飛ぶ
(二)
蝸牛角上争何事 蝸牛角上
何事をか争ふ
石火光中寄此身 石火光中
此身を寄す
随富随貧且歓楽 富に随ひ 貧に随ひ
しばらく歓楽せよ
不開口笑是痴人 口を開いて笑わざれば
これ痴人
(三)
百歳無多時壮健 百歳 多時の
壮健無く
一春能幾日晴明 一春 能く
幾日の晴明ぞ
相逢且莫推辞酔 相ひ逢ふしばらく酔ふを
推辞するなかれ
聴唱陽関第四声 唱ふを聞け
陽関の第四声
「酒に対して」
(訳詩)はぐれ雲
(一)
世の中は 巧拙 賢愚と比べるが
いっちょう酔って 忘れたらどう
天地のあいだは 広大で
悪鳥 善鳥 それぞれに
自由自在に 飛んでいる
(二)
かたつむりのせまいせまい角上で
どうしてそんなに争うの
どうせこの身のはかなさは
火打ち石の一瞬の火のごとし
人生そのまま楽しめよ
口を開いて笑わぬは
痴人以外にいないはず
(三)
一生百歳 そのなかで
壮健のときは どれ程ぞ
一春のうち
晴れた好い日は 幾日あるか
さあここで逢ったが 一会ぞや
断るなかれこの酒を
君に対して歌おう陽関三畳の曲
陽関三畳の曲
王維の七言絶句、親友の元二を
見送る歌。古来送別の詩として
愛唱され、陽関三畳という歌い方
で繰り返し吟じられた。(下載)
「送元二使安西」
(盛唐)王維
渭城朝雨浥軽塵 いじょうのちょうう
軽塵をうるおし
客舎青青柳色新 きゃくしゃせいせい
柳色新たなり
勧君更尽一杯酒 君に勧む
一杯の酒
西出陽関無故人 西の方陽関を出れば
故人なからん
渭城は咸陽のこと。長安の西北
渭水のほとりの町。西への旅人を
ここまで見送り、駅舎で一夜の別宴
を張る。そういう風習があった。
陽関は敦煌の西南方にあった関所。
玉門関の南に当たるので陽関と言う。
天地は広い
人生は短い
楽しもう
生ある今を!
鳥の声朝寝の夢の限りなく
とんび舞う江ノ島で食う焼きさざえ
しぼり出すわさびの前に初鰹
卯時の酒に髭の霞みぬ白楽天
青痣のニヒルな男一夜酒
花の昼上へ上へと握り飯
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「和嘗新酒」
(中唐)白楽天
(一)
空腹嘗新酒 空腹に新酒を嘗む
偶成卯時酔 たまたま卯時の酔を成す
酔来擁褐裘 酔来りて褐裘を擁し
直至斎時睡 直ちに斎時に至り睡る
(二)
静酣不語笑 静酣して語笑せず
真寝無夢寐 真寝して夢寐無し
殆欲忘形骸 殆ど形骸を忘れんと欲す
詎知属天地 なんぞ天地に
属するを知らん
(三)
醒余和未散 醒余和して未だ散せず
起坐澹無事 起坐澹として事無し
挙臂一欠伸 臂を挙げ一たび欠伸し
引琴弾秋思 琴を引いて秋思を弾ず
「元微之が新酒を試みる詩に和す」
(訳詩)はぐれ雲
(一)
すきっ腹 新酒を飲めば
卯の時刻 酔いの回りぬ
皮衣(かわごろも)頭にかぶり
飯までの 爆睡となる
(二)
寝言なく 熟睡のとき
夢も見ず しんから眠る
生有るも 忘れておりぬ
存在すらも どうして知ろう
(三)
醒めたのち 心はさえぬ
起き上がり つくねんとして
腕あげて 欠伸いっぱつ
琴よせて 秋思を弾ず
まあどういうことなんで
しょうかな〜
卯の時刻とは朝6時頃
このころ飲む酒を卯時の酒と言う。
すきっ腹によく効くのである。
白楽天は卯時の酒が大好きでした。
ゆく春をすこしひきとめ卯時酒
酒の肴は生食の蛍烏賊
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