さあ〜て〜
またマッコリを
買ってきますかなあ〜
「山亭夏日」
高駢(こうべん)
緑樹陰濃夏日長 緑樹陰こまやかにして
夏日長し
楼台倒影入池塘 楼台影さかしまにして
池塘に入る
水晶簾動微風起 水晶の簾動いて
微風起こり
満架薔薇一院香 満架の薔薇
一院香ばし
「夏の日の山荘」
(訳詩)はぐれ雲
緑なす樹々 黒々と
夏の日なかの 長きこと
高殿の姿 さかしまに
池の水面に ゆらめいて
水晶のすだれも かすかにゆれて
そよ風のぬけてゆく
棚にあふれる 満開の薔薇の花
その花の香りは 中庭中に漂う
薔薇の雨マッコリを酌む昼下がり
茶をいれて茎の浮くなり花うつぎ
荘周の夢
「荘子」斉物論にみえる話。
あるとき、荘周は蝶となった夢を見た。
目が覚めてから、自分が夢の中で蝶と
なったのか、それとも蝶が夢の中で
自分になったのか、と思い迷ったという。
夢と現実の見定めがたいことをいう有名な
寓話である。
吾輩はこのところ、夢を見ないが、
夢をみているような状態になっている
ことが多い。夢か現(うつつ)か
現かゆめか
自分が蝶か、蝶が自分か、
そんなこと、どっちでもいいではないか、
吾輩はいったい何なのか、
自分でもない、蝶でもない、
まだ生きているようだ。
いかにも不可思議な生物がここに
いるのである。
まるでいいかげんな、存在価値のない
霞のような、どうしょうもない
変転きわまりない雲の峰のような
へんてこないきものがいるようなのだ。
夏の雨ブラックホールの中にいる
「初夏戯題」
徐夤(じょいん)
長養薫風払暁吹 長養の薫風
払暁に吹き
漸開荷芰落薔薇 漸く荷芰開いて
薔薇落つ
青虫也学荘周夢 青虫もまた
荘周の夢を学び
化作南園蝴蝶飛 化して南園の
蝴蝶となって飛ぶ
「初夏たわむれに記す」
(訳詩)はぐれ雲
こころのかての 薫風が
夜の明けるころ 吹いてきて
紅いはすや 白いひし
しだいに咲いて くるころに
そうび(薔薇)の花は 散っていく
青い虫も 夢の中
荘周の夢の 真似をして
胡蝶となって ひらひらと
南園のなか とびまわる
荘周の夢は遥かな雲の峰
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