9月27日に刊行された『わらしべ集』は
乾の巻、坤の巻の二巻の箱入り。
そのスタイルが珍しいということなのか、中身はさておき、というわけなのか、造本・装丁をめぐる感想がもっぱらである。
「造本にびっくり……近年このような本を見た覚えがありません」
「たたずまいがよろしい……造本が清々しくいい感じです。よくぞ形にしてくれました、と一読者として感謝したいです」
「うつくしい象嵌がなされたような、存在感、
乾坤一双の書物のたたずまいの美しさに圧倒されています」
「こんなに手間ひまかけた本は、わらしべ風栞とともに、稀有ですね。また、深夜叢書らしい(とはいえ、どことなく、明るい気配があります)」
「箱も本もソフトなところがまたいい。本文レイアウトも言うことなし。それにしても深夜叢書社は実に丁寧で魅力的な本作りをしますね」
箱と各巻カバーの中央に引かれたわらしべ風ラインは、「無くもがなの序」をしめくくるカフカのエピグラム(寸鉄詩)からイメージされているそうだ。
《一本の藁しべ? 多くの者が、水面に引いた鉛筆の線にすがりつく。
すがりつく? 溺れる者として救いを夢見ている》
「一本の藁しべ」が描かれたしおりも各巻にさしはさまれている(写真右)