 垂直ロール時(特に上昇時)の癖取りについて、自論ですが調整方法を説明します。 1.先ずは垂直上昇の調整 基本は何も打たないで真っ直ぐ上昇するまで調整することです。そのためには、サイド&ダウンスラスト、主翼迎角、尾翼迎角、重心等の基本特性調整を優先すべきです。 例えば、上昇時にアップ癖がある場合、大概はダウン側に修正舵をあてて、癖を抑えます。そこでロール演技が入った場合、上手なフライヤーは修正舵を当てたままロールをします。しかし、僕のような並み(以下?)のフライヤーは、きっとロールの瞬間は修正舵を抜きます。つまりその瞬間、アップ癖が混ざったロール挙動になるはずです。アップ癖の場合、ロール方向に軸がずれる、半ロールではロール方向に頭が倒れることになります。この場合は幾らエルロンを調整しても調整しきれずとても悩むことになりますので、基本に戻りましょう。⇒ その1をご参照ください。 2.微調整はエルロンの差動で 経験上からの自論です。 ロール方向に軸ズレもしくは傾く場合、左右のエルロンの下げ舵側を大きくする。 この理屈は難しいです。通常で考えれば下げ舵を大きくすると、揚力差の内、下げ舵方向が増えますから、更にロール方向にずれると考えられますが、経験上全くの逆でした。アドバンスドヨー(翼抗力の左右差)でも説明がつきません。多分揚力差と同じ方向に働くはず、と思います。 ではなぜか? 左右翼の頭下げモーメントの差ではないかと考えます。 フラッペロンを使われた方はご存知と思いますが、例えば両翼のエルロンをあげた場合、頭上げ状態になるので、エレベータダウンのミキシングを加えます。 逆の場合エレベータアップのミキシングになります。 これを左右エルロンが逆になるロール時に当てはめて見ましょう。仮に右ロールの場合、主翼は対気方向に全く迎角がついていない(つまりアップにもダウンにも行かないで真っ直ぐ上昇している)状態からエルロンが操作され右翼は跳ね上げ側、左翼は下げ側に動きます。ここで右翼は頭上げモーメント、左翼は頭下げモーメントが発生します。左右反対に全く同じ角度であれば、右翼の頭上げモーメントと左翼の頭下げモーメントはバランスされ、アップ側にもダウン側にも軸ズレは発生しません。今度は左翼の下げ舵を増やした場合はどうなるか。下げ舵の影響で頭下げモーメントが増加します。そうなると、機体はダウン方向、つまり、揚力差やアドバンスドヨー方向とは逆の作用をします。垂直上昇のように主翼に揚力が発生していない状況では、揚力差や抵抗差よりも、頭上げ下げのモーメント差の方が影響が大きいのではないかと考えられます(図を参照願います)。 またまた経験上ですが、垂直上昇中の軸ズレ癖は、大概の機体はロール側(頭上げ側)にずれることが多く、先ずは基本的な調整で程ほどになり、最後の微調整でエルロンの下げ舵方向を増やすことで仕上げ、といったパターンが多いです。 |