「文学バンド」のアルバムです。
これは先の「動物界之智嚢」と同様、北山さんが立ち上げたSNOWレーベルから1983年に発表され、2004年12月にCD化されて発売されたものです。
これは当時北山さんが、
「劇団インカ帝国」の時任顕示さん、小熊一実さんの二人が、飲みながら熱く文学について語っているのを聞いて、アイディアが浮かび、花本さんと一緒に制作したアルバムです。
全ての曲名は有名な文学のタイトルですが、文学バンドにかかると、この生真面目な文学の世界が摩訶不思議な世界へと展開していきます。
同じタイトルの本を手にしたはずなのに、扉を開いた途端、まるで違う未知の世界へ吸い込まれていく、なのに、妙に懐かしい古い本のようです。
ライナーノートは小熊さんが書いています。裏ジャケットの右上にある赤いロゴは文学バンドのロゴで、文芸春秋のロゴのパロディだとか。
「箱男」の作詞、声、ギターは時任顕示さん、「死者の奢り」の作詞、声、シンセサイザーは小熊一実さんです。
作曲、編曲、色んな楽器を、北山さん、花本さん。
ゲスト演奏者に、新月の津田さんがベースとギター、セレナーデの小松さんがドラムス、セレナーデの高津さんがギター、新月レコーディングディレクター森村さんがサックス(『雨上がりの昼下がり』のサックスも森村さんです)で参加しています。
7曲目の『わが解体』は、北山さん、花本さんの共作で、時任さんの朗々たる長台詞と、後半の津田さん、高津さん、北山さんのギターバトルは圧巻です。曲のどこかで、花本さんもギターを弾いているそうです。
15分以上に及ぶ大作『わが解体』は、演劇ファン、プログレファンに必聴の作品と思います。
SNOWについては、北山さんご自身の寄稿文がこちらに掲載されていますので、是非読んでくださいね。
SNOW時代1.山月記
2.箱男
3.桜の森の満開の下で
4.死者の奢り
5.愛の渇き
6.少年愛の美学
7.我が解体