転がる

とーってもゆるやかに思ったことを綴る
 
2011/04/03 0:20:06|短篇
最近の
わたしは彼のにおいがすきだった。
キャスターマイルドと香水、柔軟材の香りがまざったものが彼のにおいだった。
彼の家に泊まりに行けばわたしの洋服や髪にそのにおいがつくから、離れていても一緒にいる気がして、多少は寂しさが紛れた。
彼のにおいが好きすぎて、わざとわたしの洋服を着せたりもした。
そうしてわたしの部屋も彼のにおいでいっぱいになればいいと、淡い夢を抱いていた。
本能的に好きになってしまったから、本能的に嫌いになるまでわたしは彼のことを愛し続けるんだろうなと単純に思っていた。
そして結局今も関係は続いている。
一年半を過ぎてみて改めて思うことはやはりまだまだ愛情は深まるということで、その事実にわたし自身が一番驚いている。
どうしてだろう。
自分でもわからないほどわたしは彼のことが大好きだ。
好きだとはっきり言葉にすればするほど気持ちは大きくなって、そしてそれを伝える行為に限界があることを知った。
いくら身体を重ねても、いったいわたしの中にある想いがどれだけ彼に伝わっただろうか。
そして彼も同じようにもどかしく想っていてくれているのか。
言葉も行為もし尽くしてしまったように思えて、これからがとても不安だ。
大好きな人と一緒にいれることを幸せと思える時期が過ぎようとしている。
嫌いになることよりも好きという感情の存在を持て余してしまいそうで怖くなった。
そう、彼も想ってくれているだろうか。
.
問いかけるようにわたしはたくさんの方法で彼に気持ちを伝え続けようと思う。








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