留守宅のお庭に立ち入り、作業をすることになった。 あらかじめ立ち入りの許可は貰っているが、形だけ呼び鈴を鳴らし「失礼しまーす」と大声で叫びながら門を開ける。 近所の住人が特別怪しんでいるふうもなく、こちらも後ろめたいことは何一つないのに、誰かが見ている気がして妙に落ち着かない。 物を運び入れながら、何度か門をくぐるたび、正体のわからない視線が背中の辺りに絡みついて離れない。いったい誰なんだ!
そろそろ作業も終わりというところで、相方が「うわっ」と声をあげ私を見てこう言った。 「我々は監視されている。」 「え?え?え?」あわててあたりを見回し、ついに私も先ほどからの視線の主を知る。 門前の塀の上に猫。ばっちりと目が合った。 冷徹で人を小ばかにした、それでいて知的なその顔立ち。無関心を装いたいのに、目の前の動くものをつい目で追ってしまうおばかぶり。完全に置物化して座っているが、顔を近づけてまじまじ見ると、ひげがひくひく微妙に動いた。
その完璧なまでの任務遂行振りに敬意を表して我々は彼に”猫型監視ロボット”の称号を授けたい。仕方なく監視下のもと我々はもくもくと作業を続ける。
(写真)現場の写真を押さえられなかったので、関係ありませんが庭のローズゼラニウムをはっときました。 |