知財コンサルタントの目でみた知財裏話

他とは違う知財コンサルタントを目指している私が 仕事で出会った面白い話題を私の目で見て書いています。
 
2012/03/03 17:39:08|その他
(47)情報は自分の目で確かめてみる
よくテレビを見ていると、これは特許なのでここからお見せできませんとモザイクがかかる事があります。 でも本当でしょうか。
傍にあるパソコンから特許庁のデータベースに繋いでみると、結構ちゃんと書いてあることがあります。 
特許は出願してから
18ヶ月で公開になります。 そして誰もがそれを見て改良特許を考えることによって産業の振興を図っています。 結構その辺りを知らないまま、特許=秘密というレポーターがいて、書いたような発言をしています。 
その度に私は、テレビ画面に向かって違う、違う!!
18ヶ月間は秘密だけど、それ以降は誰にでも見えるだよと叫んでいます。 

タウン新聞がしっかりと取材している例もあります。

今回はその例です。

タウンニュース 平塚版 31

http://www.townnews.co.jp/0605/2012/03/01/136970.html

県農業技術センター(平塚市上吉沢1617)果樹の栽培技術で「樹木の樹体ジョイント仕立て法」という特許を取得した(特許第4895249)



 「梨は樹齢30年を超えると収穫量が落ち始めます。収量を維持するには植え替えが必要になります。元に戻るまで10年ほどかかるのを樹体ジョイント仕立て法で従来の半分の年数で収穫量を回復できるという内容です。



詳細は県農業技術センターのホームページで紹介されています。

http://www.agri-kanagawa.jp/nosoken/jointsystem/nasijoint.htm




県農業技術センターの前身組織である県園芸試験場(二宮町)には、梨「菊水」、「新高」など八品種、桃「白鳳」の原木を保存しており、昔、子供と見学に行った事があります。  今は平塚市上吉沢に移動していましたが、そこでこのような開発をしていたですね。

この特許は審判までやって、発明者側の意見が通って登録になりました。 栽培は地味な仕事ですけどこのような成果になってよかったと思います。



一方地方新聞ですがそこそこの大手の新聞社が特許と商標を間違えている例もあります。 それも出願した段階で登録と間違えている例もあり、大手新聞社の記者のレベル低下に比べると、タウン新聞の記者の地道な取材に座布団一枚です。



 




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2011/05/31 21:56:20|その他
(46)メロディーロード 2
前回のメロディーロードの発明者側の反論をみてみましょう。

発明者側の反論は、引用された特許は実現性がない、未完成発明であると断言した上に仮に引用特許では単発的な音を「所望のリズム」で発生させることができるだけでメロディを奏でることは出来ないとしています。

なるほど、審査官はこの意見書を受け取ったあとで、特許査定にしました。
もともとの出願明細書で従来技術の例として審査官があげた引用特許の3件中2件を記載してあったので、発明者側にとっては、この審査官の拒絶理由に関しては、驚くものではなく、予想された事態でたやすく意見書を作成できたのではないでしょうか。
やはり、事前の公知例調査が大事なことを示している例のようです。


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3.引用発明1の成立性・適格性について

 そもそも引用発明1は未完成発明であり、特許法第29条第1項第3号の「刊行物に記載された発明」に該当しないため、引用発明としての適格性を欠くものと思料します。その理由は以下はとおりです。

 引用文献1の[作用]欄(公報2頁右下欄18行〜3頁左下欄8行)および第3図には
、モータに連結したタイヤをドラム上で回転させたとする実験例が記載されています。

 この実験例では、第2図に示されている3つの溝ゾーンのイ〜ハを車両が通過した場合、それぞれ次のような周波数の音が奏されるとされています。

 イの場合→2073Hz
 ロの場合→1036Hz
 ハの場合→518Hz

 しかしながら、この実験例では、タイヤの周速が「97km/時」とされています(公報3頁左上欄7〜11行)。
また、第2図に示されている溝ゾーンのイ〜ハの長さは、「w=62mm」と定められています(公報2頁右上欄20〜左下欄1行)。
 ここで、「97km/時」=「26944mm/秒」ですから、車両が溝ゾーンのイ〜ハを通過する際の所要時間は以下のとおりです。

 (62mm)/(26944mm/秒)≒0.0023秒

 また、この実験例では、タイヤの回転数が「1430rpm」と設定されているため(公報3頁左上欄7行)、タイヤが一回転するのに要する時間は以下のとおりです。

 (60秒)/(1430rpm)≒0.042秒

 つまり、引用文献1では、0.0023秒という極めて一瞬の間に発生する音の周波数を音階として認識し、なおかつ、0.042秒という極めて短時間の間に複数の溝ゾーンを通過して複数の音が奏されるとしています。

 しかしながら、改めて証拠を示すまでもなく、人間の聴覚が上記のような極めて一瞬の間に発生する音の周波数を聴別することは不可能です。

また、溝ゾーンのハに至っては、溝が1つしか形成されないため、そもそも音階として聴別可能な音は発生していません。

 以上のとおり、引用文献1には、「所定の音楽」を奏するための技術内容が、当業者が容易に実施しうる程度に記載されておらず未完成発明といえます。したがって、引用発明1は、そもそも引用発明としての適格性を欠くものであると思料します。

4.本願発明と引用文献1に記載された発明(以下、引用発明1という)との比較

 上述したように、引用発明1は、引用発明としての適格性を欠くものと思料しますが、仮に適格性を有しているとしても、以下のとおり、本願発明と引用発明1とは、構成上、明確な相違点を有しています。

(1)新請求項1に係る発明(以下、本願発明1という)について
 本願発明1と引用発明1とを比較しますと、両者の構成上、本願発明1では、「前記各溝群は、それぞれ前記各音の音持続時間と車両の想定速度に応じて決定された距離を有する区間内に施工されており」、「前記溝群を構成する複数の溝は、前記区間内にわたって
連続的に形成されている」のに対し、引用発明1では、そのように構成されていない点で相違します。

 この構成上の相違点により、本願発明1によれば、メロディーを構成する各音を所望の音持続時間だけ継続して発生させることができるという、引用発明1では得られない特有の作用効果を奏します。

 これに対し、引用発明1には、そもそも音を持続して発生させるという技術的思想についての記載や示唆は一切ありません。

 具体的には、引用発明1では、以下の記載や図1〜図3からも明らかなとおり、音を持続的に発生させられるものではなく、単に、単発的な音を「所望のリズム」で発生させることができるに過ぎません。




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2011/05/27 21:08:14|その他
(45)メロディーロード
久々の更新です。 
四国遍路に行ったり、適当な知財関係の話題がないまま、しばし更新できないままでした。 今回久々に面白い話題がありましたので、これについて調べてみました。

“メロディーロード公式サイト|株式会社 篠田興業”
http://www.melodyroad.jp/

車が走ると音楽を奏でるという歌う道路の話です。 このサイトの情報ですと、特許登録4708354号という登録番号を取ったそうです。
ホームページには“平成17年9月16日に、篠田興業と北海道立総合研究機構が特許出願申請をしていたメロディーロードが特許されました。技術の無断使用は特許侵害の恐れがあります。“ともあります。  
北海道立総合研究機構との共同事業らしいので、北海道立総合研究機構のサイトhttp://www.hro.or.jp/
に行きましたが、トップ頁から検索してみましたが、どこにあるのかわかりません。
では特許電子図書館で経緯を調べてみましょう。
特許登録番号が4708354号から逆引きすると出願は2005年9月17日 特願2006-535236号です。
権利者は有限会社イーストBiz、地方独立行政法人北海道立総合研究機構の二社
国内優先権記事 特許 2004-304900 主張日(平16.9.18)とあるので、一番最初の出願は2004年ですね。
国際出願記事 PCT/JP2005/017192 国際公開番号(WO2006/030915)とあるので国際出願もしていますね。
引用記事
引用調査データをみると
拒絶理由通知(拒絶理由の引用文献情報) 起案日(平22.8.6)
引用文献番号(特開平2-008401号公報)
引用文献番号(特開平8-246406号公報)
引用文献番号(特開平7-205616号公報)
とありますから、似たような技術として3件の特許があったことを意味しています。

拒絶理由の詳細をみてみるとこうなっています。
理由 2
 この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国におい


P.3
て、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
請求項1に対して
・引用文献 1
・備考
 請求項1に係る発明と引用文献1に記載された発明とを対比すると、
 請求項1に係る発明では、単位施工距離が「各音の音符長およびテンポに基づいて求めた音持続時間と車速とから特定され」、溝幅が、「各音の音量に対応して特定される」のに対し、引用文献1に記載された発明では、「単位施工距離」、「溝幅」の特定過程が明らかでない点で相違する。
 しかしながら、引用文献1に記載された発明は、音楽を奏することができる「音響道路」の発明であるから、音楽を奏することができる道路を形成する過程においては、単位施工距離が音持続時間と車速から特定されることは自明のことである。また、溝幅を各音の音量に対応して特定することは適宜なし得ることである。

(引用文献1に記載された発明と比べて構造上の差異があり、明細書に記載の効果を奏するというのであれば、その点を意見書等で説明して下さい。)

これに対して発明者側の反論はなかなかです。
それは次回で紹介しましょう。




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2011/02/28 10:55:24|その他
(44)擦ると消えるボールペン (着目中)
先日パイロットが、三菱鉛筆を相手取り、製造販売や輸出の差し止めを求める訴訟を起こした。 
パイロットが「フリクションボール」、
製品詳細はここにあります。
http://www.pilot.co.jp/products/pen/ballpen/gel_ink/frixionball/

開発ストーリーとしてパイロットインキ 第一開発部 千賀邦行さんが話をされています。
http://www.pilot.co.jp/library/006/

一方三菱鉛筆が「ユニボールファントム」
製品詳細はここにあります。
http://www.mpuni.co.jp/product/category/ball_pen/fanthom/index.html
の商品名で販売しています。

特許庁にもありました。
特許制度125周年記念事業 「現代の発明家から未来の発明家へのメッセージ」第2期
http://www.jpo.go.jp/cgi/link.cgi?url=/beginner/index.html
ここではパイロットコーポレーションの常務取締役中筋憲一さんが話をされています。
この頁は「現代の発明家」なのですが、特許庁のデータベースをみると、千賀邦行さんは沢山出願はあるのですが、中筋憲一さんの名前はありません。
確かに研究開発の陣頭指揮という立場かもしれませんが、この頁は今まで実際の発明者が書いていたので、ちょっと首をかしげてしまいました。(どうでもいいことかもしれませんが、米国特許庁へ提出する宣誓書では、“確かに私が発明しました”とある部分に署名するのですが、日本は甘いのかもしれません。

個人的には消えない事が特徴だったボールペンが消えるというのは特許的には面白いと思いますが、ビジネス的にはそれほど大きなマーケットにはならない(展示会で私も一本貰いましたが、買うほどのものではない。 消す必要があれば鉛筆を使います)のではないかと考えており、訴訟を起こしても、訴訟費用考えると無駄かなとも考えています。 
でも特許庁の特許制度125周年記念事業に出したとなると面子があるのでないかなとも考えています。

まだ訴訟をサポートしている特許を特定できていないので、継続してみていこうと考えています。



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2011/02/01 21:17:49|その他
(43)著作権に絡む超お笑いの話
知財関係のニュースでこんな面白い話題がありました。
中国国営の中国中央テレビ局が「人民解放軍の空軍演習」として伝えた報道番組の中で戦闘機の撃墜シーンがあります。 これがトムクルーズのトップガンの撃墜シーンと同じという記事で、日本語の記事はここにあります。
http://www.afpbb.com/article/disaster-accidents-crime/crime/2783993/6755614

折角なのでウォールストリート・ジャーナルに行ってみてchina+top+gunで検索すると確かに見つかります。 
http://blogs.wsj.com/
(KEYWORDS=china+top+gunで探してみてください。)

動画を見ると砕け散る機体の破片がトップガンとまったく同じなので、これは言い訳出来ないレベルです。

ハリウッドの著作物を使っているので、どうなるでしょう。 パラマウントが配給元なのですが、中国に著作権使用料を請求するでしょうか?

個人的にはトムクルーズより女性教官のケリー・マクギリスそれもアーミッシュの世界を描いた「刑事ジョン・ブック 目撃者」のほうが好みです。



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