老齢基礎年金の支給は<原則65歳>からです。
ところが、一定要件を満たしている方は60歳以上65歳に達するまでの間に請求して、年金を受け取ることが出来ます。 これを「支給繰上げ」とか「繰上げ支給」といっています。
※支給繰上げには「全部の支給繰上げ」と「一部の支給繰上げ」とがありますが、「一部の支給繰上げ」は昭和16年4月2日〜昭和24年4月1日間(女性は昭和21年4月2日〜昭和29年4月1日間)に生まれた特別支給の老齢厚生年金の受給権者や退職共済年金の受給権者のみが対象となる経過的措置につき、ここでは省略させていただきます。
誰もが、年金が早く貰えることは喜ばしいことですが、年金財政が厳しい折、そう易々と支給してはくれません。 当然メリットがある反面、デメリットも存在します。 まずそのメリットとデメリットについて触れさせていただきます。
1.「支給繰上げ」のメリット
@生活資金の足しにできる。 A元気なうちに受け取って旅行に行ったり、オシャレした り、おいしい物を食べて人生を楽しむことができる。 B資金運用に自信のある人は、資産を増加させる可能 性もある。(減らすリスクもありますけど…) C金利の高い借入金を、少しでも減らすことができる。
など、それぞれの事情において考えられます。
2..「支給繰上げ」のデメリット
@早く受け取れば早いほど受取額が減額され、生涯 減額された額で支給される。
<減額ルール> 65歳からの支給額を100%とした場合、1ヶ月早まる ごとに0.5%減額されます。 つまり64歳11ヶ月から支給を希望すれば99.5%、 64歳10ヶ月からなら99.0%……というように支給割 合は減少するわけです。 1年早ければ 0.5%×12ヶ月=6%減額され支給率 は94%ということになります。 従って、60歳から受給すると0.5%×60ヶ月=30% が減額され、受給率(=支給率)70%となり、この割合 は生涯変りません。<「表」をご覧下さい>
※上記減額率は昭和16年4月2日以後生まれの方に適用 するもので、昭和16年4月1日以前生まれの方の減額 率は下記の通りとなります。これは年単位での減額率に つき、60歳10ヶ月で受給しても60歳と同じ42%減額 になります。
60歳で受給した場合 42% 61歳で受給した場合 35% 62歳で受給した場合 28% 63歳で受給した場合 20% 64歳で受給した場合 11% A寡婦年金(第1号被保険者で加入期間が25年以上あ る年金未受給の夫が死亡したとき、10年以上連れ添っ た妻に60歳〜65歳になるまでの間支給される年金) を貰っている人は繰上支給を請求した時点で打ち切ら れる。また、夫が死亡した時寡婦年金を受給できるは ずの妻が既に老齢基礎年金の繰上支給を受けていれ ば、寡婦年金は支給されない。
B原則、障害基礎年金は支給されない。 (ア)一定要件を備えた被保険者であった人が60歳〜 65歳未満の間に、障害等級1・2級に該当する 障害者になれば障害基礎年金が受給できるが、 それ以前に繰上支給を受けていると障害基礎年金 は支給されない。 (因みに、障害基礎年金の額は1級 993,100円 2級 794,500円 および、一定の要件を備えた子 供がいれば加算額もあります) (イ)障害等級1・2級に該当していなかったばかりに 障害基礎年金が受給できなかった人でも、その後 障害の程度が悪化し、障害等級1・2級に該当す るに至った場合(事後重症といいます)、65歳の 誕生日の前々日までに請求すれば障害基礎年金 を受給できるが、繰上支給を受けていると請求でき ない。
C付加年金(一定の第1号被保険者が申し出て、保険 料に400円の付加保険料を納付した人が、老齢基礎 年金に上乗せして貰える年金)の支給を受けられる人 は、老齢基礎年金と同率で減額される。
D昭和16年4月1日以前に生まれた人は (ア)繰上支給を受けた後、厚生年金適用事業所に就 職した場合老齢基礎年金は支給停止され(この 間、特別支給の老齢厚生年金(=在職老齢年金 )は一定要件が満たされていれば支給される) 離職又は65歳に達して支給再開されても、当初 の減額率はそのまま適用される。 (イ)特別支給の老齢厚生年金を受給している人が、 繰上支給を請求すると特別支給の老齢厚生年金 は支給停止になる。
などがあります。
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