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2010/01/11 21:47:11|竹とんぼとの苦闘
羽根の加工・・・翼型の罫書き

 翼型を罫書きます。
 翼の型板の孔と素材の孔とにSUSばね線をセンターガイドとして差込みます。このセンターガイドは、Φ0.5mmSUSばね線に絹糸を巻き、Φ2mmカーボンパイプの内径Φ1mm部分に差込接着したものです。 SUSばね線はホームセンターで、カーボンパイプはネットショップで購入しました。
写真1 はΦ0.5mmのSUSばね線とΦ0.5mmのドリルです。
写真2 は翼型と素材、筆記用具のボールペン、センターガイド、そして滑り止めシートです。
写真3 罫書きは、型板の中心線を素材中心線に一致させ、片側を罫書きます。次に、型板を180度回転させ中心線に合わせこちらも罫書きます。こうすることによりセンターガイドを中心とした点対称の翼型が罫書けます。
 型板の厚さはなるべく薄くて強度があるものが良いですね。特に軸周り部分は狭くなり、型板を回転させる時や罫書くときのボールペンの押し付け力により曲がり歪むことがあります。
写真4 罫書き終わった翼型です。
 挟み込み軸の翼型は、中心軸(バランス孔のセンター)で両翼がクロスする×線を追記します。

 羽根素材の裏側に罫書きを行うのは、こちらが平面だからです。表皮側の蒲鉾部分に罫書くと、曲率の関係で想定した面積が取れなくなります。型紙を蒲鉾の曲がりに沿って押さえつけるためこの現象が出ます。
 裏面を平面加工し、この面をベースに孔明けし、その孔に直角にセンターガイドを差込、平面の型板を当てていますから、センター孔の中心軸芯と翼型の平面は直角に構成されたと満足しているわけです。
 ボールペンを移動させるときに、型板面との相対角度は常に一定に保つよう注意しましょう。ボールペンの軸心が場所場所により異なった傾きですと、型板の外周に沿った均一な線分が引けないことになります。







2010/01/11 16:51:25|竹とんぼとの苦闘
羽根の加工・・・中心線の罫書き・・・夜中に集中作業

 中心のバランス孔を基準に中心線を引きます。
 線を引く作業の前後に、中心の孔の開口状態を、Φ0.5mmのステンレスばね線でチェックします。特に開口の縁にバリが出ていないことを確認します。
 孔の位置にボールペンを置き、軽く味噌擂り運動を行い、孔の縁にボールペンの玉が上手く嵌まる位置を見つけます。ステンレススケールをそっとボールペンに当て中心線を罫書きます。
 羽根素材は滑り止めシートの上に置き作業を行います。スケールは厚手のものは避け、出来るだけ薄いものを使います。ボールペンとスケールの肩があたりペン先(ボールの先端)が蛇行します。この傾向は厚いスケールほど顕著に現れます。
また、鉛筆でも罫書けますが、中心に開けた孔の真ん中に基点を置くにはボールペンのボールが有効に働いてくれます。またボールペンの方が減りが少なく、きれいな罫書き線が得られます。
 この中心線の罫書きは、夜中に神経を集中させ一枚一枚丁寧に行います。酩酊状態では避けるべき作業でしょう。
 維管束(繊維)が真っ直ぐな素材を厳選したつもりでも中心線を引くと曲がりがはっきり浮き上がります。曲がっていても羽根材として使えないことはありません。

 写真1 中心線罫書き作業
 
 写真2 孔の開口確認(0.5mmSUSばね線)
 
 写真3 中心線罫書き完了







2010/01/10 10:39:07|竹とんぼとの苦闘
羽根の加工・・・バランス孔開け・・・進化した挟み込み軸用

 中心に孔開けを行います。
 挟み込み軸用の羽根の孔開けを事例としてあげます。挟み込み軸の羽根には軸孔は必要ありません。ここで開ける孔は加工途上で最も必要な「バランス調整」のために使うものです。後々掲示しますが、バランス孔にΦ0.5mmのピアノ線を差し込んで左右の羽根のアンバランス発見に使います。
 
孔開け作業に入る前にドリルの刃こぼれのチェックを行います。Φ0.5mmのドリルは粗雑に扱うと切削中に折れる恐れがあります。また、先端部分の磨耗状態を調べます。何枚もの羽根に孔開けを繰り返すとドリルがかなりの熱を持ちますから、小分けし時間を掛けて作業を進めるよう注意しています。この加熱負荷を軽減させる意味でも「ポンチ」を行い表面の硬い部分を予め取り除いています。
 Φ0.5mmのドリルをチャックで掴もうとした時、あまりにも細いのでチャックの隙間に挟まったり、付着ゴミにより完全に締め付けが出来ていない状態でスイッチを入れることが無いよう注意しましょう。
 「PROXXONテーブルドリル」は夜間でも音や振動が気にならず使えます。加えてボール盤の下には厚さ20mmの防振スポンジを敷き、切り屑が飛び散らないよう桐箱の中にセットしてあります。定格は15分ですから、休み休み作業を進めます。
 ドリル作業を行う時、裸眼で見ないと細かいところが見えません。必ずゴーグルを着装し、照明をつけ、素手で行います。ドリルの先端がポンチ穴に自然に入る迄は、羽根材を手で軽く押さえ自由度を持たせ、ドリルが曲がらないよう注意します。
 孔開けが終了したら光にかざし、繊維がばれていないか等の品質検査を行います。

 失敗事例
 ホームセンターで購入した大型の某国製の機械(6,000円位の安売り)では、軸孔開けにはまるで使えませんでした。冶工具の孔開け等には使っています。







2010/01/09 17:01:22|竹とんぼとの苦闘
羽根の加工・・・中心位置の打刻

 いよいよ羽根作りに入ります。中心点の打刻作業を行います。
 
 写真1 中心位置の決定
 長手方向と幅方向の長さを測り中心位置を印します。これからの作業に要する筆記用具は「ボールペン」を使用します。
中心位置に対し、表面の曲率が左右にずれている素材は不良品として撥ねます。
 写真2 中心位置にポンチ打刻
中心位置を決めた次には、ポンチを打刻します。これはドリルの先端が逃げないようにガイドとして設けます。ポンチが無い状態で0.5mm程度の孔を開けようとするとドリルが明らかに曲がり危険です。
 写真3 ポンチ打刻の用具
 打刻するポンチ穴の大きさは、使用するドリルの径により変えます。細めは小さく、太目は大きくします。
挟み込み軸に対応した羽根ではΦ0.5mm、軸貫通型ではΦ2mmのドリルを使用しています。
 写真右から、金敷(製図用重しにスポンジを貼り付けました。夜なべ作業対応です。)
 小ハンマー(百円ショップで購入)、千枚通し(裁縫用をこれも百円ショップです。)、白い敷物は滑り止めのネット(またまた百円ショップです。)、小型ポンチ(錐の先端金具を丸く加工し、竹枝に刺したものです。)
 表皮が比較的柔らかい素材や肉部分を活用した素材には「小型ポンチ」を使い、手の力で打刻します。表面が固い素材は千枚通しと小ハンマーを使います。
 写真4 打刻完了

 参考までに、
 表皮側に翼型を描いていた当時、脂分によりインキが載らないことがありましたが、サンドペーパーで軽く擦り(ケレン作業)脂分を取り去れば十分です。
 滑り止めネットは結構使えます。中心線や翼型の罫書き作業時に素材が動かないようにすると勝手が良くなります。







2010/01/07 21:25:28|竹とんぼとの苦闘
羽根材の作り方・・平板から蒲鉾型へ・・情緒不足の冶工具

 競技用竹とんぼを作り始めた頃、象嵌用の羽根の素材は板状にしていました。竹の表面の重い部分と内部の柔らかい部分を剥ぎ、厚さの中央部分を使い平板を作っていました。 
「竹とんぼからの発想」による作り方でもそのように謳われていたので平板を削りだすのに必死でした。最近は純竹用はもちろん、象嵌用羽根材も表面の皮を残す蒲鉾型にしています。
板状から蒲鉾型に変わってきたのは何故でしょうか。

1.鉋が上手く使えなかったことが一番です。
2.竹とんぼの翼の前縁端、後縁端の角度や垂下り具合(捻り下げ)の罫書きは全て羽根の裏側(竹の内面側)をベースにしています。また前縁端は削り落とすため蒲鉾型でも良いことに気づきました。軸孔加工にも裏面がベースとなります。
3.ヤスリの選択や使い方が上手くなり、表皮の近い部分を使い極力薄く削れるようになりました。
4.翼型を羽根素材の裏側から罫書けば、想定した翼投影面積が転写できます。蒲鉾型の上面に罫書くと、曲率分だけ誤差が出ます。プロペラ設計で謂うところの、投影面積と展開面積の差が出ます。罫書き線がボールペンで円滑に描けるよう裏面を平に削っています。
 
 色々な理由はあるでしょうが、要は手抜きをしているのです。
 帯鋸や電動糸鋸を使い、上面から見ながら外形切断するには平板が必要ですね。

 失敗事例
 写真1は、2002年の夢中人に投稿した「電動鉋」を使用した平板削り冶具です。騒音が大きいは、削りくずは飛ぶは、繊維をばさばさ切るはで、今は使っていません。古来からの竹とんぼ作りには向かない情緒不足の冶具でした。

 写真2、3はその当時の平板の残りです。