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2010/01/22 22:44:15|竹とんぼとの苦闘
羽根の加工・・・外形切り出し・・・こんな工具の意外な使い方

 翼型を罫書き終わったら切出し作業に入ります。
 鋸を使い軸周りの翼型線の直ぐ近くまで切れ目を入れます。外形切出しの際、刃物を翼外形線の翼端側から中心部へと向かい、谷を下るように進めます。中心部を越えて反対側の山に入ろうとすると繊維に沿って割れが発生します。これを未然に防ぐための切れ目です。
 鋸もアサリが無くなると竹に挟まれ一挙に抵抗が増えます。現在使用している小型鋸はOLFAステンレス製替刃式です。ステンレスでも材質区分により錆ますので、採り立ての竹を切った後の養生にご注意を(SUS304、403等)。一時、アサリを再生するために目立てを行いましたが強度の乱視の身には酷でした。多少の効果を感じ自己陶酔した時期もありました。鋸作業は万力に固定します。万力は挟み部が回転自在のものを使用しています。

ニッパの意外な使い方と失敗例
 外形の粗切りにはニッパを使っています。ニッパは片刃のプラスチック切断用です。外形線の近くに沿い切り目を入れることが出来ます。電工用ニッパは両刃ですので、外形線に近い目的の位置に切り目を入れるのが難しいです。2,000円超の値段で厚手の竹も切れそうな大きなニッパを購入してみましたが大失敗でした。刃先の角度が大きくてスパッと切れないで、繊維を踏み潰す感じでした。600円代のプラスチック用ニッパが正解でした。ホームセンターなどの充実により、色んな工具が手に入る時代になりましたが、「道具は使いよう」の格言に今更気づかされました。宝の持ち腐れ、猫に小判でした。
 ニッパにより厚さ10mm程度の竹もバリバリ切断します。常に割れの進行に注意し、少しずつ噛み込ませます。翼端のコーナー部を切断するときには繊維に平行に切らないで、常に繊維を斜めに切断するよう刃を入れます。翼端の角部は事前に瞬間接着剤で固めておき、繊維に沿って割れが走ることを未然に防ぐようにしています。縦にニッパを入れると竹の繊維が深くえぐられます。繊維に平行な部位を切取る時には、外形線より気持ち離した位置に割れ目を発生させるようニッパを運びます。切断する方向に合わせニッパの刃の平らな面が常に竹材の中心に向かうように柄の持ち方を変えます。

 写真1 鋸とニッパ  大型ニッパは失敗例
 写真2 鋸目入れ作業
 写真3 ニッパで外形粗切り
 写真4 ニッパの刃の向き







2010/01/16 22:24:35|竹とんぼとの苦闘
羽根の加工・・・型紙の工夫・・・古い名刺の再利用

 翼型の型紙は腰の強い紙を使うのが良いでしょう。現役時代の挨拶で集まった名刺を張り合わせ型紙としています。
カタログの表紙や社名の入った見積書の表紙などいろいろ活用してみました。名刺を二枚張り合わせた厚さと腰の強さが適当なようです。2枚張り合わせることにより、紙の曲がり癖を矯正できるようです。
 竹とんぼ仲間のどなたかは、大会で頂いた表彰状を切り刻み型紙に転用していると言っておられました。それだけ多くの表彰状を頂いたのでしょうね。素晴らしいことです。

 軸周りの型紙は幅が狭く、特に挟み軸の型紙の中心付近は三角形の頂点に相当しますから、理論的には幅が無いのです。この部分は、接着剤で固め且つセロテープで補強します。工作の終盤過程でもう一度この型紙を使い錘の切出し線の罫書きに使います。このため強度を増しています。
 
 型紙は同じ型を2枚作ります。飛行試験を行った際、どこかを修正すればもっと飛ぶのではないかと感じた時、型紙の部分修正を行います。この時2枚目の型紙を修正の対象とします。

 教室用や飾りとんぼ(友禅色紙などで着飾る)を大量に作るときには、型紙は翼全体のシルエットとしています。競技用に比べ多少の誤差は大目に見てもらい、一挙に罫書き終わるようにしています。この型紙はかなり厚めの菓子箱を活用します。接着剤を何回も吸わせ、シルエット全体をサンドペーパーで円滑に仕上ます。

 写真1 名刺を張り合わせ翼型板に活用

 写真2 翼の型紙(同時に2枚作ります)

 写真3 錘部分の外形罫書き(工作終盤工程で)

 写真4 大量に罫書く作業では翼全体型で







2010/01/15 23:24:39|竹とんぼとの苦闘
羽根の加工・・・翼型・・・回り階段模式図

 回り階段の例えが解り難い説明でしたから、模擬図を描いてみました。

 ステップの高さが高いものは、赤色の斜め線の角度が急です。ステップの高さが低いもの、あるいは高さに比べ幅が広いものは、赤色の斜め線がなだらかです。回り階段を360度一周した時に登る垂直距離は、内側の任意の点でも、外側の点でも同じです。
 
 スーパー竹とんぼの羽根の裏側は、この無限に並ぶ赤線に沿って削り出しています。形としては軸側から翼端に向かうほど角度が小さくなります。
このまま削り出した竹とんぼは高く上がろうとしますが、回転持続性がありません。翼端の角度が大きすぎるためです。動力源の付いていないプロペラに回転持続性を持たせるのはどうしたら良いのでしょうか。
 
 エンジンの付いていないプロペラを創ろうとしているのが「竹とんぼ症候群」の仲間たちです。







2010/01/13 23:04:31|竹とんぼとの苦闘
羽根の加工・・・翼型・・・回り階段からの発想

 どんな翼型が一番良いのか解りません。一ついえることは、伝統的竹とんぼに比べ、プロペラの設計思想や飛行機の翼の要素を取り入れていることかなと思います。 伝統的な竹とんぼの翼方は大半が長方形です。スーパー竹とんぼは三角形を向かい合わせたような鼓型をしています。
 
 竹とんぼの各部分(半径方向の任意の点)が一回転する間に進む距離を均一にする形と作り方はどうしたら理解しやすいかを考えました。ある時ビルの回り階段のステップの並びを見比べて、気がつきました。立地条件が厳しいく狭いところの回り階段は、ステップ間が高くステップの幅(外周基準)が狭く、一気に上る感じです。比較的余裕のあるスペースにある回り階段は、ステップ間の高さに比べ、幅が広く徐々に上る感じです。両者とも建築基準に従った設計であることは間違いないでしょう。
 上から見ると三角形の形で、下のステップを次のステップの高さまで垂直に移動させた時に囲まれる空間の立体三角形の中に、竹とんぼを描けば解り易いことに気づきました。
 回り階段に例えれば、ステップ間の高さが高いのは「高度用」、低いのは「滞空用」と理解しています。
こんなことからか、最近の竹とんぼの形はシンプルな三角形を基本形としています。
 
 写真1 最近の翼型は三角形 
 
 写真2 2010年一番機を横方向から見たものです。軸周りの前縁と後縁を架空の直線で結び得られる角度は大きく、翼端に近づくほどその角度は小さくなっています。これが解り易く言えば回り階段です。
 
 写真3,4 
 2010年の初日に照らされた一番機です。軸周りの板厚は薄く、光り輝いています。翼端部分は厚みを残し重量を確保しています。
 
 







2010/01/12 22:12:11|竹とんぼとの苦闘
羽根の加工・・・翼型の墓標

 竹とんぼの翼型はどのような形が一番良いのでしょうか。スーパー竹とんぼに出会った頃、先輩方によく質問したものでした。この竹とんぼの飛翔能力を初めてご覧になる多くの方々が発する驚愕の一言は「わーっ!こんなに飛ぶの?」、そして「何故なの、どんな形をしているの?」です。
 羽根と軸の2つの部品から成る竹とんぼですが、明らかに伝統的な竹とんぼの形とは異なります。外形のみならず翼理論?を実物で再現させるその工作方法や飛ばし方など、諸先輩が積み上げた実績の上に現在もなお進歩し続けています。

 15年以上前から飛行錯誤(試行錯誤)しながら作った翼型の数々です。当時は厚さ0.3mmほどのプラスチック板に全翼の形を描き、中央に孔開けし片側だけを罫書きに使いました。翼の片側だけあれば罫書きは出来るわけですが、全翼の形を描いたプラスチック板を軽くひねり、任意の板厚の素材にイメージを嵌め込み、捩れ具合などから必要板厚などを想定したものです。
 表裏をひっくり返し型を描くと、想定した翼型とは違った斬新な形が現れる面白さから、透明のプラスチック板を採用していました。
この当時はシンメトリーの美しさに囚われ、兎に角翼型ばかり作りました。実際に竹とんぼとなり、テストフライまで漕ぎ着けた型は何種類あるでしょう。おそらく半数位だと思います。
 今考えれば無駄なことをしたなと思います。プラスチック板に描くための紙の型板を事前に作ることをしていたのですから。飛翔能力の追求もさることながら、友禅千代紙を張った竹とんぼは翼面積が広いほうが見栄えがするなどと、どんどん数が増えていった結果です。これも竹とんぼの愉しみ方のひとつでした。

 大会でお会いする全国の諸先輩に「スーパー竹とんぼ」を見せていただき、脳裡に焼きつけ、帰りの電車の中でメモを取り、帰宅早々型を描く日々が続きました。
 これらの型板をアルバムに閉じ込み、島根大会に持参しました。飛ぶ保証無しで地元の方々にコピーをお渡しし、それを肴に二泊目の夜遅くまでお酒を酌み交わした思い出があります。