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2013/01/12 20:30:30|船の思い出
船の思い出・・・・カーフェリー

船の思い出・・・・カーフェリー
 
古い絵葉書が出てきました。
当時の日本カーフェリー向けの「高千穂丸」です。
専門用語で、船型は「全通船楼船」、船種は「自動車航送客船」といいます。
姉妹船も何隻か建造されています。
エンジンは、三菱MANのV型を2機搭載、36,000PSの出力です。
発電機エンジンの据付に金属のライナーではなく、樹脂製の流し込み式のライナーを採用したことを覚えています。
試運転に乗船したのみで客としての搭乗経験はありませんでした。
この船の模型を作りたくて絵葉書やキャパシティープランを保存してありました。
造船所で艤装中の本船の姿も写してありました。貨物船を専ら担当していたので、本船の設計に携わった時にはわくわく感に満ちていました。
昭和48年10月27日の進水です。27歳を数える当時でした。
カーフェリーの船型は、車を積むデッキを低い位置に広く必要とするため、機関の背が低いV型エンジンが選定されます。機関室の装置設計は非常にやり難かったことを覚えています。







2013/01/12 9:45:00|船の思い出
船の思い出・・・郵船・茨城丸 その2
船の思い出・・・郵船・茨城丸 その2
 
艤装岸壁に係船し艤装工事中の本船には何回も足を運びます。新人にとっては見るもの聞くものが知らないことばかりです。
特に造船所では英語の単語が飛び交います。船そのものが英語の固まりみたいです。エンジンルームの設計とはいえ、外艤(荷役装置、居住区設備)や電気設備、船殻(船体)を受け持つ他部署との連携作業が必須となります。したがって、その部署の管轄する設備・装置に関してある程度の知識が必要です。
現場に行く時には他部署の設備等を見学してきます。艤装中のブリッジから眺めた荷役装置です。
デリックブームやらウインドラスとか現物と教本とを見比べる毎日が愉しくもありました。
遥か向こうには「三保の松原」が見えました。







2013/01/11 12:00:00|船の思い出
船の思い出・・・郵船・茨城丸

船の思い出・・・郵船・茨城丸
 
進水直後に艤装岸壁に横付けした茨城丸です。吊足場は、今の労働安全衛生法では通るのかしら。船尾の足場は材木のようにも見えます。
1965年3月30日起工、1965年10月8日進水、1965年12月25日竣工との記録が写真の裏側にありました。
入社が1965年4月ですから、本船の設計には携わってはいません。
試運転の下働きや改正図のお手伝いをしたように思います。
 
試運転準備では、手製のマノメータを作り、赤インキを薄めた液を流し込みます。エンジンの排ガス出口は赤インキで、過給機出口圧力は水銀入りのマノメータを取り付けます。のんびりした感じがしますが、設計どうりの諸元が得られるか真剣そのものでした。
温度計もパテで取り付け、遠隔温度計との誤差修正など、信頼性のチェックを行なうのです。
 
海面からこれだけ飛び出した船体を想像できないでしょう。
エンジンは既に搭載されています。船尾には、プロペラの一翼が見えています。







2013/01/10 17:00:00|船の思い出
船の思い出・・・ハイグレード輸出船
船の思い出・・・ハイグレード輸出船
 
オランダ向け貨物船の進水式直前の様子です。
初めて配管装置図を任された船です。任されたといっても、区画別に装置設計者が配置され、同時進行しながら作図します。
配管ルートの調整、電気配線との取り合い、船殻構造との当りチェック、ユニット艤装対象範囲の早期出図、メーカ品の承認図処理など多岐に渡る作業を、老練な設計者に混じり汗だくで進めます。
配管図は工作図(一品図)に展開され現場作業の指示書となります。寸法のミスやアングル弁とグローブ弁の選定ミスなどの設計ミスによる損失など、実名で所長報告された記憶があります。
設計はコスト低減の基本である限り、設計ミスは恥だと叩き込まれました。また、出図工程に間に合わない図面は、乗り遅れた指定席の切符と同じだと、設計工程計画管理の重要性を叩き込まれました。

久しぶりに帰省し、懐かしい造船所を眺めてきました。
まるで様子が変わっていました。時の流れを感じました。







2013/01/07 21:47:04|船の思い出
船の思い出・・・初めて見た進水式
船の思い出・・・初めて見た進水式
 
入社後、造船所の設計部門で初めて指示された仕事は、工作室のドアの補強要領の図面作成でした。1965年18歳でした。
船の機関室の一画に工作室があります。旋盤やボール盤、グラインダーなど船内の修理を行なう工作場です。
その部屋の出入り口の鉄板のドアが開閉のたびに歪むので補強せよとのことでした。鉄板の外周を30mmほど折り曲げた弁当箱の蓋のようでした。
薄板理論や膜理論(モノコック?)と理論先行で悩んでいたところ、現場のごついおっさんが、折り曲げた部分と同じ高さのフラットバーをバッテン(X字)状に溶接すれば・・・とのアドバイス。
現場を見ること、知ることが最も大切であることを教わりました。
その船の進水式です。目の前を壁が通り過ぎるだけでした。船の真横で、近くに行き過ぎ全体が見えませんでした。