船の思い出・・・試運転準備
機関室の設計屋にとり一番重要なことは、プロペラを回すことです。
約束したエンジンの燃料消費率で、定格のプロペラの回転数を維持し、本船のスピードを確保することが役目です。
契約した荷物が積めない、燃料消費量が多い、スピードが出ないことにはペナルティーを払わざるを得ません。
写真ー1
このためには、エンジンの性能を確認します。船に搭載する前にエンジンメーカの工場での試運転(陸上運転)に立会い諸元を確認します。
その時の確認事項をメモしたものです。
(設計課長メモ)との注記があるのは、自宅を訪問し聞き出したものです。
陸上運転には船主側の検査官も同時に立ち会います。外国船の場合は英語が通じないと苦労するわけです。
写真ー2
海上試運転用主機機械効率曲線の作成方法をメモしてあります。
陸上運転成績表より、各分出力における主機回転数、制動馬力、図指馬力、図指平均有効圧力および機械効率を抽出する・・・・と今では余り理解できないことが書かれています。
写真ー3
定力率試験成績表から、定力率時における回転変動に伴う図指平均有効圧力の変化を知る。即ち、水動力計のWT一定とし、主機回転数を変化させて運転したとき図指平均有効圧力は若干ずつ上昇する。この割合を調べるものである云々・・・・とあります。
回転数、燃料消費量、エンジン出力の関係を微妙に校正するものであったと記憶します。
計算結果に対する少数点以下の有効桁数の取扱など厳しく教わりました。厳しかったけれども覚えることの楽しさがあった時期でした。