有り余る時間を楽しく過す極意を知った友人らとの交流の場。 環境にやさしい趣味の世界へどうぞ。 趣味は現役の時から持つと人生が倍に楽しめます。
 
2013/01/22 23:26:39|船の思い出
船の思い出・・・馬力計算

船の思い出・・・馬力計算
 
「ASANO」で船底の貝殻や海藻を剥がし塗装完了します。シーチェスのゴミを綺麗に除去しいよいよ海上公試です。マイルポストの設置場所海域まで行き「スタンバイ」です。館山沖からマイルポストを睨みスピードトライアルが始まります。
 
極寒の中での試運転。インジケーターにより足袋(インジケーター線図のこと)を採取するのに、過給機のキーンと耳をかきむしる音、40度以上の温度との数分間の闘い。シリンダーヘッド上のノズルに計器をつなぎ、コックを開けストロークを読み針を押し当てる。マイルポストを駆け抜ける僅かの間に、6シリンダーを終わるわけです。シリンダー数が多いほど疲れます。
 
記録用紙を計測室に届け、即舷側へ出て寒風に身を晒し熱気を冷まします。
 
写真ー1
頭寒足熱中。
 
写真−2
ディバイダーで足袋の面積を計量中。タイガー手回し計算機が見えますね。
シンプソンの技法でしたか。
 
プロペラ回転数を計測する部員、燃料流量計の運針を記録する部員など、それぞれの役目をマイルポスト通過の数分間に集中します。これを往復行なうのです。
チームワークあっての試運転です。







2013/01/21 23:42:19|船の思い出
船の思い出・・・世界のASANOへ回航

船の思い出・・・世界のASANOへ回航
 
船が完成し海上公試に至る前に船底の掃除をします。
船を持ち上げるわけにはいきませんから、ドックへ入れます。
世界に誇る「ASANO DOCKYARD」へ回航し船底を洗い、船底塗料を塗ります。
 
某造船所からASANOまで海上移送するわけです。
 
その当時の横浜港です。40年くらい前ですね。
 
M社横浜造船所、N社鶴見造船所、そして世界に鳴り響いた「ASANO」・・・・・MM21に変わってしまったのか。
その心意気は今でも伝わっています。
 
構造不況なんて予想も出来ない時代でした。







2013/01/20 23:04:14|船の思い出
船の思い出・・・岸壁の母
船の思い出・・・その時には父も母も他界してました。

クス玉から出てきたようなシャッポの自分です。
保証技師の君の遺体を家族の元へ送り届けると・・・・契約書にサインをし出かけました。
輝いています。マスターベーション・・・です。







2013/01/20 0:06:55|船の思い出
船の思い出・・・試運転準備

船の思い出・・・試運転準備
 
機関室の設計屋にとり一番重要なことは、プロペラを回すことです。
約束したエンジンの燃料消費率で、定格のプロペラの回転数を維持し、本船のスピードを確保することが役目です。
契約した荷物が積めない、燃料消費量が多い、スピードが出ないことにはペナルティーを払わざるを得ません。
 
写真ー1
このためには、エンジンの性能を確認します。船に搭載する前にエンジンメーカの工場での試運転(陸上運転)に立会い諸元を確認します。
その時の確認事項をメモしたものです。
(設計課長メモ)との注記があるのは、自宅を訪問し聞き出したものです。
陸上運転には船主側の検査官も同時に立ち会います。外国船の場合は英語が通じないと苦労するわけです。
 
写真ー2
海上試運転用主機機械効率曲線の作成方法をメモしてあります。
陸上運転成績表より、各分出力における主機回転数、制動馬力、図指馬力、図指平均有効圧力および機械効率を抽出する・・・・と今では余り理解できないことが書かれています。
 
写真ー3
定力率試験成績表から、定力率時における回転変動に伴う図指平均有効圧力の変化を知る。即ち、水動力計のWT一定とし、主機回転数を変化させて運転したとき図指平均有効圧力は若干ずつ上昇する。この割合を調べるものである云々・・・・とあります。
回転数、燃料消費量、エンジン出力の関係を微妙に校正するものであったと記憶します。
計算結果に対する少数点以下の有効桁数の取扱など厳しく教わりました。厳しかったけれども覚えることの楽しさがあった時期でした。







2013/01/18 20:27:40|船の思い出
船の思い出・・・捨てられない設計資料

船の思い出・・・捨てられない設計資料
 
20代の頃、無我夢中で仕事に没頭した時の設計ノートが出てきました。
当時はスキャナーやゼロックスなど無い時代でしたからほとんどが手書きのノートです。
また、先輩や上司はそう関単には教えてくれません。今のようにインターネット検索が出来る時代ではなかったため、先輩のノートをこっそり覗いたり、上司のお宅に酒ビンを抱えて行き、教わったものでした。
 
写真ー1
 
煙突の高さの決め方など懐かしい計算式がありました。
ブリッジの上を通過した風が、煙突から出た煙を巻き込まない境界線を求める式です。現在の設計ではどうしているか判りませんが、当時の係長のメモを写したものです。
 
写真ー2
 
試運転時の港内速度を設定する計算式です。なぜこのように決めたのか解説はありませんが、課長のお宅に行き教わったものです。
ねじり振動の危険回転域から5回転ほど離して設定すること。DEAD SLOWの算出値は主機が円滑に運転できることなどの記述が見えます。
 
漸く仕入れた設計資料ですから大切に保管し、捨てられずに今に至っています。