船の思い出・・・奇遇な出会い
オーストラリアの何処の港かは覚えていませんが、JEBSENSの船を見つけました。しかもBORGNESと同じ造船所で建造された船です。一回り小型の21,000DWTバルクキャリア「SWIFTNES」です。
エンジンはPC(ピールスティック)16PCZ2V400です。
Sno.315 昭和47年5月25日の引渡しでした。中間軸受、船尾軸受やプロペラの設計を担当しました。
こんな異国でしかも岸壁が直ぐ隣りです。既に満載喫水まで積載し出港寸前でした。別れを惜しみながら船舶電話での交信を懐かしく思い出します。
シニア延長も終わり退職直前の2009年3月26日、「船の科学館」に行きました。現役当時から一度は行きたいと思っていましたが、造船業務から離れ陸上関連の仕事であったため機会を作れずにいました。
実物大の鋼製ブロックが展示された横にガラスケースに入った「SWIFTNES」を発見しました。懐かしさで胸がグッと詰まりました。
不思議な縁です。赤い糸に結ばれているとはこのような事かと暫し佇んでいたことが鮮明に思い出されます。「船の科学館」も閉鎖(縮小展示?)となり時代の流れを感じます。造船業界の再編成も行なわれています。当時の後輩たちが立派に引継ぎその航跡は決して消えてはいません。
写真ー1
積荷作業中の「SWIFTNES」。ほとんど満載状態です。クレーンブームが立てられ作業中であることがわかります。
写真ー2
タグボートに引かれ岸壁を離れる「SWIFTNES」。僚船同士が汽笛を鳴らしお互いの航海の無事を祈ります。ファンネルマークが辛うじて識別できます。
写真ー3
「船の科学館」、造船部分の展示箇所。「SWIFTNES」の模型が展示されています。船尾近くの一部分が切取られています。ブロックを取外した様子を示しています。写真の奥にある赤い構造物が原寸大の鋼製ブロックです。ブロック建造の実例を示す展示でした。
写真ー4
模型の説明書きです。
試運転の様子や設計段階でのエンジンメーカ(社内の別事業部)担当者とのやり取りも鮮明に思い出します。