1981年と2000年。二度の建築基準法改正で、
住宅の耐震性が見直されました。
しかしその結果、1,500万戸以上もの
「既存不適格住宅」が生まれることに…。…こうした「既存不適格住宅」は実に1,500万戸以上になると推定されて
いる。
大地震に直撃されると倒壊の危険があるこうした既存不適格住宅を、ま
ずなんとかしなければならないことは間違いない。
実は2000年の建築基準法の改定以降の建物でも、耐震基準を満たし
ていない家があることも改めて強調しておきたい。…あなたの家は「構造計算」されていますか?
既存不適格を生んだ2度の大改正
1981年の建築基準法改正における耐震基準強化の主なポイ
ントは、以下の3つだった。
@壁の量をさらに多くすること(1950年時の約2倍)
A構造用合板やせっこうボード等の面材を張った壁などが追
加されたこと
B土塗壁や木ずり壁(塗り壁などの下地として横方向に幅の狭
い板を何枚もうちつけてある壁)の耐震力を厳しく評価し直した
こと 1981年以前の住宅の耐震性を、木造住宅の耐震診断を無料
で行なっている「日本木造住宅耐震補強推進協議会」(木耐協)
が診断したところ、約75%が「倒壊する可能性が高い」、約21%
が「倒壊する可能性がある」で、合計96%を超える。
恐ろしいのは、こうした家がいまでも日本に1,000万戸以上も存
在し、およそ3,000万人の方が住んでいるということだ。
この古い耐震基準の家屋以外にも阪神淡路大震災では全壊・
半壊した住宅があった。
そこで、この対策として2000年に再度、建築基準法が改正され
た。この際の耐震基準強化の主なポイントは次の3つだった。@強い壁には、その力に応じた強いホールダウン金物を使用
すること
Aバランスよく耐力壁(地震・台風などの力に有効に対抗でき
る壁のこと)を配置すること
B建物を支える基礎を地盤の強さに応じた形状にすること現代の日本の住宅は戦前に比べ、住宅の立地はより軟弱な地
盤に建つケースが増えたことで、耐震性が心配な住宅も多くなっ
ている。
そこで、この改正で初めて住宅における地盤の検査が盛り込ま
れた。
2000年に建築基準法が改正されたということは、1981年以降
で2000年までに建てられた家もまた
「既存不適格住宅」になったということを意味する。
ちなみに、1981年以前の住宅の耐震性は、現在の規定どおり
に建てた住宅の耐震性の半分くらいしかなかったと見られてい
る。
いずれにしても、現在の日本には、1981年以降に建てられて
2000年の改正を満たしていない2つめのタイプの耐震性に不
安のある住宅も存在している。 アトリエ1059一級建築士事務所
一級建築士 仙石 宸士
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TEL 090-3211-0002 FAX 0463-73-2110
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