幻塾庵 てんでんこ

大磯の山陰にひっそり佇むてんでんこじむしょ。 てんでんこじむしょのささやかな文学活動を、幻塾庵てんでんこが担っています。
 
2018/03/19 12:00:00|事務長雑記
〈大波小波〉事件


2月7日、「てんでんこ」発行元の七月堂からのメールの、用件のあとに「大波小波にてんでんこのことが書かれていました」とあった。

ネットで調べてみたら、1月25日の〈大波小波〉が「てんでんこ」を取り上げていると判明。

新聞を読まない知人に、緊急事態発見装置として東京新聞はとっている、ときいていたのを思い出した庵主が問い合わせてみると、「明日古紙回収に出すところだった」と、該当コラムが届く。

〈大波小波〉といえば、東京新聞の前身、都新聞の頃から続く名物コラムで、歴代の匿名執筆者にはそうそうたる人物が名を連ねているらしい。

《小さな文芸誌「てんでんこ」》という響きがよいのだそうで、事務所の壁には、事務長の写真と並んで〈大波小波〉のコピーが貼られた。

ところで「蟇蛙氏はだれ?」という疑問がふくらんでいくのを、しばらくはガマンしていた庵主が、匿名コラムに対するマナーも顧みず、「もしや、あなたが蟇蛙さんでは?」とあちこちに当ってみたものの、すべて空振り。謎が深まっているのだそうだ。

謎は謎のままに……?







2018/02/28 14:18:17|事務長雑記
森禮子さんの近作 その2


「てんでんこらむ」の常連執筆者でもある
日本画家の森禮子さんの作品
 
猫の日(2月22日)生まれの森禮子さんのもとには、
鴉に襲われていた子猫とか排水桝に紛れ込んでしまった猫とか
さまざまな窮地に陥った猫たちが集まってくるらしい
猫族にとってはホトケのような存在です

 







2018/02/28 14:10:00|事務長雑記
森禮子さん近作 その1
 

「てんでんこ」にコラム(てんでんこらむ)を寄せている
 
日本画家の森禮子さんの、最近の作品







2018/02/07 15:07:53|事務長雑記
川口好美さんのエッセイ

「てんでんこ」第9号に「中野重治」とてんでんこらむ「マニウケル」を執筆された川口好美さんのエッセイ。昨年末の北海道新聞夕刊に掲載されたものを、転載します。



雪かきの話

 朝、雪かきの音が聞こえてくると、自分にもそれが強制されているように感じて厭な気分になる。〈自宅前をいくら綺麗に雪かきしたところで隣の家(僕のことだ!)があんなざまではなあ〉と隣人は思っているのではないか。そう勘ぐってしまう。道内出身の記者の方にこのことを話すと、いやそれはいかにも本州的な考え方で、北海道の人はご近所云々ではなくただ好きで雪をかいているんですよ、と返された。そのとおりだろう。ただ、後日思ったことがある。僕のひねくれた考え方の根っこには、不徹底な性格についてのコンプレックスがあるのだろう、と。
 どうにも不徹底なのだ、僕は。子どものころからずっとかわらない。正月休みに書き初めの宿題があった。苦労して清書した作品を提出用の台紙に貼り付けようとスティック糊を走らせると、力が入り過ぎていたのか、半紙が破けてしまった。ふたたび清書し、なんとか台紙に貼り付けたが、こんどは半紙が不格好に傾いている。さいごのさいごでまっすぐ丁寧に貼れなかったのだ。労を惜しんだというよりは〈まっすぐ〉という観念がその瞬間だけ自分のなかからふっと消えていたという感じだろうか。びっくりした。あんなに苦労して書き直したにもかかわらず、どうして、いざ貼りつけるという段になって〈まっすぐ〉貼ろうとしなかったのだろうか、と。万事このようであった。
 わかっちゃいるけどどのように身をよじっても切り離すことができないのが、性格というものなのだろう。どたん場での詰めの甘さ、不徹底さが一向に改善されないまま、僕は大人になった。そして、ひょんな巡り合わせで本州から雪かきが必要な北海道は斜里町に移り住み、道南出身の女性と結婚し、男児を授かり、マイナーな分野でモノを書いている。
 雪かきには僕の不徹底なところが如実にあらわれる。だから雪かきが嫌いなのだ。綺麗に雪かきされた地面を見て、僕はいつも不思議に思う。どうすればこんなふうになるんだ、雪をかいたときに左右に痕跡として線条が残るはずではないか、それはいったいどこに消えたんだ……。妻にそのことを訊ねてみた。すると彼女は、それもかいたのよ、と答えた。僕は、それをかいたとしてもまた左右に筋が残るはずじゃないかと問い返した。最終的にそれをなくすのが雪かきというものなの、と言った。結局よくわからなかった。が、はっきりしたのは、少なくとも僕には出来そうもないということだった。
 もともとモノカキを志していたわけではない。大学卒業後は、名だたる哲学者たちの難解な著作を理解できないままに濫読し、立派なことが書いてある(と思われた)箇所を汚い字でひたすら抜き書きしていた。4、5年のあいだにA4サイズのぶ厚い大学ノートが何冊も消費され、視力が落ち、腱鞘炎になった。まったく喜びがなかったと言えば嘘だが、徒労感のほうが圧倒的に大きかった。なにかの役に立てようという意図はまったくなかった。ただ現在から回顧すれば、目的のない苦行をひたすら反復することで、僕は自身の不徹底さからなんとか抜けだそうとしていたのかもしれない。いわばそれは不器用な祓いの儀式だったのかもしれない。他人が書いたものを写すだけではなく、白紙の原稿用紙に自分の言葉で書くようになった今も、それはかわらない。かわってはいけないと思っている。僕は、自分の不徹底さ、詰めの甘さ、意志の弱さを、なんとか克服したいと念じながら日々机に向かうのだが、容易には叶わない。
 ひょっとすると、それが叶ってはじめて、僕は心底望んで雪をかくのかもしれない。徹底的に。しかしいつのことになるやら。窓外では今もしんしんと雪が降っている。おじいさんが雪かきをしている。僕はその様子を、相手に気づかれぬようこっそり覗き見ている。



 







2018/02/07 14:26:02|文芸誌てんでんこ
「てんでんこ」第1号〜第9号総目次
「てんでんこ」第9号までに集った、20代から80代の40名余の作品


阿部晃士 第4号てんでんこらむ〈わからない〉

井口時男 第2号〜第4号 新旧の句帖から 冬/春&夏/夏&秋&冬
     句帖から 第5号 第6号(2014年) 第7号(2015年)
     第8号(2015年夏から秋) 
               第9号(2017年 付・連作「タバコのある風景」)
     第3号 テキスト・クリティーク「せめて二十歳のその日まで」
     第4号 石原吉郎私記――「位置その他」
     第5号 人間の「条件」――石原吉郎私記(2)
     第7号 光部美千代さんを悼む
     てんでんこらむ 第2号〈東北白い花盛り〉第3号〈季節に認識ありやなしや〉
     第4号〈貫く棒の如きもの〉第5号〈卵食ふ時口開く〉
     第7号〈草二本だけ生えてゐる〉第8号〈鼓膜の秋となりにけり〉
     第9号〈長子家去る由もなし〉

いまきりゑこ 第9号てんでんこらむ〈沖縄ことはじめ〉

上野火山 第8号 舞台「空にはきらきら金の星―落雀の候―」を終えて

エセ物語編纂人 第1号〜第9号 エセ物語《丙子》〜《辛卯》

大庭葉蔵 第8号 随想  第9号 斗南一人――会津人柴五郎の遺書をめぐって
     第8号てんでんこらむ〈アイダに立つ〉

川口好美 第9号 中野重治
     第9号てんでんこらむ〈マニウケル〉

金栄寛 第3号 屏風
    てんでんこらむ 第2号〈アリアドネの糸〉  第4号〈テキスト動物園〉

許鎬 第8号てんでんこらむ〈日本語と私〉

齋藤由美子 第5号てんでんこらむ〈こどもの歌〉

佐藤亨 T・S・エリオット訳詩 第1号 荒地  第2号〜第4 四つの四重奏
    第5号 灰の水曜日  第6号から第7号 岩の合唱
    第8号 プルーフロックの恋唄  第9号 詩篇1920年
    てんでんこらむ 第2号〈タバコをやめた話〉 第5号〜第9号 〈TORU写真館〉
    第9号〈原子力という共同幻想〉

関典子 第3号てんでんこらむ〈体内季節〉

高島易子 第9号 タワダヨウコ語のささやき
     第8号てんでんこらむ〈春子と修羅〉

舘野七帆 第8号てんでんこらむ〈消えたドジョウ〉

田中和生 第1号〜第7号 戦後文学と世界文学のあいだ――戦後文学の構造分析1〜7
     第8号〜第9号 郷士歌集1〜2
     てんでんこらむ 第1号、第3号〜第5号、第9号〈極私的なカブトムシの神話〉

田中さとみ 第5号 仙人現れる! 第6号 痰 第7号 ムカシトカゲ
      第8号 森に入ってめかくしをしたらクダアと鳴いた
      てんでんこら 第5号〈東京のおばけ〉 第6号〈カメムシと豆まき〉
      第7号〈ニョロニョロ観察記〉 第8号〈野辺山にて〉

多和田葉子 第9号 魔の山の麓にて

知念明子 第6号〜第8号てんでんこらむ〈七月堂って何屋さん? 1〜3〉

綱島啓介 第1号〜第4号 ムーサン・カサイエの歌1〜4
     第5号 あぶく話  第6号 ありのままの話
     第7号〜第8号 ヘマを踏む1〜2  第9号 そら
     てんでんこらむ 第1号〜第9号〈ヨミカキコリカ〉

角田伊一 第8号てんでんこらむ〈たかが虫けら〉
     第9号 イザベラ・バードの軌跡――見逃されたもう一つの会津

寺田幹太 てんでんこらむ 第3号〈天幕〉 第4号〈仏法僧鳥〉
     第5号〈アウエルバッハの魔術師〉 第6号〈南極の犬〉 第7号〈浅草のおなみ〉
     第8号〈津軽海峡〉 第9号〈天幕再訪〉

鳥越覚生 第3号てんでんこらむ〈コシカケル人〉

中嶋美紀 第8号てんでんこらむ〈柳田國男が見た地球〉

長谷川萌 第4号 家路

平田詩織 第1号 隻影/愛  第2号 春黙し  第3号 花火  第4号 歌う人
     第5号 貝のために  第6号 光の家  第7号 春子  第9号 覚醒
     てんでんこらむ 第1号〜第8号〈またたく〉

福田拓也 第2号 空洞行き着かない過程の中で伸びる鳥の
     第3号 全く別の言語に語と語のそのいくつかの波頭が
     第4号 海處行けば骨片の浜辺を磯傳ひ……

藤田直哉 第9号 《野》の人――室井光広論

松川好孝 てんでんこらむ 第6号〈懐かしい場所〉 第7号〈夕空晴れて〉
     第8号〈夜の八王子〉 第9号〈バカ尾根を登る〉

村松真理 第1号 ジャム  第2号 影の灯  第3号 甜瓜行  第4号 よあけのさんぽ
     第5号 誕生日の子供  第7号 夏の子供  第9号 庭の画帳 納戸物語(1)
     てんでんこらむ 第2号〈箱の中より〉 第4号〈キツオンポルカ〉
     第5号〈さとがえりの記〉 第6号〈ジャンル?〉 第8号〈饗宴(ステイル・ライフ)〉
     第9号〈食べられるアイドル〉

室井廣一 第5号てんでんこらむ〈護身術としてのお掃除〉

室井光広 第8号 ワラシベ長者考

本山洋介 第5号 曲走

森禮子 てんでんこらむ 第2号〈カンムリカイツブリ〉 第3号〈救済記〉
    第4号〈顔〉 第5号〈最初で最後のカラオケ 〉第6号〈クロの選択〉
    第7号〈小径〉 第8号〈素に立つ〉 第9号〈ともしび〉

山岸聡美/あき津/加豆美 第8号 桃の家一家オーガニックの旅

山本秀史 第8号てんでんこらむ〈ある一冊の本を読んで〉

夜鷹市蔵 第8号 孤島句のゆくえ――齋藤愼爾論序説
     てんでんこらむ 第8号〈破局と月並〉第9号〈ひ・と・ご・ろ・し〉

吉田文憲 第1号 水辺にはいろとりどりの火が訪れている/この文字はだれの息をたど
     っているのだろうか/…………
     第2号 消点/生誕/さまよう息/その人は/倒れたところが/…………/
     レクイエム/弱い光 第3号 隕石が 第9号 dumbの影
     第4号てんでんこらむ〈記述の魔〉〈微妙な立ち位置〉

渡部純夫 第7号てんでんこらむ〈分校の頃〉

無署名 第1号 願文――「てんでんこ」創刊覚書に代えて
    てんでんこらむ 第1号〜第9号〈アリギリスの歌〉 第2号〈訪い〉
    第2号〜第3号〈昭和の短篇小説〉 第4号〈読書人心得?〉
    第6号〈快不快〉
 


「てんでんこ」第1号〜第9号は、七月堂オンラインショップで入手できます







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