小田原市文化部文化財課では現在御用米曲輪整備事業に伴う発掘調査において、 戦国大名小田原北条氏の庭状遺構並びに主殿に伴う礎石建造物の跡など、 全国史的レベルの重要な発見があったと先日1月8日(水)に記者発表がありました。 また、小田原城の歴史や構造を考える上でも重要であり広く一般の方々に公開するためにも、 平成25年2月16日(土)において現地説明会を開催すると発表がありました。
御用米曲輪は昭和57(1982)年に第1次発掘調査が行われた以後臨時駐車場として利用されてきましたが、 文化庁の指導により第2次調査が平成22(2010)年に行われ以後年度を追い現在第4次調査まで行われてきました。 城絵図や文献資料などにより江戸時代では徳川幕府の米蔵が置かれた場所であることや、 土を盛ることで造られた曲輪の構造から戦国時代から変わらず利用されていたとこれまで考えられてきました。 しかし、北条氏の主郭に当たる遺構を検出したことからこれまでの考え方大幅に見直さなければならない状況になりました。
第4次調査については昨年8月18日(土)に既に現地説明会が行れており、 全国的にも遺跡として出土するのが稀な江戸時代の瓦積塀やそれに伴う建物の跡らしき空間、 小田原では初見の戦国時代の礎石建物の跡などが公開されました。
今回礎石建物跡の調査範囲を拡張したところ1間がおよそ6尺2寸5分(189㎝)を基準として6間以上X3間の規模であることや、 戦国時代に少なくても3期にわたって使われていたことなどが判明しました。 又、礎石建物跡の西側からは玉石が敷き詰められた道路や石組水路まで確認されており、 少なくてもこの3期のいずれかで使われていた可能性があるとのことなどが判明しております。
第1次調査時の第4トレンチからは北条氏の庭園と思われる遺構が出土したため、 調査範囲を拡大し確認したところ3箇所の調査地点において、 水路や石垣を伴う堀、砂利敷の庭、池や築山と思わしき遺構などを検出している状況。 その範囲は70mにも及ぶ規模であり、礎石建物の跡とも同一軸上に配置されていることから、 これらが同時期に利用されていたことなどが判明しました。
中でも風祭石(溶結凝灰岩)、鎌倉石(凝灰岩質砂岩)、安山岩の円礫や五輪塔の火輪など、 様々な石材を組み合わせて彩りを見せる配置の石組水路や、 ブロック状に組まれた土止めの石積み、石垣として70点以上の火輪が敷き詰められた池と思わしき堀など、 全国でも類を見ない遺構を検出している状況。 しかし、現在の技術では以上の遺構保存が難しく後世に残していく為にも埋蔵保存という形で埋め戻されてしまうとのこと。 遺構が観られるのも調査中の期間だけとなり、多くの方に現地説明会に足を運んで頂きたいと関係者は語っていました。
以下に現地説明会の詳細を記します。
日時: 平成25年2月16日(土) 午前10時~午後3時まで時間内自由 場所: 小田原城址公園 御用米曲輪(旧野球場及び臨時駐車場) 入場料: 無料 担当職員による説明会:① 午前10時より ② 午後1時より お問い合わせ:小田原市文化部文化財課 0465‐33-1715
関東に覇を唱えた北条氏の庭園を生で観ましょう!! |