NY原油71ドル突破 ガソリン値上げ圧力、マイカー行楽族直撃 (産経新聞 - 04月19日 ) 十八日のニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)の原油先物相場は、イラン核問題への懸念などから三営業日続けて上昇、取引の指標となる米国産標準油種(WTI)の五月渡しは一時一バレル=七一・六〇ドルまで急伸し、一九八三年の取引開始以来、初めて七一ドル台を突破した。終値も前日比〇・九五ドル高の七一・三五ドルで過去最高値を更新。原油価格は過去四年間で一バレル=二〇ドルの水準から五〇ドルあまりも上昇したことになる。
イランの核問題に加え、石油施設への攻撃などが続くナイジェリアの政情不安や、昨年相次いで来襲した大型ハリケーンの影響で稼働率が全面復旧していないメキシコ湾岸の石油精製施設の状況が、供給不安に拍車をかけている。
さらに、米エネルギー情報局(EIA)が十九日に発表する週間在庫統計で、ガソリン在庫の減少が明らかになるとの予測が広がり、ガソリン供給への懸念も原油相場に影響した。
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原油価格高騰を受け、ガソリンの小売価格上昇が懸念されている。ゴールデンウイーク(GW)を間近にひかえ、マイカー族の財布を直撃する可能性も高まっている。
石油元売り大手の出光興産は二十一日以降に出荷するガソリン、軽油などの卸売価格を一リットル当たり二・一円値上げし、五月一日からの出荷分はさらに一・五円の値上げを見込み計三・六円の値上げとなる。他の大手元売り業者も追随する見通しが強い。加えて十日に東燃ゼネラル石油堺工場(大阪府堺市)で火災が起きたのに続いて、コスモ石油千葉製油所(千葉県市原市)でも爆発事故が発生し、さらなるガソリン価格の上昇への懸念が広がっている。
石油情報センターの石油製品市況の週間動向調査によると、レギュラーガソリンの全国平均小売価格(十日現在)は百三十一円で、五週連続で価格を据え置いている。ガソリンスタンドが元売り価格の上昇分を吸収していた格好だが、それも限界点に達している。
ガソリンスタンドでは「これ以上の吸収は難しい」ともらす。これまでの価格未転嫁分もあり「二円以上の値上げに踏み切る可能性もある」とも指摘する。行楽シーズンを前にした駆け込み需要も始まっており、低価格を売り物にするセルフスタンドの需要増も見込まれる。
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