今まで読んだ本の中で一番怖かった本です。
作者は大石 圭、『アンダー・ユア・ベッド』でも紹介しましたね。今回も平塚駅の海側、13階建てマンションの最上階が舞台になってます。
川原ユカは1303号室を賃貸し、引越しを終えました。その日の晩のことです。恋人の亮太は親戚に不幸があり、今夜は来れそうにありません。
ベッドに入ったユカが寝返りをうった時、臭いがした。 「えっ?」 そう。臭い・・・・・・肉の何かが腐って溶けて、ドロドロになって崩れていくような・・・・・・不吉で、不気味で、忌まわしい臭い。
その時、寝室のドアの向こうから、ギシッという微かな音がした。 ひっ。 心の中で悲鳴を上げる。ベッドの中で体を硬直させ、耳を澄ませ・・・・・・目を見開いて白いドアを見つめる。 ギシッ・・・・・・ギシッ・・・・・・。 空耳ではなかった。それは何かが、ドアの向こうを移動して行く音だった。 ギシッ・・・・・・ギシッ・・・・・・ギシッ・・・・・・。 足音は寝室のドアの前を通り抜け、ダイニングキッチンのほうにゆっくりと移動していった。 ・・・・・・いっ・・・・・・いいっ・・・・・・いいいっ。 ユカは激しく震えた。心臓が猛烈に高鳴り、歯がガチガチと鳴った。どうしたらいいのか、わからなかった。
やがて、ダイニングキッチンで冷蔵庫の扉が開くような音が聞こえた。冷蔵庫から何かを取り出すような音・・・・・・しばらくして冷蔵庫の扉が再び閉められる音がした。 ・・・・・・いいいっ・・・・・・いっ・・・・・・いいっ・・・・・・。 何もできなかった。ベッドの中で震え続けているだけだった。全身の毛穴が冷たい汗を噴き出し、わずかに漏れてしまった尿が下着を濡らした。 ギシッ・・・・・・ギシッ・・・・・・ギシッ・・・・・・。
足音が再び始まった。そう。『それ』は今、間違いなくダイニングキッチンにいた。
やがて、南に向いた隣のダイニングキッチンの大きな窓が開けられる音がした。その直後に、窓の閉まる音が聞こえた。 そう。それがベランダに出て行ったのだ。 ベッドの中で両手で口を押さえ、猛烈に震えながら、ユカはカーテンの向こうを見つめた。けれど・・・・・・もうそれっきり、物音は聞こえてこなかった。
ユカは一睡もできず、朝を迎えた。やがてサイドテーブルの上の目覚まし時計がけたたましく鳴り、ユカはようやくベッドに体を起こした。
汗ばんだ手でパジャマの尻を拭う。それからユカは恐る恐る部屋の中を歩きまわり、色々な場所を調べた。けれど・・・・・・侵入者の姿どころか、その形跡さえどこにもなかった。 ・・・・・・夢を見ていたのかな?
無意識のうちに顔の筋肉が緩む。 「バカみたい・・・・・・」 声に出してユカは言った。
安心したせいか、急にのどの渇きを覚えた。コンビニで買ったミネラルウォーターを冷蔵庫から取り出す。 ペットボトルのふたを開け、無造作に口をつけた瞬間、再び全身を恐怖が覆った。 「いやっ!」 ペットボトルの注ぎ口に、真っ赤な口紅がついていた。 ペットボトルの注ぎ口には口紅が・・・・・・血のように真っ赤な口紅が付着していた。そんな色の口紅をユカは持っていなかった。だとしたら、これはいったい誰の・・・・・・ 「どうして?・・・・・・どうして?・・・・・・」 凄まじい恐怖に胃がキリキリと痛み、強烈な吐き気が、喉元まで込み上げてきた。
ちょっと長くなりましたが、第一章の一部です。本当の恐怖はここから始まりますが、あまり書くと読む楽しみがなくなってしまうので(楽しくないか?)これぐらいにしておきます。
この本より怖い本があったら、誰か教えてください。ぜひ読んで見たいです。
それからこの「1303号室」、誰か読みたい人いますか?左側のお問い合わせのメールフォームからメールを下されば、タダで送ってあげます。あまりにも怖いので、ウチに置いておきたくないので・・・・・・ ぜひ読んでください。 |