少年詩時評『高市首相の施政方針演説』を読む 佐藤重男
□ 今朝の朝刊を目にして、「あっ」と小さく叫んでしまいました。 一面のやや下段、一枚の写真が目に入ったのと同時でした。その写真には、一人のスピードスケートの女子選手が、観客席に向かって深々と一礼している姿が写っています。 なんといっていいのか、いまのわたしの感情を的確に表す言葉が見つからないのですが、その写真のあまりの痛々しさに息が詰まったのではなく、わたしが、感じたのは、メダルは当然と思われていた選手が戦いに敗れ、観客に向かって深々と腰を折らなければならない、その同調圧力に屈したかのようなお辞儀を要求する観客(おそらく日本人たち)、そして何よりも、その姿を写し、紙面の一面に配する新聞社の「配慮」に対して憤りを覚えた、というのが一番近いかもしれません。――東京新聞2月22日付一面の写真を見て 閑話休題。
□ さて、本題に入ります。 きのうの2月21日の東京新聞の朝刊に、2月20日に召集された特別国会(会期170日間)での高市早苗首相の施政方針演説の全文が掲載されています。 本ブログでは、これまでも、日本の「最高権力者たる首相」の国会での施設方針演説や所信表明演説の文言を読み解くことで歴代政権の特徴やその目指している政治のあり方について論考を試みてきました。 それは、これまで言ってきましたが、言葉を大切にしたいと思い続けてきた少年詩の書き手、そして、それを評する者としての使命、と考えてきたからです。 今回も、これまでと同じように、演説に登場する「ことば」の頻度を比較しながら、新政権の特徴を洗い出してみようと思います。 では、昨年2025年10月の臨時国会での高市早苗首相の所信表明演説と、2026年2月の特別国会での施政方針演説を読み比べてみましょう。 * まずは、わたしの独断と偏見で、次のような文言を特徴として拾い出してみました。数字は、登場回数。
2025年10月臨時国会 2026年2月特別国会 高市早苗首相の所信表明演説 高市早苗首相の施設方針演説
国民の皆さま 10 12 わが国 5 14 国家国民のため 4 0 高市内閣 0 5 強い経済 3 0 「強い経済」 2 5 未来 3 3 「未来」 0 1 希望 3 0 「希望」 0 4 不安 4 2
などなど。 ざっと拾ってみただけでも、いくつか、特徴的な文言が目につきます。 * 増えたものもあれば消えたものもあります。 わが国≠ヘ、5→14へ、その登場回数は約3倍。 また、高市内閣≠ニいった文言は、前回の0→5回へと急増。 一方、前回不評だった、国家国民のため≠ヘ4→0となっています。 * もう一つ特徴的なのは、高市政権の「売り」である、強い経済≠ェ「強い経済」≠フように、カッコ付きで使われていること、さらには、希望≠フ文言もカッコ付きになっていることにあります。 見てみましょう。 強い経済 3→0 「強い経済」2→5 未来3→3「未来」0→1 希望3→0 「希望」0→4などなど、となっています。 どうして、今回は、カッコ付きが多いのでしょうか。 カッコ付きにする理由についてネットで調べてみました。
文章を明確にし、読者が情報をより簡単に理解できるようにするためカッコ 付きにする理由は、文章を明確にし、読者が情報をより簡単に理解できるよ うにするためです。カッコは、特定の情報や文を強調したり、補足情報を提 供したりするために使用されます。例えば、会話の一部を引用する場合や、 特定の情報の重要性を示す場合にカッコを使用します。また、文脈によって は、カッコの種類や位置を変えることで、文章の構造を柔軟に調整すること も可能です。 navy-p.com+5
「強調するため」「評価が定まっていない場合」「引用であることの明示のため」などと理解してきたので、なるほどと納得できました。
□ 高市首相の、所信表明演説と施政方針演説を読み比べてみての印象から、2月20日発足した第2次高市早苗内閣の特徴を、衆院選での「大勝」(=国民の信任を得た)を追い風に、「強い」内閣が求められている、という意識に捉われた内閣、と言うことができそうです。 その自信の表れが、不安≠ニいう文言が4→2へと半減したことに見て取れるのかもしれませんが。 * ただ、わが国≠ヘ、わが国≠ヘ、と連呼し、これもあれも高市内閣≠セからやりうるのだ、と言い募らざるを得ないところに、高市政権の弱点が潜んでいる、と穿った見方もできそうです。 また、先ほども触れた、未来、希望がカッコ付きであるところにも、自信というよりも強がりに近いものを感じますが、どうでしょうか。 窮すれば窮するほどに強がってみせる、あのトランプ氏と同じ轍を踏まなければいいのですが…。
□ もう一つ、今回の高市早苗首相の施政方針演説の特徴として、文字数が多い、ということがあります。 以前から、わたしは、各種演説を、新聞に掲載されたものを読むようにしてきましたし、今回も、新聞記事を何度も読み返して、特徴的な言葉遣いを拾いました。 そうしたとき、今回の施政方針演説は、これまでの歴代のそれと比べて一目瞭然。文字が小さく、文字数が多いことが一目で分かりました。 で、数えてみました。 2026年2月の高市政権の施政方針演説 13776字 2025年1月の石破政権の施政方針演説 12194 2021年1月の安倍政権の施政方針演説 11037 * まあ、大変でした。 なお、お断りしておきますが、小見出しなども含めて数えてあり、また、新聞社の都合で、一行が不揃いであるものもあり、ここに掲げた数字が「正確」でないことをご承知ください。 だとしても、今回の高市首相の施政方針演説が長文であることには間違いないと思われます。 そして、その大半が、いわゆる企業への出動要請=財界への配慮≠ニ読み取れるものとなっている、と言わざるを得ません。 自分の背中を押してくれた国民の皆さま≠ヨの配慮はいったいどこへ行ったのでしょうか。
― この項 完 ―
いつものことですが、新聞記事等からの引用にあたっては、誤字・脱字等のないよう努めましたが、お気づきの点がありましたら、お知らせください。
2026.2.22 2026.2.24 一部誤字訂正 |