少年詩時評『たなばた』 佐藤重男
□ もうすぐ「たなばた(七夕)」。 満天の星空の中、織姫と彦星は1年ぶりの逢瀬をたのしむことができるでしょうか。
□ いつものように、少年詩の作品に登場する「たなばた(七夕)」について見てみようと思います。 まず、タイトルに「たなばた」が登場する作品。
たなばた 清水たみ子「あまのじゃく」国土社 1975.11 たなばた いちかわゆう「風の詩集 ふるる」ぶんしん出版 2021.2 七夕 宮田滋子「愛一輪」銀の鈴社 03.7 七夕 冨岡みち「かぞうられへん せんぞさん」銀の鈴社 03・11 七夕 はやし ゆみ「こころの小鳥」銀の鈴社 2019.9 七夕さん まきたかし「いつく君の花咲くとき」銀の鈴社 85.7 病院の七夕 にしかわ とよこ「子どものための少年詩集2016」 銀の鈴社 2016.11
以上、7編が見つかりました。 続いて、作品の中に登場する「たなばた」。 びっくりしました。あまりの少なさに…。 わずか3編でした。
あまのがわ 山本純子「あまのがわ」花神社 04.3 おりしも/たなばたかくれんぼ 石原一輝「雲のひるね」銀の鈴社 09.3 おおきく なったら/つかわせて/たなばたさまに ねがいごと 石原一輝「雲になりたい」銀の鈴社 94.5 たなばたさまの/ねがいごと
□ 「かくれんぼ 石原一輝」のなかの「つかわせて」は「仕える」の意、と思われますが、どうでしょうか。 いずれにしろ、タイトルでは「七夕」が多く、作品のなかでは「たなばた」だけが使われていることがわかりました。 やはり、タイトルとしては、「たなばた」よりも「七夕」の方が読み取りやすいからではないでしょうか。 また、歳時記としてみたとき、季節感を呼び起こすものとしての「たなばた」は、「あじさい」(タイトル19編、作品23編)などに比べてその少なさが目立ちます。 その理由について、一つには、わたしのデータベースは、これまで発行された少年詩・童謡集に収められているすべての作品を収録しているわけではない、という物理的≠ネ問題、そして、もう一つ言えることは、「七夕(まつり)」は、期間限定、地域限定、という制約があり、「あじさい」のように身近なもの、というわけではないこともまた、作品への登場回数が少ない要因ではないか、と考えられるのではないでしょうか。 * 後者については、「七夕」ばかりではなく、たとえば、羽根つき、独楽まわしなどはもちろん、かるたや、夏の蛍狩りなどなど、わたしたちの周りから消えたもの、消えかかっているものはどれほどあるでしょうか。 盆踊り、神輿などは、町内会(自治会)や神社仏閣の「氏子」たちによって、なんとか持ちこたえられている、と言えるかもしれません。 * 「たなばた(七夕)」が、少年詩・童謡集など、書物の中でしか出会えないもの、そんなことにならないことを願うばかりです。
□ では、最後に、次の作品を引いて、論考を閉じようと思います。
たなばた 清水たみ子
とおい お空の おほしさま、 ひこぼしさまは どれかしら。
くらい よふけの あまの川、 おりひめさまは わたるのね。
あおい ひかりの 尾をひいて、 やさしく きらきら とぶかしら。
「あまのじゃく」 国土社 1975.11
□ みなさんも、ぜひ、今年のたなばたの短冊に、「これからも、たなばたが続きますように」と書いてみてはいかがでしょうか。
― この項 完 ―
いつものことですが、引用あたっては、誤字・脱字等のないよう努めましたが、何かお気づきの点がありましたらお知らせください。 また、作品「たなばた」(清水たみ子)の引用に際しては、事前に著者や出版社などから事前の許諾を得ていませんが、引用先を明示していること、商業目的ではないこと、そして、論考への引用であることをもって、格段のご高配のほどいただければ幸いです。
2026/7/1 |