同人誌『さん 三十七号・最終号』の詩編を読む 佐藤重男
□ 同人誌『さん 三十七号・最終号』(児童文学 さんの会 令和8年2月)が届きました。 掲題にもあるように「さん」は、この三十七号が最終号となります。また、本号は「岩崎京子先生・追悼号」でもあります。 以下、いつものように、詩編を中心に見ていこうと思います。
□ 大塚 雅春「ぼくは スターだ」 作品の出だし、 「地球」と言う舞台に立って 「太陽」からライトを浴びる 「ぼく」は主役だ
主役に当てられるスポットライトを「太陽」からのもの、との見立ては、一つの発見だと思います。 大切なことばを「」で囲っていますが、それも効果的だったのではないでしょうか。
□ うめさと みゆき「ねだまのくに」「最後のあの日……幸せな時間」 作品「ねだまのくに」は方言詩。南東北(福島、宮城、山形)が舞台のようです。方言は、その独特の訛りによって一体感がうまれ、また、そのことばでないとしっくりこない、ということが多く、たとえば宮城では、目に異物が入ってなんとも落ち着かない時など「いずい」という言い方をしますが、まあ、肌感覚としても、これ以上の表現はない、と思うばかりです。 * 作品「最後のあの日…」は、詩作というよりは、岩崎氏個人への敬愛を表したものではないでしょうか。 こうして慕われてきたこと、そして、そのように敬愛する他者がいることのなんという幸せなことでしょうか。
□ 本号は、最終号であり、昨年7月10日、102歳8カ月で逝去された、岩崎京子氏の「追悼号」でもあって、同人や退会された旧同人のみなさんからの寄稿文、そして、岩崎氏の遺された作品などで埋め尽くされた紙面からは、同人誌「さん」が、岩崎氏によって育てられ、成長してきた過程が読み取れます。 * いずれにしろ、本号が「最終号」であること、児童文学界にとって大きな損失であり、個人的には残念の極み、という言葉しか思い浮かびません。 であったとしても、「さん」が残した遺産は、これからの児童文学の発展に大いに寄与し、新しい書き手たちにとっての手本として生きていくこと、疑いありません。 また、同人のみなさんは、今後、新しい道を見つけ活躍される方、同人という形にとらわれない執筆活動を続けられる方、それぞれの道=人生を歩まれることと思います。 くれぐれも健康に留意され、岩崎京子氏の生きた年齢に迫り、あるいは超えることを目指してください。
― この項 完 ―
いつものことですが、引用にあたっては、誤字・脱字等のないよう努めましたが、何かお気づきの点がありましたらお知らせください。
2026.3.1 |