少年詩時評『サッカー』 佐藤重男
□ サッカーの第23回ワールドカップ(W杯)北中米大会が、11日、開幕しました。 そして、日本チームは、14日(日本時間15日)、準優勝3度の強豪オランダとの対戦で、2―2の引き分けという健闘を見せてくれました。
□ そういうわけで(でもありませんが…)、少年詩には、「サッカー」に題材をとった作品があるのかどうか、いつものように、わたしのデータベースから拾ってみました(サッカー、蹴る、ボール、の三っで検索)。 ありました、ありました。ずばり、タイトルに「サッカー」が登場する作品はありませんでしたが、文中、「蹴る」「ボール」「サッカー」が登場するものが見つかりました。 * では、まず、「蹴る」が登場する作品です。
蹴る いとうゆうこ「ほんとのなまえ」てらいんく 2021.2 ボールをけりながら /前を歩く男の子
* 続いて、「ボール」…。
生きもの アーサー・ビナード「ゴミの日」理論社 2008.7 線を引き/必死でボールを追いかけてたたき/生かす。 * 「蹴る」「ボール」は、それぞれ1編しか見当たりませんでしたが、「サッカー」は意外に多くの作品がありました。(順不同)
少年 いがらしれいこ「小さなしあわせ」らくだ出版 2003.12 鎖骨を折って三カ月/朝練も放課後練も休んでいる/(当分 サッカーはおあ ずけだ) かみなり 松山真子「だれも 知らない 葉の下のこと」四季の森社 2025.4 肩に八月の雨/せなかにサッカーの汗 キンカン さわださちこ「ねこたちの夜」ワークス 2013.2 もぎとった きいろのボールで/ねこサッカーをやってたら/あたまを ぶた れました ボールになったダンゴムシ 井上灯美子「ことばのくさり」銀の鈴社 2003.7 だんごむし まんまる /ボールになった/サッカーボールと 庭 牛尾良子「庭のおしゃべり」銀の鈴社 2006.12 おとなりは いなかへ /おむこうは スキーに/マー君は父と親子サッカー に 平和 重清良吉「草の上」銀の鈴社 1996.7 競技場からは子どもたちの/サッカーの声がきこえてくる 放課後 山本純子「きつねうどんをたべるとき」ふらんす堂 2018.10 サッカーボールが/転がってきても/蹴り返してあげられないよ 思い出のポケット 山内弘子「花の旅人」銀の鈴社 2007.3 小さいころの思い出を/そっとおしえてあげたんだ/ケンダマ サッカー プラモデル メモ まえだとしえ「かくれんぼ」四季の森社 2019.12 団地の公園で ミニサッカーをしていると/今日もぼくに声をかけてくる
□ 今回のW杯を巡っては、報道されているように、トランプ政権がイラン選手の入国を妨害しようとし、実際にチーム関係者が入国を拒否されたとも伝えられています。 また、6月16日付の新聞には、次のような記事が掲げられています。
米イラン 戦闘終結合意 海峡開放 19日に覚書署名 ――東京新聞一面記事より
「覚書」が、両国によって署名され、戦闘は終結し、ホルムズ海峡は完全開放され、また、イラン選手が人権を保障され存分に力を発揮できる環境が整えられることを祈念するばかりです。 そして、日本チームが、次の相手のチュニジアとの試合でも大いに活躍することを期待して、先に紹介した作品の中から次の一つを引いて、論考を閉じることにします。
平和 重清良吉
新聞で読んだ ボスニア・ヘルツェゴビナ その首都 サラエボーー
停戦になって 市民がつぎつぎアパートにもどり ベランダには花が並び 野菜のたねをあき地にまき始めた とびだしたら この前まで ソゲキ兵に銃でやられた通りでは マラソン大会がひらかれ 競技場からは子どもたちの サッカーの声がきこえてくる だが 競技場の一部は 新しい墓地になったという
そして 日本の窓をあければ 「戦争放棄」から 五十年 ふかぶかと いま万緑!
『草の上』銀の鈴社 1996.7
□ 憲法9条を大切にしてきた日本。だからこそ、できること、やらなければならないことが日本にはある。今回の米・イスラエルによるイラン侵攻を国際的外交手段によって解決へと導くことができたであろうし、これからもそのことに全力で取り組んでほしい、そう願うばかりです。 * W杯の応援の席の傍らに、サッカーに題材を採った少年詩を置いてはいかがでしょうか。
― この項 完 ―
いつものことですが、詩集名などの引用にあたっては、誤字・脱字等のないよう努めましたが、何かお気づきの点がありましたら、お知らせください。 また、全文引用した作品「平和」(重清良吉)、については、著者・出版社等の事前承諾を得ていませんが、商業目的ではないこと、引用先を明示してあること、論考への引用であることなどから、格段のご高配のほどいただければ幸いです(文中、敬称略)。
2026.6.17 |