少年詩時評『アジサイ』 佐藤重男
□ まだ5月だというのに、わが家のアジサイは、もう花をつけ始めています。 そういえば、今年は、コブシも、ハナミヅキも、ツツジも、花を咲かせるのが例年より相当早かったようです。 やはり、某国の大統領がどんなに否定しようと、わたしたちの身の回りで起きていることは、温暖化による異常気象現象にほかならないでしょう。 お笑い芸人のサンドウィッチマンが言いだしたと言われる「二季」=春夏秋冬の四季が壊れ、夏と冬しかない、というのも実感できます。 * そうそう、「二季」といえば、今年の夏は、例年にない猛暑、否、「酷暑」が続くと予想されていますが、加えて、高市早苗首相が前のめりになって推し進めようとしている、憲法改正、防衛費増額、国家情報会議法(5月27日、参議院で可決、成立)さらには、スパイ防止法、そして、入管法改悪、国旗損壊罪の制定などなど、あえて、国民の分断を成そうとしている動きは、さらなる「酷暑」として、わたしたちの日常に降りかかってくる、と言ってよいでしょう。 * アジサイが先急ぐのには、そんな訳もあるのではないでしょうか。
□ さて、少年詩には、アジサイ(紫陽花)を題材にした作品がたくさんあります。 いつものように、わたしのデータベースから、拾いだしてみます。 まず、タイトルに「アジサイ」が登場する作品(タイトル、著者、詩集名、出版社、順不同)。
あじさい 武鹿悦子 『こわれたおもちゃ』国土社 76.2 あじさい 池田あきつ 『天気雨』銀の鈴社 91.7 あじさい 藤井則行 『友へ』銀の鈴社 91.11 あじさい 小島禄榔 『地球が好きだ』銀の鈴社 92.11 あじさい 後藤れい子 『どろんこアイスクリーム』銀の鈴社 96.6 あじさい 冨岡みち 『かぞえられへん ごせんぞさん』銀の鈴社 03.11 あじさい 松井節子 『風が遊びにきている』銀の鈴社 06.8 あじさい 山内弘子 『花の旅人』銀の鈴社 07.3 あじさい みずかみかずよ 『五月の空のように』銀の鈴社 16.12 あじさい 村瀬保子 『すきとおる朝』銀の鈴社 18.7 あじさい 浅田真知 『からっぽのお皿』らくだ出版 07.3 あじさい 高瀬美代子 『仲なおり』銀の鈴社 94.3 アジサイ 津坂治男 『大きくなったら』銀の鈴社 81.10 あじさいのうた 秋葉てる代 『ハープムーンの夜に』銀の鈴社 87.11 あじさいのうた 吉田享子 『空からの手紙』てらいんく 05.9 あじさいの雨 高村喜美子 『きりとおとうさん』国土社 76.4 あじさいの花 岡田喜代子 『千年の音』銀の鈴社 04.12 空のあじさい いとうゆうこ 『ほんとのなまえ』てらいんく 21.2 紫陽花(U) わだようこ 『紙の上にすわった時間』てらいんく 04.1
以上、19編。 * 続いて、作品の中に登場する「あじさい」(同上)
雨あがり 新川和江 『星のおしごと』大日本図書 91.4 あじさいの葉っぱのうらの/かたつむりの赤ちゃん 紫織雨 小関秀夫 『風栞』銀の鈴社 90.11 のきの下の/ぬれたあじさいの葉の下を ちょっと いじわる 佐藤雅子 『五月の風』銀の鈴社 86.5 あんまり あめふり つづくから/かきねの そばの あじさいが 老犬 黒柳啓子 『父ちゃんの足音』銀の鈴社 95.6 あじさいの花が/あざやかに映える朝 うそ 石井英行 『おじいちゃんの友だち』銀の鈴社 94.3 誰にきいたのだろう/「あれは紫陽花の突然変異」だと 折り紙 田沢節子 『わき水ぷっくん』銀の鈴社 17.7 折り紙いろいろ 赤 青 黄色/あじさいの花 つくりましょうね あこがれ 星乃ミミナ 『星空の旅人』銀の鈴社 88.12 紫陽花の 初恋は/六月はじめの 銀の雨でした かたつむり 金親尚子 『あたたかな大地』銀の鈴社 95.4 あじさいの七色の/にじをいっしょにみにいくの カタツムリ 柿本香苗 『きんいろの夜』編集工房ノア 07.12 あじさいの/はなのした ふるさとの蟹たち 吉田瑞穂 『オホーツク海の月』銀の鈴社 89.2 這い出たアカテガニたちは/あじさい色の泡をふくながら つゆ 黒田勲子 『いのちのみちを』銀の鈴社 00.8 あじさい かぞくが/にわで/おしあって つゆは まだ? 宮田滋子 『風がふく日の お星さま』銀の鈴社 89.5 あじいさも くちなしの花も/じっと 空見てる でんでんむし 柘植愛子 『赤いながぐつ』銀の鈴社 17.7 あじさいの花ぬらして/雨が降っている なつの階段 井上灯美子 『ちいさい空を ノック ノック』銀の鈴社 05.3 雨にぬれてる あじさいの/あわいぼかしの 花の色 なでる 小沢千恵 『やわらかな地球』銀の鈴社 18.2 あじさいの大きな花が/風にゆれている 虹のように 江口あけみ 『風の匂い』てらいんく 04.6 しめったあじさいの葉の上に/ぴったりとからだを寄せ付け はなてまり すぎもとれいこ 『ちょっといいこと あったとき』 銀の鈴社 04.7 あじさい あじさい/はなてまり ひととき 藤井かなめ 『あしたの風』てらいんく 08.3 ほんのり浮かんでいる/あじさいの花 道 新川和江 『野のまつり』銀の鈴社 78.2 きのう 紫陽花の葉のうらにいた/豆粒ほどのかたつむりが 春の雪 堀田美幸 『空色のおんぷ』てらいんく 13.11 立ち枯れていろをなくした/あじさいの葉にひとつ 六月 わらびさぶろう 『野いちごをさがしに』野いちごの会 04.11 あじさいの葉の裏に/あまがえるとかたつむり 六月 江口あけみ 『風の匂い』てらいんく 04.6 あじさいのはっぱのうえで/ゆっくり/ゆっくり 六月 さみだれ 垣内磯子 『緑色のライオン』銀の鈴社 03.10 いちにち しとしと 針しごと/庭の あじさい ぬいあげた
以上、23編。
□ 総じて、「紫陽花」「アジサイ」ではなく、「あじさい」が多く使われることがわかりました。 おそらく、あじさいの、あの淡い感じが「あじさい」を選ばせるのかもしれません。また、あしざい=梅雨=かたつむり、の連想も多く見られます。 * では、これら42編の作品から、今回は、江口あけみ「虹のように」を引くことにします。
虹のように 江口あけみ
私の時間は かたつむりのようであればいい
しめったあじさいの葉の上に ぴったりとからだを寄せ付け
移ろい行く花の色と 共に あればいい
地上に とりのこされた かたつむりの殻が 虹のように 天の光を 浴びている
「風の匂い」てらいんく 04・6
□ もうすぐ六月。
― この項 完 ―
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2026.5.28 |