少年詩時評『丘修三、逝く』 佐藤重男
□ 購読している東京新聞の5月29日朝刊によると、掲題の通り、『ぼくのお姉さん』(偕成社 1986.12)で日本児童文学者協会新人賞などを受賞した、丘修三(本名、渋江孝夫)が、去る5月24日に逝去したとのことです。85歳。 * 丘修三は、わたしにとって、言葉では表せないほどの人でした。 『ぼくのお姉さん』は、わたしが第二の人生として福祉関係の仕事に就く、その契機になった作品であり、また、児童文学誌『季節風』に足を運び、そして、充実した時間を過ごせたことや、その『季節風』では、「ファンタジー研究会」の浅井利之という人とめぐり合うことができたのも、わたしの宝物の一つとしてあります。
□ 丘修三の作品の一つに、『福の神になった少年 仙台四郎の物語』(校正出版社 1997.1)という作品がありますが、その出版の経緯の中、仙台出身であるということから、わたしが、仙台の方言について校正を頼まれるという機会をいただいたことがありました。 * ペンネームの「丘修三」は、「この世の中、おかしいぞ」をもじったもの、という話しは、伝説にもなっていますが、そんなことも含めて、丘修三の来歴、残した「遺産」については、今後、雑誌・日本児童文学でも詳しく紹介されるでしょうから、それらについては、そちらにお任せすることとします。 * 最後に一つ、はじめて丘修三と会った時の印象ですが、その風貌は、まるで山中から出てきた「仙人」そのものだったこと、いまでも、昨日のことのように覚えています。 もの言いも実に穏やかで、長らく支援学校(当時は、養護学校と称していた)に勤めていたことが納得できるものでしたし、なんとかして見習いたいものだと思いながらも、実現できずにここまで来てしまいました。 できることなら、もう一度、丘修三の立ち居振る舞いや話しぶりを見聞きすることができたらなぁ、と思うばかりです。 * どうぞ、安らかにお眠りください。 合掌 ― この項 完 ―
2026.6.3 |