少年詩時評『梅雨入り』 佐藤重男
□ 6月8日、わたしの居住する関東地方などが梅雨入りしました。 前回、梅雨空にお似合いの「あじさい」の詩編を紹介しましたが、今回は、「つゆ(梅雨)」に題材をとった少年詩について見てみようと思います。 * いつものように、わたしのデータベースから拾います。 まず、タイトルに「つゆ(梅雨)」が登場する作品です。
つゆ 黒田勲子「いのちのみちを」銀の鈴社 00.8 つゆは まだ? 宮田滋子「風がふく日の お星さま」銀の鈴社 09.5 梅雨 江間章子「水と風」銀の鈴社 1980.10 梅雨 えぐち まき「ぞうのかばん」銀の鈴社 91.2 梅雨 谷川俊太郎「地球へのピクニック」銀の鈴社 1980.9 梅雨 小泉周二『太陽へ』銀の鈴社 97.11 梅雨 間中ケイ子『猫町五十四番地』てらいんく 2007.2 梅雨 永田喜久男「はんぶんごっこ」銀の鈴社 08.7 梅雨 西田純「森は 生まれ」てらいんく 2010.3
□ 続いて、作品の文中に「つゆ(梅雨)」が登場する作品です(登場するシーンも引きます)。
あじさい 小島禄榔「地球がすきだ」銀の鈴社 92.11 ながい ながい/つゆのあめ 雨 帆草とうか「空をしかくく 切りとった」銀の鈴社 19.11 梅雨の時期に訪れる/灰色の 雨の日 村瀬保子「窓をひらいて」てらいんく 05.3 戻り梅雨の風をまきこんだ雨 ふるん 村瀬保子「すきとおる朝」銀の鈴社 18.7 梅雨入りまえの/雨の/あいさつ 海 三谷恵子「つくりわらい」らくだ出版 95.3 梅雨あけを思わせる 夏空 化けてでまっせ 林佐知子「きょうという日」銀の鈴社 05.8 で 梅雨時は/われらカエル一族の/交通安全週間にして 蛙によする抒情 吉田瑞穂「オホーツク海の月」銀の鈴社 麦のたんぼのとなりの水田。/梅雨の朝もやのなか。 かたつむり 紀の崎茜「ちきゅうぼし」らくだ出版 12.11 貝がらの中の梅雨空/墓碑として残らない貝 草 はたちよしこ「また すぐに会えるから」大日本図書 00.11 梅雨あけの/まぶしい 夏空の日に なめくじ えぐちまき「ぞうのかばん」銀の鈴社 91.2 つゆどき めがけて/やって きた ふるさと 藤井則行「春だから」銀の鈴社 00.4 梅雨時分になるときまって/黄色や紫の大きな花が並んで咲いた
□ では、これらの中から、次の二編を引いてみます。
梅雨 小泉周二
ほっぺたがじめじめしていて ぱりっと笑えない
『太陽へ』銀の鈴社 97.11
梅雨 間中ケイ子
よけいなものは なにもいらない ミミズは ただ 雨に ぬれるだけ
『猫町五十四番地』てらいんく 2007.2
□ それにしても、梅雨入りして鬱陶しい日々が続く中、スキャンダルめいた、某首相の「中傷動画」問題は靄のなかに埋もれてしまうのか、それとも、霧が晴れて視界がさっと開けるように解明されるのか、そして、殺傷武器輸出や防衛費増、「国旗損壊罪」の創設などには前のめりの一方で、進展しない中東情勢の影響による、ナフサ等の原油問題、物価高、さらには消費減税あるいは、LGBTQや「働き方改革」等の行方もまた、霧の奥へと消えてしまうのか、注視していかなければならないでしょう。
― この項 完 ―
いつものことですが、詩集名などの引用にあたっては、誤字・脱字等のないよう努めましたが、何かお気づきの点がありましたら、お知らせください。 また、全文引用した作品「梅雨」(小泉周二)、「梅雨」(間中ケイ子)については、著者・出版社等の事前承諾を得ていませんが、商業目的ではないこと、引用先を明示してあること、論考への引用であることなどから、格段のご高配のほどいただければ幸いです(文中、敬称略)。
2026.6.12 |