少年詩2021

少年詩の詩集や同人誌についての紹介と作品への批評などのブログです。
 
2026/10/19 6:55:38|その他
少年詩時評『神沢利子、逝く』
少年詩時評『神沢利子、逝く』
         佐藤重男

 □
10月16日付東京新聞によると、

  神沢利子さん死去 102歳 童話「くまの子ウーフ」
  11日、老衰のため 

とのことです。心より哀悼の意を表します。
 *
神沢利子。というと聞記事にもあるように、「ちびっこカムのぼうけん」などの童話作品で知られていますが、少年詩もたくさん書いておられます。
「☆おめでとうが いっぱい」「会話」「かなしみ」「五月」「こもりうた」「さがしてた」「棘」「ナイフ」「夏」「春」「春の星」「早春」「月夜」「りんご」
などの作品が、わたしのデータベースに収められています。
その中から、「☆おめでとうが いっぱい」「月夜」「りんご」の3編を引いてみます。 


 ☆おめでとうが いっぱい   神沢利子 

きょうは まいちゃんの
たんじょうび
ゆうくんちの おばさんも
たんじょうび
きょう うまれた
かおりちゃんちの ねこねこも
やっぱり きょうが たんじょうび

きのう うまれた 子どもたち
あした うまれる 子どもたち
むし とり さかな どうぶつたちの
まいにち だれかの たんじょうび

うみにも やまにも
おめでとうが いっぱい


             「おめでとうがいっぱい」のら書房 1991



 月夜   神沢利子

せすじつゆむしは
つゆのいのちの
かぎりを 鳴いて
秋草の野に のぼるのは
むかしむかしの
お月さまです 


           「立たされた日の手紙」詩の風景 理論社 08・7



 りんご   神沢利子

さくさくと
りんご はみつつ
歯にしみる つめたさに
ゆくりなく おもいうかべぬ
このあした
北国へ立つ 汽車にある
ひとの かなしきまみのいろ


           「立たされた日の手紙」詩の風景 理論社 08・7



 □
どうぞ、安らかにお眠りください。
合掌
    
                   ― この項 完 ―

いつものことですが、新聞記事や作品名などの引用あたっては、誤字・脱字等のないよう努めましたが、何かお気づきの点がありましたらお知らせください。
また、作品「☆おめでとうが いっぱい」「月夜」「りんご」の引用にあたっては、事前に著者や発行所などの許諾を得ていませんが、引用先を明示してあること、論考への引用であること、そして、商業目的ではないことなどから、関係各位のご高配のほどいただければ幸いです。(文中、敬称略)。

2026/10/19





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