幻塾庵 てんでんこ

大磯の山陰にひっそり佇むてんでんこじむしょ。 てんでんこじむしょのささやかな文学活動を、幻塾庵てんでんこが担っています。
 
2020/04/10 7:35:54|事務長雑記
遺著2冊
 

『多和田葉子ノート』『詩記列伝序説』の2冊が

双子のライオン堂出版部から刊行された。



 竹田信弥氏が立ち上げた出版社の門出をことほぐために本書のプランを練りはじめたのは2019年春頃のことであるが、氏との極私的な〈縁〉の詳細について語るのもさしひかえる。 
 本書の柱となるノートT〜Vを執筆したのはさらにさかのぼるが、これらは文字通りノートに書かれたものである。誰に頼まれたわけでもなく「自発的に」なされた点で、一種のボランティア仕事とよんでもいいだろう。この語の本源にある通り、私はこの仕事を自ら「買って出」て、進んで事にあたったのである。ノートVをようやく脱稿したあたりから身体に異変が生じ、ついには病牀六尺状態になってしまったため、単行本化への作業が遅れたのは是非もないことであった。もしかしたらこれが"遺著”になるかもしれないという思いが脳裡をかすめたことも事実だ。
 世界の多和田葉子が、私どもの貧しい雑誌「てんでんこ」第9号(2018年)に寄稿してくれた詩篇「魔の山の麓にて」のひとくさり――〈この世はサナトリウム、滞在費を払わなければ存在できないんだっけ〉を口遊みながらノートT〜Vの修正作業にいそしんだ日々を思い起こす。サナトリウム人間と化したギョーカイからの「失踪者」は、このノート集を書きつづけることでサナトリウムの滞在費を払うことができるような思いに包まれていたのだった。

 
『多和田葉子ノート』あとがきより

 
 
本書は、同時刊行の『多和田葉子ノート』の姉妹篇として構想、執筆されたが、その構想を現実のものにするために尽力された双子のライオン堂社主の竹田信弥氏、造本アーティストの林昭太氏の両氏に深く感謝申し上げたい。

 
『詩記列伝序説』あとがきより





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