二宮果樹公園は、全国でも珍しい果樹を中心とした都市型の公園です。その前身である明治41年に設置された県農業試験場、古くから二宮町民に「試験場」の愛称で親しまれた場所の跡につくられました。現在も園地の中に、桃(桃の最も有名な品種 白鳳)や梨(新高など)の貴重な原木が県の天然記念物に指定されて残っています。園内に植えられた梨やぶどう、柿の木は四季それぞれに美しい景観を見せてくれます。春の真っ白い梨の花の満開の頃、秋の柿の木の紅葉、そして年に数回行われる果物の配布には何百人もの町民が列をなして訪れます。 果樹公園の大きな利点は、町の中心部の多くの町民がアクセスしやすい場所に広い緑地を保存していること、そしてそのほぼ全てがバリアフリーの公園であり、園路が舗装されて整備されていることです。実際に車いすや杖をついた方、ベビーカーのお母さん方も気軽に散策を楽しんでいます。公園内は常駐の管理の方々の手で、常に美しく整備されています。 果樹公園には1年中様々な目的を持った町民が訪れます。芝生広場では就園前の幼児とそのお母さんたちのグループがお弁当をもってやってきます。町内の幼稚園や保育園の遠足にも多く使われています。高齢者のグループは週一回集まって公園を周回するウォーキングを楽しんでいます。園内に多数設置されている椅子で読書を楽しむ人、歌やダンスの練習をする人等など。気軽に訪れることができるこの公園は町民にとってなくてはならないものとなっています。 吾妻山公園のような観光客向けの公園の整備のためにお金や人員を使い、町の知名度を上げることも必要かもしれませんが、その前にまず町民のための公園である果樹公園をもっと大切にすべきではないでしょうか。町民を大切にすることが町の価値を高め、町への移住を増やすことにつながります。 果樹公園をつぶして庁舎を建設する計画が現町政で進んでいることを知り、非常に心を痛めています。建設候補地はいくらでもあり、庁舎建設には他の選択肢も考えられるのに、なぜ果樹公園をつぶして作る必然性があるのでしょうか。失えば二度と取り戻すことの不可能な町民にとって貴重な財産を、私たちは今簡単に手放そうとしているのです。 現町長は以前、子供の遊び場づくりに尽力していた方です。その町長が、子供たちにとっても大切な果樹公園をつぶす庁舎建設計画を主導していることに、驚きと悲しみを感じざるを得ません。 二宮果樹公園の存続と庁舎計画の撤回を要望します。 |