おやじの趣味

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2019/08/18 15:15:00|おはなし
おはなし : 外伝『山崎。』  第4-8章 : お嫁さん?
外伝 : 『山崎。』
第4-8章:お嫁さん?
 
翌朝、晋二郎は何時もの音楽と何時ものワン吉によって起こされた。
 『ワン吉。おはよ〜。』
 『わん。』
晋二郎はワン吉の頭を撫でてから、
 『ワン吉。先に下に行ってていいよ俺も直ぐに行くから。』
晋二郎の言葉にワン吉は1回“わん”と返事を返してから1階に降りて行った。
晋二郎も、何時もの様にパジャマを脱いでから、ワン吉の後を追うように1階へと降りて行き、両親に、
 『おはよう。』
 『晋二郎、お前、お酒飲むのはいいけどもう少し早く帰ってくることはできないのかい。』
 『あ〜。申し訳ない。昨日は友達が愛知県からこっちに遊びに来てさそれで飲んじゃったから。申し訳ない。』
晋二郎は、そう両親に説明してから、洗面所へと向かい顔を洗い着替えてから食卓に着いた。
そんな、晋二郎をワン吉が眼で追っていた。
晋二郎はワン吉に向かって、
 『ワン吉。ご飯食べようか。』
 『いただきます。ワン。』
と、2人とも、挨拶を済ませてから朝ご飯を各々食べ始めた。
晋二郎が、朝ご飯を食べている時に、母親が晋二郎に向かって、
 『晋二郎、そろそろどうだい。』
晋二郎は、母親が何を言っているのかは分かっていたが、
 『何をだい、母さん。』
 『結婚だよ。』
晋二郎は、思わず吹き出してしまったが、
 『母さん、ストレートだね。少しは、カーブかシュートで聞いてくれよ。』
 『何を言っているんだいこの馬鹿息子。』
 『だから、母さん俺はまだ結婚しないんだってば。まだ、やることが有るんだからもう少し待ってくれよ。頼むからさ〜。』
母親は、晋二郎を半分睨みつけるような眼で、
 『晋二郎。教えてくれないかい。』
 『何をだい母さん。』
母親は、お茶を1回飲んでから、晋二郎に向かって、
 『晋二郎。仲田ちえみさんとはその後、どうなんだい。』
 『お前は、あの人と付き合っているんじゃないのかい?』
晋二郎は、母親に返事をする前にお茶を1口飲んでから、
 『母さん、そうだけどもう少し待ってくれよ。』
晋二郎の話を聞いていたワン吉が、晋二郎に向かって、
 『わん。』
と、1回吠えた。

晋二郎は、ワン吉を見ながら、アイコンタクトで、
 『“ちえみ”ねーちゃんには黙っていろよ。』
と、伝えてから、母親に向かって、
 『かーさん、ご馳走様。』
晋二郎は、席を発ってから、ワン吉に向かって、
 『散歩に行こうぜワン吉。』
 『わん。』
そう、伝えて晋二郎とワン吉は玄関へと向かった。
 『母さん、散歩行ってくるから。』
そう、言うと2人は玄関を出て行った。
散歩中に晋二郎は、ワン吉に向かって、話し出した。
 『な〜ワン吉。お前は“ちえみ”ねーちゃんは好きかい?』
ワン吉は、眼を細めながら晋二郎の方を向いて、
 『わん。』
と、一鳴きして意思をあらわした。
そんな、ワン吉に向かって晋二郎は、
 『そうだよなワン吉。俺も“ちえみ”ねーちゃんが好きなんだよ。』
そんな、晋二郎に向かって、ワン吉が“ぺろ”っと顔をひと舐めした。
それを、合図にワン吉が立ち上がって、
 『はやく行こうぜ』
と、言わんばかりに晋二郎の事をせかした。
晋二郎もワン吉に応えるように、
 『じゃー行こうか?』
 『わん。』
晋二郎と、ワン吉はそのまま約30分散歩を続けてから家に帰宅した。
 『ただいま。わん。』
と、晋二郎とワン吉は、母親に向かって帰宅した旨を告げた。

晋二郎は、ワン吉の脚を1足づつ拭いてから部屋に上げた。
ワン吉は、そのまま何時もの陽の当たるお気に入りの場所に行って、ごろんと横になって晋二郎を見ていた。
晋二郎は、そのまま洗面所に行き、歯を磨いて着替えを済ませてから会社へと向かった。
当然、ワン吉は何時もの様に玄関で晋二郎を見送っていた。
晋二郎は、何時もの時間に家を出て、何時ものバスに乗って、何時もの電車で町田駅へと向かった。
ただ、何時もと違うのは、町田駅に“ちえみ”が居ない事であった。
晋二郎は、町田駅の何時もの喫煙場所で缶コーヒーを飲みながら煙草を吸い始めた。
そんな時であった、何時も一緒に煙草を吸っている顔に見覚えのあるサラリーマンの中年男性から、声を掛けられた。
 『おはようございます。』
晋二郎は、一瞬驚いたが、相手の顔を見てから、
 『おはようございます。』
 『どうしたんですか?』
 『はい、なんでしょうか。』
晋二郎は、意味が分からず聞き返していた。
中年のサラリーマンの男性は、
 『いや、いつもの彼女が遅いなと思ったものですから。どうかしたのかなと思いまして。』
晋二郎は、一瞬呆気にとられたが、
 『いや〜。彼女は今日会社有給なんで、今日は私1人なんですよ。』
 『なんだそうなんですか。』
 『いや〜、私達はいつもここでお2人を見てから、いい気分で会社に出勤していたものですから、つい心配になってしまってお尋ねしたんですよ。』
 『失礼いたしました。』
中年のサラリーマンは晋二郎に礼を言ってから、仲間のもとに戻ろうとした時、晋二郎が声を掛けて、
 『すいません。教えて欲しいんですがよろしいでしょうか。』
 『はい、なんですか。』
 『今、私達と言われましたが、他にも誰かいらっしゃるんでしょうか。』
中年のサラリーマンは、“ニコ”っと笑いながら、晋二郎に説明を始めた。
 『ご存知ではなかったですか?』
 『ここの、喫煙所でこの時間に煙草を吸っている皆さんは、彼女さんのファンなんですよ。』
晋二郎は、驚きと可笑しさで思わず、咳き込んでしまった。
 『ゲホゲホ。』
 『どうしました。平気ですか?』
晋二郎は、大丈夫と言わんばかりに、手で合図をして見せた。
何とか落ち着いた晋二郎は、中年のサラリーマンに向かって確認を始めた。
 『すいません。確認していいですか。』
 『はい、何ですか。』
 『彼女のファンと言われているのは、もしかしたら、ここに居られる皆さん全員ですか?』
喫煙所で煙草を吸っている、人達が一斉に晋二郎に向かって、
 『はい』
と、大きな声で返事を返した。
そこには、下は学生さん、上は大会社の偉そうに見える人など様々な人たちが居た。

晋二郎は驚きながらも、彼らに質問をしてみた。
 『なんで彼女のファンになられたんですか?』
その時、学生風の彼と彼女が、口をはさんできて、
 『彼女さん可愛いですからね。それに、なんて言っても笑顔が素敵じゃないですか。』
 『笑顔ですか。』
晋二郎の話を聞いて彼女が、
 『あの笑顔は作り笑顔じゃなくて本物の天然笑顔ですよ。彼氏なのに分からないんですか?』
 『彼女さん、可愛そうですよ。もっとしっかりしてくださいね。』
晋二郎は、突然の事に呆気に取られ苦笑いをする事しかできなかった。
学生風の2人は晋二郎にそれだけを告げてから喫煙所から小田急線に向かって歩いて行った。
学生の後も、晋二郎に理由を告げていくサラリーマンなどが居たが、なかでも驚いたのが、大会社の重役に見える男性が、晋二郎に向かって、
 『私は、彼女さんの事が気に入ってしまってね。孫の結婚相手にと真剣に考えてしまったよ。』
と、言うセリフを聞いた時だった。
思わず晋二郎は、その男性に向かって、
 『失礼ですが、それは駄目です。私の彼女ですから。』
 『そうですね。失礼しました。では、これからも彼女さんの事を幸せにしてあげてください。』
そう、言いながら立ち去って行った。
晋二郎も、男性が立ち去っていく姿を見て、腕時計で時間を確認した。
 『やべー。』
そう呟くと、中年のサラリーマンに一礼をしてから、JRに向かって走り出した。
 『やべー遅れる。』
 『会社に遅刻したら“ちえみ”のせいだからな。』
と、1人笑いながら連絡通路を走っていた。
晋二郎は、連絡通路をダッシュしたおかげで、なんとか何時もの電車に乗ることが出来、会社にはいつも通りの時間に出社することが出来た。

職場に向かう途中、“ちえみ”の部署の女の子に会った時に、
 『吉田さん、今日はお休みじゃなかったんですね。』
 『“ちえみ”は今日、どうしたんですか?』
と、色々聞かれていた。
晋二郎は性格で冗談が言えないため、真面目に応えていたら何故か笑われてしまった。
そのまま、職場に行った時も、
 『おい、吉田。今日、仲田は休みなのか?お前、何か聞いていないか?』
 『はい、今日は有給で休みと聞いていますが、仕事の事は私には分かりませんけど。』
 『了解した。ありがとうな。』
晋二郎は、仕事の準備済ませてから、喫煙所に向かい煙草に火を点け吸い始めた。
 『ふ〜。』
と、晋二郎は紫煙を吐きだしながら、ポケットに手を入れスマフォを取り出してメールチェックをしたところ、
 『1通来ているな誰だよ。』
そう、呟きながらメールを確認すると・・・・。
 『先輩。おはようございます。これから、川上さんと出かけてきますね。お仕事頑張ってください。“ちえみ”が居ないからと言っても、真面目にお仕事してくださいね。また、後で連絡します。』
晋二郎は、メールを読み終わると返信してから、煙草を消して居室に戻って行った。

“ちえみ”が、居ない1日も後、44分で終わろうとしていた時、晋二郎のズボンのポケットの中から、メール着信の音が小さく鳴った。
晋二郎は直感で“ちえみ”からの返信と分かり、煙草を掴んで席を発った。
喫煙室で晋二郎はまず煙草に火を点けてから、肺に大きく吸い込んでから、何時もの様に大きく紫煙を吐きだしていた。
 『誰のメールか確認するか。』
ズボンのポケットからスマフォを取り出し相手を確認した。
晋二郎は、笑顔になってメールを読みだしていた。
 『やはり、“ちえみ”か。』
 『先輩、お疲れ様です。今、“典ちゃん”と帰宅途中です。
  今夜、時間が会えば一緒に302で食事どうですか?
  “典ちゃん”も先輩に会いたがっていますので、
  6時半にお店で会いましょう。
  では、先輩また後で会いましょう。』
晋二郎はメールを読み終わってから、
 『しょうがないな。』
 『川上さんに会いに行きますか。』
そう、呟きながら煙草の火を消して灰皿に捨ててから、居室に戻って行き、終業の音楽が流れるまで居室にて業務を行っていた。
室内に、終業を報せる音楽が流れ、晋二郎は机上の片付けを始めていた。
机上の片付けが終了した時点で晋二郎は会社を出て、駅前の電気屋の何時もの5階プラモデル売り場に顔を出していた。

今日は、“ちえみ”が居ない為、こころおきなく新型のプラモデルを堪能することができ、先日から欲しかった、1/144飛行機のプラモデルを2個、購入することができた。
晋二郎は、購入したプラモデルを“ちえみ”に見つからない様に鞄の奥深くに仕舞い込んでから電気屋を出てJRに向かって歩き出した。
駅に着き、改札を抜けホームに移動しながら、晋二郎は念のために“ちえみ”にメールを送ることにした。
 『“ちえみ”、川上さん お疲れ様です。
  今から、町田の店長の店:302に向かっています。
  待ち合わせの時間には遅れるかもしれませんが、大きな心で許して
  ください。
  では、後ほど。
  おまけ。
  “ちえみ”へ。
  今朝、町田駅で面白い話を聞きましたので、後で教えるので期待して
  待っていてくれ。
  では。』
晋二郎は約束に遅れること、8分で第302に到着した。
 『ガラ・ガラ』
っと、店の扉の開く音で店長は、
 『いらっしゃいませ。』
と、声を出しながら入り口を視認し、晋二郎と分かると、
 『吉田さん、お疲れ様です。』
と、何時ものように声を掛け、また、“典子”と“ちえみ”が既に何時ものオープンテラス席に座っていることも教えてくれた。
 『吉田さん、2人は何時もの席にいますからどうぞ。』
 『あれ、店長は?』
 『僕も後でテーブルに着きますから。お先にどうぞです。』
晋二郎は、指でOKマークを作って山崎に見せ、そのまま何時ものテーブルへと向かった。
山崎と晋二郎の話声が聞こえたのか、“ちえみ”が晋二郎に向かって手招きをして、
 『先〜輩〜。こっちですよ!』
 『はいよ。今行くよ。』
テーブルに着いた晋二郎は典子と“ちえみ”に向かって、
 『お疲れ様です。川上さん。』
 『どうでした、“ちえみ”とのデート疲れませんでしたか?』
典子は晋二郎に向かって、手を左右に振りながら、
 『吉田さん、とっても楽しかったですよ。私も久しぶりの東京なんで思いっきり楽しんじゃいましたよ。』
 『川上さんにそう言って貰うと私も嬉しいですよ。』
晋二郎は、川上に礼を言ってから、“ちえみ”に向かって、
 『“ちえみ”お疲れ様な!じゃー、俺が、生奢るよ!』
 『先輩、ほんとですか。ありがとうございます。』
テーブルの様子を伺っていた、山崎が、
 『はい、皆さんお決まりですね。』
“ちえみ”が、山崎の言葉に応えて、
 『はい。生を三つお願いします。』
山崎が、“ちえみ”を見ながら、
 『“ちえみ”ちゃん、いつものセットはどうしますか?』
“ちえみ”は、山崎を見ながら、ニコリと笑った。
その顔を見た、山崎が、
 『“ちえみ”ちゃん。了解です。』
そう、言いながら厨房に向かって行った。
山崎が、厨房に入ったのを確認してから、典子が晋二郎に向かって、
 『吉田さん教えていただけませんか?』
 『何をですか川上さん。私が分かる事であればお話をすることはできますが・・・・。』

その時、山崎が生を4つ持ちながら、3人の居るテーブルにやってきて、
 『何が、知りたいんだい“てんこ”。』
山崎は生を4つテーブルに置いてから、典子に確認していた。
 『だって、貴方。これを今、吉田さんに聞いていたのよ。』
そう、話してから自分のスマフォを山崎に見せていた。
 『でしょ、貴方も気になるでしょ。』
山崎は頷きながら、
 『そりゃそうだよな“てんこ”。気にならない方がおかしいよな。』
 『吉田さん、お話を聞かせてくださいよ。』
3人は晋二郎を囲むようにしてから、
 『お話をお願いします。』
と、3人から問い詰められていた。
晋二郎は、3人に向かって、
 『とりあえず、皆さん落ち着いてください。皆さんが期待しているような話ではないと思いますよ。それでも聞きたいですか?』
3人は、これまた示し合わせたように同時に“うん”と頷いて見せた。
 『分かりました。では、お話をさせていただきますが、その前に“乾杯”をしませんか?』
 『冷えている生が温くなっちゃいますからネ。』
そう、話してから山崎の音頭で乾杯をすることにした。
 『では、皆さん持ちましたね。じゃー乾杯しましょうか。』
 『はい、乾杯〜。』
そう、言いながら4人はジョッキを手にしてからぶつけあった。
乾杯が、終わり4人は生を口に運んだ。
 『吉田さん、じゃーお話していただけますか?面白いお話を。』
そう、言いながら典子は晋二郎に迫った。

晋二郎は、典子の顔を正面からまじまじと見て、思わず典子に向かって、
 『川上さんて、ほんとに美人さんですね。』
その話を聞いていた、“ちえみ”が晋二郎に向かって、
 『先輩!なに当たり前の事を言っているんですか。“典ちゃん”は美人さんなんですからね。それに、“典ちゃん”は店長さんの彼女さんなんですからね。』
 『そうだね、“ちえみ”。』
そう、言いながら晋二郎は“ちえみ”に謝っていた。
そんな、晋二郎の姿を見て、山崎と典子は微笑ましそうに見ていた。
 『先輩、そんな事はいいですから早くメールに書いていた面白い話を聞かせてくださいよ。』
晋二郎は、“ちえみ”に向かって頷きながら、
 『分かったよ。じゃーそろそろ話そうかな。』
晋二郎が話そうとした時、山崎が手を上げ、
 『吉田さん、少し待っていて貰えますか?どうもホルモンができたようなので私、取ってきますから。』
そう、話してから席を発った。
晋二郎は、“ちえみ”と典子にことわってから席を発って、別のテーブルに移動してから、煙草を吸いながら、今朝の事を思い出していた。
 『それにしても、今朝は驚いたよな。』
 『あの、重役みたいなおじさん、“ちえみ”を孫のお嫁さんにするとか、普通言うか?』
煙草を吸っている晋二郎に向かって、ホルモンを手にした山崎が、
 『吉田さん、どうしたんですか?独り言が大きいですよ。』
 『マジですか?店長。失礼しました。』
そう、言うなり晋二郎は煙草を灰皿で消してから、テーブルに戻った。
晋二郎を待っていた、“ちえみ”が、
 『先輩。遅いです。遅すぎますよ。』
典子までもが、晋二郎に向かって、
 『吉田さん、“ちえみ”ちゃんが可哀そうですよ、待たせすぎると。』
晋二郎は、典子と“ちえみ”に向かって、“ぺこり”と頭を下げてから、
 『じゃー、店長も戻ってきましたから、面白いお話をさせていただきます。』
 『先輩、お願いします。』

晋二郎は、“ちえみ”に向かって頷きながら、話し始めた。
 『今朝、何時もの様に町田駅の喫煙所で煙草を吸っていたら、中年のサラリーマンの方に話しかけられたんですよ。』
 『どんな、事ですか先輩。』
晋二郎は、“ちえみ”の顔を見ながら、
 『今日、彼女はどうされたんですか?って。』
3人は顔を見合わせてから、晋二郎に向かって、
 『それが、面白い話なんですか?』
晋二郎は、少し、ムッとしながらも話をつづけた。
 『その方が言うには、“ちえみ”は町田の喫煙所では有名人との事なんです。』
 『先輩、なんで、私が有名人なのですか?理由が分からないんですけど・・・・。』
山崎、典子も、晋二郎に向かって、“うん”、“うん”と頷いてから、
 『吉田さん、理由を教えてくれませんか?』
 『理由はいたって簡単で、それは“ちえみ”が可愛いからだそうです。』
晋二郎の話を聞いていた3人は、一瞬黙ってしまった。
しかし、直ぐに山崎が“ちえみ”に向かって、
 『“ちえみ”ちゃん、凄いじゃないか。街の有名人なんだね。』
典子も、“ちえみ”にむかって
 『“ちえみ”ちゃん、ここのお店の宣伝モデルにならない?なってくれたら嬉しいんだけど。』
典子の話は、冗談か本気か分からない為、話を聞いていた晋二郎は一瞬ドキリとしていたが、
 『“ちえみ”それ、いいよ。俺が写真撮るからここのポスターモデルやりなよ。』
 『うん。賛成だよ“ちえみ”ちゃんお願いします。』
“ちえみ”は、少し考えながら、
 『店長、少しお返事待っていただけますか。』
 『了解だよ、“ちえみ”ちゃん。』
 『ところで、吉田さん面白いお話ってそれだけですか?』
晋二郎は、首を左右に振って応えた。
 『いいへ、店長。』
 『私と“ちえみ”の待ち合わせ時間に喫煙場所で煙草を吸っている人全員が、ファンだそうです。』
 『中には、女性の方でも“ちえみ”のファンの女性が居るんですよ。』
 『先輩それ真面目ですか?私、そっちには興味はないですよ。でも、なんで知っているんですか?』
 『今朝、女性から言われたんだよ。私、ファンなんですって。』
 『その女性にも驚いたんだけど、もっと驚いたのが・・・・。』
晋二郎は、“ちえみ”の顔をチラッと見てから、再び口を開いた。
 『もっと、驚いたのが、一見すると大会社の重役に見えるおじさんの言葉が凄かったんですよ。』
 『先輩、なんて言ってきたんですかその方は。』
 『“ちえみ”を孫のお嫁さんにしたいって言ってきたんですよ。』
3人は驚いて晋二郎の顔を見ながら、
 『本当ですか?』
と、晋二郎に向かって全員で確認の声を上げた。
 『はい、本当ですよ。』
晋二郎は“ちえみ”に向かって、
 『“ちえみ”、凄い人気だね。』
“ちえみ”は晋二郎の言葉に浮かない顔をして答えた。
 『先輩は、その方になんて説明されたんですか、私の事を?』
晋二郎は、“ちえみ”の質問に一瞬驚きながら、
 『“ちえみ”なんでそんな事を聞くの?』
 『いや、だって、“お嫁さんにしたい”なんて言われたら当然気になるじゃないですか。』
そう、話しながら、山崎と典子の事を見た。
”ちえみ“の視線に応えるように2人も晋二郎の顔を見ていた。
 『“ちえみ”・・・・。』
晋二郎は、“ちえみ”に向かって口を開いて、
 『俺は、その、おじさんに向かって、ちゃんと説明したよ。』
 『なんて、説明したんですか?』
晋二郎は、一度、生を手に取り口に運んでから、“ちえみ”に向かって、
 『駄目ですって話をしたよ。』
 『それだけですか?』
晋二郎は、再度生を口に運んでから、意を決したように、
 『申し訳ないですが、私の彼女ですからそれは出来ません。とお断りしたよ。』
晋二郎の話を聞いていた、山崎と典子は晋二郎に向かって、
 『よく、言いましたね。さすが、吉田さんですねやる時はやる人だと思っていましたよ。』
当の、“ちえみ”は、下を向いたまま、何も言わず黙っていた。
そんな、“ちえみ”に向かって晋二郎が、
 『どうした、“ちえみ”何処か痛いの?』
“ちえみ”は、晋二郎の言葉を聞いても頭を左右に振るのみだった。
しばらくしてから、“ちえみ”が3人にことわってから席をたった。
 『吉田さん、“ちえみ”ちゃん、どうしたんですか?』
晋二郎は、山崎の言葉に首を振って、
 『私も、分かりませんよ。』
山崎は、典子に向かって、
 『“てんこ”、悪いけどちょっと見てきてくれるか?』
典子は頷き席を発って化粧室へと向かった。
晋二郎は、煙草に火を点け吸い始めた。
煙草を吸っている晋二郎に山崎が、
 『吉田さん、“ちえみ”ちゃんどうしたんですかね。』
 『食べ過ぎですかね』
と、笑いながら山崎に向かって応えた。
 『吉田さん、それは酷いですよ。』
山崎は、晋二郎の話し方で機嫌が悪いと悟った。
 『どうしたんですか、吉田さん。なんか、機嫌悪いんですか?』
晋二郎は、山崎の顔を見て、
 『店長、だって機嫌悪くなるでしょ。人が真面目に話しているのに、何も言わずに黙って席を発ってトイレに行っちゃったんですからね。』
山崎は晋二郎に向かって、
 『吉田さん、“ちえみ”ちゃんは、もしかして嬉しかったんじゃないですか?』
晋二郎は山崎の言葉に驚きながらも、山崎に向かって、
 『店長、なら、何時ものように“ちえみ”嬉しいです先輩って、言えばいいんじゃないですか?』
 『吉田さん、それが出来ないから女心の不思議なところなんですよ。』
山崎は、晋二郎を諭すように話をした。
 『店長、俺には理解できないですね。』
 『でしょうね。吉田さんは、バリバリの理数系の人間ですからね。吉田さんが文系の人間なら、今の“ちえみ”ちゃんの気持ちが分かるかと思うんですがね。』
晋二郎は、不思議そうな顔をしながら山崎の話を聞いていた。
 『店長。店長も、理数系の人間ですよね。』
 『はい一応はそうです。』
 『じゃー、なんで店長には“ちえみ”の気持ちが分かるんですか?』
山崎は、晋二郎の質問を聞いて少し微笑みながら、
 『それはね吉田さん。相手の事を理解しているからですよ。』
 『理解?』
晋二郎は、山崎の言葉にやや、戸惑いながらも復唱していた。
山崎はそんな晋二郎に向かって、
 『吉田さんは、まだ、“ちえみ”ちゃんの事をすべて理解できていないんじゃないですか?』
 『どういうことですか?』
 『僕は、“ちえみ”の事が好きですよ。』
山崎は、晋二郎の話を聞いてから、やや首を左右に振って、
 『吉田さん、理解しているというのは、好きとは別なんですよ。』
 『店長、具体的に教えていただけませんか。』
晋二郎は、山崎に向かって頭を下げた。
 
第4-9章:行こうか に続く。





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