おやじの趣味

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2019/08/14 5:55:55|おはなし
おはなし : 外伝『山崎。』  第3-4章 : 昔の話ですよ。
外伝 : 『山崎。』
第3-4章:昔の話ですよ。

 『“ちえみ”、ホルモン食べなよ。今、丁度いい感じに焼けているよ。』
“ちえみ”に向かって話しながら、晋二郎はホルモンをひっくり返していた。
時折、自分でもホルモンを摘まみながら食べていた。
 『吉田さん、“ちえみ”ちゃん、お待たせ。遅くなってごめんね。』
“ちえみ”は手を左右に振りながら、
 『いいえ店長。そんなに私達、待っていませんから気にしないでください。』
 『ありがとうね、“ちえみ”ちゃん。』
山崎は、礼を言いながら、晋二郎と“ちえみ”の前に生を置いてから厨房に戻り、再び戻ってきた時には、手に自分用の生を持っていた。
 『一緒に飲んでもいいよね。吉田さん、“ちえみ”ちゃん』
山崎はそう、訪ねながら席に座り、そのまま山崎は生を口に運んだ。

そんな、山崎を見ながら、晋二郎が、
 『店長、教えてください。』
山崎は、晋二郎の言葉に目だけを晋二郎に向けながら、生をテーブルに置いてから、
 『吉田さん、何を知りたいんですか。』
晋二郎は、山崎の顔を見ながら、
 『店長、話したくなかったら話さなくてもいいですからね。』
 『どうしたんですか、吉田さん。』
 『どうぞ、話せることならお話はしますから。』
 『じゃー、店長質問しますね。』
山崎は、晋二郎に向かって了解の旨を頷いて応えた。
 『先日、店長が話してくれたパイロットを辞めた理由ですが、どんな事件が原因だったんですか差し支えなければ教えていただけますか。』
山崎は少し考えるような眼をしながら、生を1口、口に運んでから、独り言のように話し出した。

 『あの事故、いや事件ですけど今から、5年少し前の国際線で起きた事件ですか・・・・。成田に向かって着陸態勢に入って緩降下(だんこうか)している時に、乗客の1人が機体が揺れた弾みに、持病の発作を発症させ、その時、傍にいたCAを人質に取り、暴れ始めたんですね。』
山崎の話を聞いていた、“ちえみ”が、ぼそっと、
 『ハイジャック・・・・。』
山崎は、“ちえみ”の話を無視して話を続けた。
 『当時、私は機長としてその便に乗機していたので、誤解を招くかも知れないのですがその時は、1人のCAより乗客の生命を優先させ、そのまま機体を降下させていき、機体を着陸させました。』
 『機体の降下中には、人質のCAが一生懸命説得を続けていたため、他の乗客には、まさか事件が起きているとは思わず、CAが体調が悪い乗客の介抱をしていると思われていたので事なきを得ていたのですが・・・・。』
そこまで、山崎が話した時、手を伸ばして再び生を口に運んでから1口飲んでから、再び話を続けた。
 『着陸時に、強い横風を受けたため、その乗客は一気にパニック障害を発生してしまい、再び、CAを襲ったのです。その状況を見た、乗客が驚いて大声を上げてしまい、その声につられて他の乗客も一気にパニックを発生してしまい、機内は大騒ぎになってしまいました。』
その時、晋二郎が確認するように、
 『その時、病人が持っていた凶器は何だったんですか。』
山崎は、晋二郎の質問に、
 『病人が持っていたのは、機内食と一緒に出される、フォークとナイフでした。通常、食事が終わると、CAが片づけるのですが、昔は、フォークとナイフ等は記念に持って帰る人が居たんです。』
 『その時も、特に気にはしてはいなかったのですが、犯人は、それを護身用として洋服のポケットにしまっていたんです。昔のは金属製なので、急所に入れば命を落としてしまいますので、慎重に対応しました。』
 『まず、関係の無い乗客を普通に降ろしてから、エマージェンシー連絡を入れて、私は人質になっている乗員の座席に行き、病人と話し合に行ったのです。その時の、病人は口から涎(よだれ)を垂らしていて、訳の分からない言葉を大声で喚き散らして独りで誰かと話していましたね。』
 『私が、その病人を見た時は、薬物中毒患者が暴れている様に見えましたね。なんとか、説得しようとしたのですが、聞く耳もたずで、尚且つ、CAの首にフォークを突き付けていたので、手は出せなかったですね。』
晋二郎と、“ちえみ”は、相槌を打つように山崎に向かって頷いて見せた。
 『自分は格闘なら、凄い自信はあるのですが、ああいうのは駄目でしたね。全くどうしていいか対応方法が分からなかったですね。ほんとにお手上げですね。でも、自分が乗機している機体から怪我人等は出したくなかったので、なんとか対応しました。』
 『店長、どういう方法で対応されたんですか。』
山崎は、頷きながら、天井を見てから、晋二郎と“ちえみ”に向かって、
 『そうですね、あの時は色々と自分に注意をひくために、色々しましたよ。』
 『どんな事をしたんですか?』
 『そうですね、歌を歌ったり、病人の趣味とか家族の事ととか、腹減っていないかとか、煙草は吸うのかとか、しまいには好きな動物の事を話したりとか、ほんと、色々聞きましたよ。』
そう、話してから山崎は、笑いながら、
 『ほんと、色々な事をやりましたよ。人間(ひと)は切羽詰まるともう、なんでもするんですね。自分でも驚きましたよ。』
 『店長、質問ですが、病人と交渉している時、警察はどうしていたんですか。』
 『あの時は、確か、空港警察の数名が整備員の格好をして機内に入ってきていましたね。副機長が、会社と警察とのやり取りをしていたので、私はどっぷり病人と対峙していましたね。』
 『病人と話をしていて、動物の話をした時に“I Like Dog”と言う言葉が出たので、警察犬ではなく、警察犬の資格を持っている犬を呼んで貰い、病人の興味を引いてCAとフォークを解放させることに成功してから、機外へと連れ出そうとした時に、整備員の格好をした空港警察が病人を押えようとした時に病人が興奮して、隠し持っていたナイフを振り回したので、CAに刺さりそうになったので自分が庇ったらそれが運悪く利き足の右足の大腿部に刺さった訳ですよ。』
 『それで、パイロットを辞めたんですよ。やはり利き足を痛めたことがショックでしたね。見てくれは問題ないんですが、やはり怪我を負う前と負った後では反応が今一遅くなっていましたね。』
 『店長、秒単位での時間ですか?』
山崎は、首を左右に振りながら晋二郎に向かって、
 『いいえ、そんなに反応時間が遅かったらもしもの時、非常に危険ですよ。恐らく反応時間は感覚ですが、コンマ何秒の世界と思いますよ。』
その話を聞いた、“ちえみ”が驚いた様に、山崎に向かって、
 『店長、コンマ何秒ですか実生活ではたいしたことない単位(じかん)ですよね。』
山崎は、“ちえみ”に向かって、
 『“ちえみ”ちゃん、空の上は、地上の世界とは色んな事において全然違うんだよ。例え、コンマ何秒の世界でも空の上ではその時間が命取りになる可能性も出てくるんだよ。』
 『すいません、店長。考えずに言ってしまって。』
山崎は、首を横に振りながら、“ちえみ”に向かって、
 『いや、“ちえみ”ちゃん。何も謝らなくていいんだよ。普通の生活をしていればコンマ何秒なんて時間は気にしないでしょ。それだけ空の仕事は違うんですよ。』
 『なんてたって、ワンミス=死 ですからね。』
晋二郎は、山崎の言いたいことが良く分かっていた。彼も、自分で一時にせよパイロットを夢見たことが有ったからである。
 『店長、すいません辛い事を思い出せてしまって、申し訳なかったです。』
晋二郎は、そう話しながら山崎に向かって頭を下げた。
山崎は、手を振りながら、
 『いいんですよ吉田さん。こうやって他人(ひと)に話せるって事は、その事件が思い出に代わってきてるって事ですから。』

そう、話しながら、山崎は生を口に運んでから、
 『吉田さん、“ちえみ”ちゃん、ホルモン食べて、食べて。早く食べないと焦げちゃうからね。』
そう、2人に勧めながら自分でも皿にホルモンを取って食べ始めた。
晋二郎と“ちえみ”も山崎を見てから、箸をとりホルモンを食べ始めた。
 『店長、今日の“たれ”なにか味が何時もと変わっていませんか?』
山崎は、晋二郎の質問に“ニヤリ”と笑ってから、2人に向かって、
 『分かりましたか、実は今まで研究していた食材を“たれ”に混ぜたんですよ。この食材を研究するために、岐阜・愛知に通っていたんですよ。その“たれ”が、一昨日完成したんですよ。でも、良く分かりましたね吉田さん?』
晋二郎は、山崎に向かって、一言。
 『店長、私が親父さんの頃からここのお店に通っているんですよ。舐めちゃいけませんぜ店長。』
そう、晋二郎は格好をつけて、山崎を見た。
“ちえみ”は、そんな晋二郎を見ながら笑い出してしまった。
 『やだー、先輩何を格好つけているんですか?似合いませんから辞めて〜。』
“ちえみ”が、晋二郎に向かってそんな事をいうものだから、山崎もつられて“ちえみ”と一緒になって、笑い出してしまった。
その後は、ひとしきり3人ホルモンをつつきながら談笑してから、晋二郎と”ちえみ”の2人は帰宅するために店を出た。

山崎が、2人の見送りの為に外に出てきたため、晋二郎と”ちえみ”は山崎と話しをしていた。
 『店長、今日は色々楽しかったです。あと、嫌な事を思い出せてしまって申し訳なかったです。』
そう、話しながら、晋二郎は店長に向かって、頭を下げていた。
 『吉田さん、嫌、いいんですよ昔の話ですから。それに、思い出に代わってきていますから気にしないで下さいよ。』
晋二郎と“ちえみ”は、山崎の言葉を聞いてから、再度、頭を下げて駅に向かって歩き出していた。
“ちえみ”が、歩きながら晋二郎の腕に自分の腕を通してから、
 『先輩、これからどうしますか?今夜、私の部屋に泊まっていきますか?』
晋二郎は、少し緊張した声で、
 『“ちえみ”、今日は辞めよう。週初めだから・・・・。』
 『先輩、じゃー、週末ならお泊りOKって事ですか?』
“ちえみ”の鋭い切り返しに晋二郎は何も言えず、黙ってしまったが、意を決したように“ちえみ”に向かって、
 『じゃー、“ちえみ”今度の土曜、俺の為に時間空けて貰えるかな。』
今度は、“ちえみ”が記憶をたどるような顔をしてから、
 『分かりました、先輩OKです。”ちえみ”は土曜日先輩の為に時間空けます。』
晋二郎は、“ちえみ”に向かって、
 『ありがとう“ちえみ”。無理言ってごめんな。』
 『いいえ、先輩。土曜日はもともと何にも予定は入ってないですから。』
そう、晋二郎に言ってから、舌を“ペロッ”と出して見せた。
 『“ちえみ”俺を今、騙したべ。』
 『そんな、事は無いですよ先輩。ただ、ちょっと試しただけですよ。』
 『何を試したんだよ。』
“ちえみ”は顔を赤らめながら、晋二郎に向かって、
 『先輩が好きだから。先輩なら・・・・。』
そう、言いながら、“ちえみ”は自分の腕に力を入れて、晋二郎の腕に抱きつきそのままの格好で、晋二郎と“ちえみ”は駅に向かって歩いて行った。
 

 第4-1章:和倉温泉 に続く。






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