おやじの趣味

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2019/08/11 22:49:05|おはなし
おはなし : 外伝『山崎。』  第2-5章 : 小倉トースト
外伝 : 『山崎。』
第2-5章:小倉トースト

食事中にメールが届き、箸を止めてメールを読んでいた山崎が、思わず小さくガッツポーズをとっていた。
そんな、姿を隣のテーブルに座っていた、女の子が、山崎に向かって言葉をかけていた。
 『おじちゃん、いい事あったの?』
突然の言葉に山崎は、驚きながら、辺りをキョロキョロと見ていた。
すると、横のテーブルの5歳ぐらいの女の子が山崎を不思議そうな顔をして見ていたのである。
一瞬、“ドキリ”とした顔で女の子を見たが、直ぐに何時の優しそうな顔で、
 『うん、今、友達と連絡が取れたんだよ。』
 『ふ〜ん、よかったね、おじちゃん。』
 『うん、ありがとうねお嬢ちゃん。』
その時、女の子の母親が、山崎に向かって、
 『すいません、うちの子が生意気な事を言って失礼しました。』
 『いいえ、いいんですよ。私の方が、年甲斐もなくガッツポーズをとったんですから。』
その時、女の子が、母親と父親に向かって、
 『おじちゃんは、これから彼女ときっとデートなんだよ。』
 『だから、おじちゃんガッツポーズをとったんだよ。』
まるで、山崎の心の中を見過かしたように、両親に向かって説明していた。
それを見た、山崎は、“図星”だと言わんばかりの顔を女の子に見せていた。
女の子の言葉に両親が慌ててたしなめていたが、
山崎は、両親に向かって、
 『いや〜、図星ですから。』
 『すごいね、おじちゃんがこれからデートってよく分かったね。』
 『うん、すぐ分かったよ。だって、TVとおんなじことをしていたから。』
山崎は、女の子の話を聞いて、思わず笑いだしてしまった。
そのまま、両親に会釈をしてから、食事を再開した。

かつ丼を食べ終わった、山崎はもう一度、川上からのメールを読み返していた。
 『川上、昔と変わっていなかったな〜。相変わらず綺麗でスタイル良かったな。』
山崎は、先週の川上の事を思い出しながら、約束の返信メールを書いて送信してから、浜名湖SAのレストランを後にした。
山崎は、レストランを後にする前、女の子のご家族に会釈をしてから、出て行こうとしたその時、
 『おじちゃん、彼女さんと仲良くデートしてね。』
と、女の子が応援のメッセージをくれた。
山崎は、そんな女の子に向かって、
 『お父さん、お母さんと楽しいドライブしてね。』
 『じゃーね!』
手を振ってから、山崎はレストランを出て行った。
食事を済ませてから、売店でお茶のペットボトルを1本購入し、喫煙所へと向かった。
山崎は、今の自分が若干ではあるが、興奮していることを感じていた。
興奮と言っても、緊張に近い興奮であった。
その、理由は、元CAの川上にこれから合うからであった。
山崎は、以前勤めていた民間の航空会社でCAの川上とは同僚であった。また、海外乗務をしていた川上とは何回も同じ便で乗務したことが有ったのである。
そのせいか、プライベートの時間でもよく合って、食事をしたり、映画 等を見ることが有ったのである。
しかし、これからと言う時に、あることが起きてそれをきっかけに、山崎は飛行機から降りてしまったのである。
また、山崎の後を追うようにして川上も会社を退社してしまったとのことである。
山崎は煙草を吸いながら、昔の事を思い出していた。
しかし、山崎はまさか、今から2か月前にあんな形で川上に再開(あう)とは思ってもいなかったのである。
2人は、とんでもない形で再開していたのである。
それは、2か月前に晋二郎が、愛知県立病院に緊急搬送されたことがきっかけだった。

晋二郎の搬送後に、“ちえみ”からの助けて欲しい旨の連絡を受けたため、急遽仕事を休み、晋二郎の入院する病院に駆けつけた時に、晋二郎の担当看護師が川上だったのである。
煙草を吸い終えた、山崎は手にお茶のペットボトルを持ちながらソアラに向かって歩き始めた。
ソアラに乗り込んでから、お茶を一口飲んでからエンジンを始動させた。
ソアラは機嫌良く目を覚まして、心地よい排気音を山崎に聞かせた。
山崎は、ガソリンの残量を確認してから、川上との待ち合わせ場所の犬山城に向かってソアラを走らせた。
山崎は、運転をしながら時計で時間を確認していた。
 『待ち合わせは2時だよな。今は、12時だから楽勝だな。』
そう、呟きながら山崎はアクセルを気持ち踏み込んで速度を上げた。
 『犬山城は今月に入って、何回目かな?』
 『川上は、お城の傍に住んでいると言っていたな今度部屋に上げてくれないかな?』
そんな事を考えていたら、ナビが降りる指示を出してきた。
 『早いな、そろそろ小牧東か。ここからなら、30分もあればお城に着くな。』
山崎は、犬山城に向かう途中のコンビニに入った。
コンビニでは、コーヒーを購入してから煙草に火を付けて吸い始めた。
 『ふ〜っ、緊張するな。何で、俺、こんなに緊張しているんだ!』
山崎は、そう呟きながら、煙草を吸っていた。
 『しかし、今日の俺、やたらと煙草を吸っているな川上は確か煙草の臭いは駄目だったよな。』
山崎は、煙草を消してから、再度コンビニに入った。
コンビニから出てきた時には、手にタブレットのメンソールを握っていた。
山崎は、そわそわしながら、コーヒーを飲み、新しい煙草に火を付けて再び吸い始めた。
 『まだ、1時28分かよ。ここから、犬山城までは車で約5分程度で行けるな。』
山崎が、そんな事を呟いていた時、不意に後ろから、
 『山崎機長?』
と、声を掛けられた。
驚いて慌てた、山崎はコーヒーが器官に入ったらしく激しく“咽た”。いや、“咽”すぎていた。
 『大丈夫ですか?』
山崎は、咽ながらも声のする方に目を向けた。
山崎が目を向けた方向には、スタイルの良い髪の長い綺麗な女性がグレーのスーツ姿で立っていた。
その女性と目が合った瞬間、山崎は口をゲームのパックマンの様にパクパクと動かしていた。
そのスタイルのいい、長身の女性は再び、
 『機長。』
と、山崎に向かって、声を掛けた。
山崎は、煙草を灰皿に捨ててから、コンビニで購入した、タブレットを取り出して慌てて口に放り込んでから、
 『川上君。』
 『機長。お久しぶりです。』
 『ほんと、久しぶりだね。川上君。』
 『機長、お願いですが、川上君と言うのは辞めていただけますか、昔みたいに、“典子”と呼んでもらってもいいですか?』
山崎は、川上の一言で、一気に記憶が5年前に戻っていった。
そして、山崎は、
 『典子、1週間ぶりだね。』
 『はい、機長。』
山崎は、苦笑しながら、典子が山崎にお願いした事を典子にもお願いした。
 『典子も俺の事を機長ではなく、昔みたいに“烝(すすむ)”と呼んでくれないか。』
典子は、山崎に向かって頷きかえした。
 『はい、分かりました。では、改めて、烝さん。』
 『ん、何だい、典子。』
山崎が、自然に典子と口にした瞬間、典子が山崎に抱きつき、そして耳元で、
 『烝さん、会いたかったです。』
山崎は、典子の耳元で、再び、
 『1週間前に逢っているじゃないか?』
典子は、山崎の胸の中で、頭を左右に振ってから、顔を上げて、
 『昔は、毎日会っていたじゃないですか機長。』
山崎は頷きながら、
 『そうだね、典子。でもそれは仕事だけどね。』
典子は、笑いながら、山崎から腕を解いて、
 『はい、確かにそうでしたね。』
 『典子、ところで少し俺、お腹が空いているんだけど小倉トースト食べに行かないか?』
 『はい、烝さん了解しました。私が美味しいお店をご紹介させていただきます。』
 『うん、お願いするよ。』
山崎は、典子をエスコートしながら、コンビニの駐車場に停めているソアラに向かって歩き始めた。
典子が、ソアラを見た瞬間、
 『烝さん、ソアラまだ乗っていたんですか?』
 『そうだよ。典子知らなかった、俺は自分の好きな物・人は一生持っているという事を。』
典子は、山崎の言葉に一瞬、顔を赤らめた。
そのまま、2人はコンビニの駐車場から典子が案内する美味しい小倉トーストを出す店に向かって車を走らせた。
 『烝さん、お店は千種区ですけどいいですか?』
 『当たり前だよ、典子。君の紹介するお店はいつでも安くて美味しいお店だから俺は助かるよ。』
典子は、小さく頷いてから、
 『烝さん、覚えていてくれたんですね。ありがとうございます。』
山崎はソアラを千種区に向かって走らせていた。
 『典子、千種区だよ。』
 『はい、烝さんあそこのお店です。“おもかげ庵”です。あそこ、美味しいんですよ。』
 『ありがとう、了解だよ。』
山崎はソアラを駐車場に停めてから、典子を助手席のドアを開けて降ろしてから一緒に並んで店に入った。

典子は、店員に2人と告げてから、オープンテラスの席を指定した。
店員は、直ぐに2人をオープンテラスへと案内した。
席に着くと、烝と典子は、すぐさま小倉トーストとコーヒーとレモンティーを注文した。
注文後、烝は辺りをキョロキョロしながら典子に話しかけた。
 『典子、ほんとオープンテラスでいいの?もし、俺の煙草を気にしているのなら気にしないで店内の禁煙席でも俺は全然平気だよ。』
典子は、烝の言葉に頭を左右に振って、
 『烝さん、違うの。ここのお店は女の子に人気だから、店内に居ると烝さんが若い綺麗な女の子に見とれてしまうのが嫌なの。』
山崎は、そんな典子の“頬”に触れながら、
 『馬鹿だよ君は。』
 『俺は、さっき言ったように好きな人は一生大切にするからそんな事気にしなくていいのに。俺を信じてくれよ。』
典子は、烝の頬に触れている手を握りながら、
 『分かっているは、烝さん。』
 『ありがとう、典子。』
2人はオープンテラスで話しているのが絵になるのか、それとも典子の容姿なのか通行人が、チラチラと2人を見ながら通り過ぎて行くのである。
山崎は、通りの状況に気がつきながら、典子を見ていた。
 『烝さん、私、お化粧直してきますね。』
と、断ってから席を発って、化粧室へと歩いて行った。
山崎は、典子の後姿を見ながら、
 『ほんと、あいつ、服装のセンスは良いし、スタイルも良いし、優しいし、気がつくし頭もいい。ほんと申し分ないな典子は。』
そんなことを考えながら、山崎はポケットから、煙草を取り出して何時もと違うライターで火を付けて吸い始めた。
山崎が火を付けてから、4分程で典子が化粧室から戻ってきた。
 『お待たせしました。』
山崎は首を縦に振ってから、
 『心配したよ、典子。遅いから帰ったかとおもったよ。』
典子は驚いたような顔を烝に見せて、
 『私、そんなに時間かかりましたか。』
山崎は、顔の前で手を振りながら、“違う・違う”と見せてから、
 『ただ、典子、君と少しでも長く一緒にいたかったから、冗談でそう言っただけだよ。』
典子は、山崎の手を握ったその時、2人が注文した、小倉トーストが運ばれてきた。
 『お待たせいたしました。』
そう、ことわってから店員が2人の前に小倉トースト、コーヒーとレモンティーを置いてから店内に戻って行った。
 『典子、食べよう。』
2人はそろって、小倉トーストを食べ始めた。
山崎は、一口含んでから、何時もの様に“小倉あん”を舐めるようにして食べてから、うんうんと頷いて見せ、
 『典子。やっぱり君の舌は凄いな。正解だよ。』
烝の声に他のテーブルに座っている客が驚いた様に、烝と典子を見た。
典子は慌てて、山崎に、
 『烝さん、変に勘違いされるような事は言わないで下いよ。』
“へっ”と言う顔を見せてから、
 『御免、御免。いや、典子の紹介してくれる店は外れが無いと思ってね。』
典子は、山崎に向かって、
 『でしょ、烝さん。』
 『うん、参りました典子様。』
山崎はそう、典子に向かって話しながら、テーブルに両手をついて、“参りました”とポーズを作って見せた。
その、山崎の仕草に、思わず笑いだしてしまった。
山崎も、思わずつられて一緒になって笑っていた。
 『ところで、典子、これから何処かに行かないか?』
典子は、嬉しそうな顔を見せ、
 『はい、お願いします。私、出来たら烝さんと行きたいところが有るんですけど、お願いできますか。』
 『ああ、了解だよ典子。』
典子は、烝の了解の言葉を聞いてさらに笑顔になって、
 『じゃー、東山動植物園に連れて行っていただけませんか。』
 『動物園か・・・・。』
典子は不安そうな顔をして烝の顔を覗き込んだ。
山崎は、不安そうな典子に向かって、“ニコっと”笑って、指でOKマークを作って、
 『OKだよ。』
 『烝さん、ありがとうございます。じゃー、早く小倉トースト食べちゃいましょ!』
 『うん、賛成だよ。』
そう、言いながら2人は残りの小倉トーストを急いで食べ始めた。
小倉トーストを食べ終わった、典子は、再度お化粧を直しに化粧室に向かった。その間に山崎は支払いを済ませ典子が戻って来るまで煙草を吸いながら待っていた。
典子が、化粧室から急いで戻ってきて山崎に向かって、
 『烝さん、お待たせしました。今回は早かったでしょ。』
 『うん。そうだね典子。』
 『じゃー、行こうか。』
 『はい。』
2人は会話をしながら店を出て、駐車場へと向かった。
晋二郎が、車に乗り込んで、ナビで典子のリクエスト先でもある、東山動植物園を行き先にセットして、
 『典子、ここから10分程度で着けるよ。』
 『はい、お願いします。』
山崎は、典子の声を合図にソアラをスタートさせた。
 『烝さん、このソアラ懐かしいですね。昔は、空港からよく寮まで送っていただきましたね。』
山崎は、運転をしながら、典子の顔を“チラッと”見ながら頷いて見せた。
 『烝さん、覚えていますか?』
 『なにを?』
 『このソアラですよね。烝さんと私が初めてキスをしたのは。場所は、箱根の芦ノ湖が見える駐車場でしたね。』
 『典子、俺も昨日の様に覚えているよ。』
山崎は、そう話しながら典子の手を握った。また、典子も山崎の思いに応えるように握り返した。
そのまま、山崎のソアラは東山動植物園に向かって走っていた。
 『典子、着いたよ。』
 『行こうか、典子。』
 『はい。』
2人は、そのまま東山動植物園に入って行き、園内を散策していた。
園内に入ると、2人は普通に腕を組んで園内の動物を見ていた。
 『典子、お願いが有るんだけど良いかな?』
 『何ですか?』
 『実は、鳥を見たいだけど良いかな?』
典子は、一瞬、“鳥”ですか?と復唱していた。
 『駄目かな?』
 『烝さん、全然かまいませんよ。』
 『ありがとう、じゃー行こうか。』
 『はい。』
山崎は、典子の手を引いて鳥の居るバードゲージに向かった。
 『烝さんは、鳥がそんなに好きでしたっけ?』
山崎は、典子を見ながら、“うん”と頷いて見せた。
 『ほら、ここだよ典子。北園の鳥舎だよ。あ、いたいたダルマ鷲。』
 『烝さん、あの鳥、ダルマ鷲って言うんですか?』
 『そうだよ。可愛いだろ。』
 『やはり、猛禽類はかっこいいな。』
 『烝さん、今、口にした猛禽類って何ですか?』
 『うん、猛禽類はね、鷲とか鷹等の肉食を主食とする鳥達のことだよ。』
典子は烝の話を聞きながら頷いていた。
 『烝さん、ほんとに鳥が好きなんですね。』
山崎は、空を見ながら、
 『うん、俺も空が好きだったからね。』
と、言った瞬間。山崎は“しまった”と言う顔を見せた。
山崎の言葉を聞いた、典子が山崎に向かって一言、
 『ごめんなさい機長。私が、機長の脚に怪我をさせなかったら、私達は今でも空を飛んでいたのに・・・・。』
 『機長から、空を奪ってごめんなさい。』
典子が山崎に謝ってから、去ろうとした時、
山崎は典子の手首をつかんで、自分に引き寄せて抱きしめ、耳元で、
 『典子、そんな事、気にしないでくれ。』
 『俺は、今の生活に十分満足しているんだから。今の生活のきっかけを作ってくれたのは君だから逆に礼を言いたいくらいだよ。』
 『機長、無理しないでください。』
 『典子、俺は、無理していないよ。無理しているなら今、俺はここにはいないよ。』
 『君が、今でも好きだから、今日会いに来たんだよ。思慮深い君なら、そのくらいは分かっているだろ。』
典子は、山崎の言葉に素直に頷いて見せ、山崎に向かって、
 『烝さん、昔みたいにキスしてくれませんか。』
山崎は、頷きながら、目で周囲を確認してから、典子の耳元で、さらにもう一度好きと告げてから、
 『典子、好きだよ。』
そのまま、典子の唇に自分の唇を重ねた。
しばらく、烝と典子は唇を重ねたままでいた。
そんな、2人を怪訝に思っていたダルマ鷲が、ひと声大きな声で鳴いた。
 『グエー・グエー』
その、ダルマ鷲の声で驚いた2人は唇を離してから、ダルマ鷲に向かって、手を振って、礼を言ってから鳥舎から離れて、ゾウさんを見に再びを腕を組んで歩きだした。
この時、典子は山崎の肩に自分の頭を載せて歩いていた。
余談では、あるが、川上典子の身長は168p、山崎烝は176pと2人とも長身でスタイルも良く、絵になる2人で有った。
そのまま、2人はゾウさん、ライオンさん、コツメカワウソ君、ゴリラさん等の動物を見てから、東山動植物園を後にした。
山崎が、時計で時間を確認しようとした時、典子が山崎の腕時計を自分の掌(てのひら)で隠してから、山崎に向かって、
 『烝さん、時計は見ないでいただけますか。あと、私、明日病院お休みなんです。』
山崎は、典子の肩に手をそっと置いて、
 『ありがとう、典子。今日俺、泊っていくから、出来たら君も一緒に泊まってくれないか。』
 『ありがとう烝さん。私、嬉しいわ。』
典子は山崎が自分の肩に置いた手に頬釣りをしながら、
 『烝さん、愛してるの私、貴方が大好きよ。』
山崎は、典子の目を見てから、
 『俺も君が好きでたまらないんだよ。仕事をしていても、どうしても白衣姿の君が頭に浮かんでしょうが無いんだよ。だから、君がくれたメールに“愛いたいって”書いて有った時、俺は、いてもたってもいられずにソアラのキーを握って、家を出てきたんだよ。』
 『典子、好きだよ。いつも君の事を見て一緒に過ごしていたいんだ典子。』
強く山崎は自分の感情を典子にぶつけ、典子の事を抱きしめた。
典子も、山崎の思いに応えるように、胸の中で、
 『烝さん、私も、貴方と同じ気持ちで一杯よ。』
これからと言う時に、予想も出来ないことが山崎の身体に発生した。
 『ぐ〜、ぐぐ〜っ。』
なんと、山崎のお腹が空腹で鳴ったのである。
2人は、抱き合っていた腕を解いて、一斉に笑い出してしまったのである。
 『やだ〜烝さん。これからって言う時に。なんで、お腹が鳴るのよ〜。はー可笑しい涙出てきちゃったは。』
 『ごめん、ごめん典子。』
山崎は、典子に向かって、笑いながら謝っていた。
 『やはり、小倉トーストじゃ持たなかったか。残念。』
山崎は話しながら、腕時計に目を移してから、
 『典子、晩御飯食べに行かないか?』
 『烝さん、もうそんな時間ですか?』
頷きながら、
 『現在(いま)、5時28分。この時間なら俺の腹が鳴ってもおかしくはないよね。』
典子は、笑いながら晋二郎に頷いて応えた。
 『烝さん、待ってください今、お店確認しますから。お店が空いていれば、ネットで予約しますから。』
 『典子、煙草吸ってきていいかな?』
典子は、頷いた。
山崎は、典子の腕を掴んで、自分の方に抱き寄せて一緒に喫煙所の方に向かって歩き出してから、
 『典子、ここで電話してくれないかな?駄目かい。』
典子は、首を左右に振りながら、山崎に向かって、
 『どうしたんですか烝さん。』
 『さっき、言ったばかりじゃなか忘れたのかい?』
典子は、“へっ”と言う顔をしてから、
 『何をですか・・・・。』
 『嫌だな、さっき言ったじゃないか、“いつも君の事を見ていたいって”。』
 『ありがとうございます。』
そう、言いながら典子は顔を赤らめながら、自分のスマートフォンを操作して、ネットで予約状況を確認していた。
山崎は、煙草を吸いながら典子の事を優しい眼で見ていた。
 
第2-6章:”292941” に続く。





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