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2018/12/16 21:48:01|おはなし
軽キャンで行く4泊5日の旅 第五章 : 5-2.最終章。
4泊5日の旅 第五章 : 5-2.最終章。

翌日、晋二郎は二日酔いで少し頭が痛かったが、なんとか1日業務をこなして定時退社で帰宅できた。
夜、晋二朗は自宅から“ちえみ”に1通のメールを送った。
メールの内容は、明日の待ち合わせ時間についての連絡だけであった。
朝の、5時に自宅前で待っているとだけ書いて送った。
その後、“ちえみ”からの返信で、
 『了解です、明日はよろしくお願いします。』
との、短い返信が届いた。
土曜日の朝、3時半に目覚ましが鳴り、晋二朗は起床した。
静かに、1階まで降り、歯を磨いてから着替えを済まし、車の鍵を持って自宅を出ようとしたとき、それまで寝ているとばかり思っていた“ワン吉”が、静かに晋二朗の見送りに来てくれた。
 『ワン吉、起こしてごめんな。』
ワン吉は小さく、“わん”と一言だけ返事をした。
 『今日はお前を連れて行けないんだよ。ごめんな。』
ワン吉は晋二朗の言葉で何かを察したらしく、素直に頷いて見せ、自分の寝場所へと戻って行った。
両親には、昨晩帰宅時に土曜日は出かける旨を連絡していた。
晋二朗は、静かに玄関を出て、玄関の施錠をしてから車に乗り込みエンジンを始動させ暖機運転を始めた、
車外で煙草に火をつけエンジンが温まるのを待った。
エンジンは5分程度で暖機運転を終了し、“ちえみ”の自宅へと向かった。
今日は、“ちえみ”と待ち合わせ後は、高速道路で猪苗代署を目指して走るだけであった。
“ちえみ”の自宅までは深夜のせいもあって、待ち合わせ時間の5時20分前に到着した。
案の定、“ちえみ”はまだ、居るはずもなく、起こす訳にもいかないので、近所のコンビニで時間を潰すことにした。
コンビニでコーヒーを3缶購入し内1本を飲みながら、煙草を吸っていると、スマホにメール着信の音楽が流れた。
 『仲田?』
メールを確認すると、案の定“ちえみ”からであった。
内容を確認すると、
 『おはようございます。先輩、今、何処ですか?』
晋二朗は返信に、
 『お宅の近所のコンビニでコーヒー飲んでる。』
と、書いて返信した。
返信後、5分程したら“ちえみ”が黒色のカラージーンズと白のブラウスの上にグレーのコート+ポニーテール姿で小走りでやってきた。
 『仲田、何だよ、お前。家まで迎えに行ったのに。』
 『いいえ、私もコーヒーが飲みたくなったので、来ちゃいました。』
“ちえみ”は、晋二朗が持っている缶コーヒーを見ながら話した。
 『そうか、じゃーほらよ。お前さんのコーヒー買っておいたから。これ飲んで。』
 『ちなみに、カフェオレだけどいいかい?』
“ちえみ”は頷いてから、
 『ありがとうございます。』
 『じゃー、いただきます。』
そうお礼を言って、飲み始めた。
晋二朗は、そんな、“ちえみ”を見ながら、しみじみ愛おしいと感じていた。
 『仲田、それ飲んだら出発しようか。』
 『今日は、猪苗代署に10時に細川刑事と武田課長と待ち合わせだから。』
 『はい、分かりました。』
晋二朗は、そう言いながら、2本目の煙草に火をつけ吸い始めた。
 『先輩、ごちそうさまでした。』
 『うん、じゃー出発しようか。』
晋二朗は、煙草を消しながら“ちえみ”に話しかけた。
車に乗り込んだ、“ちえみ”が晋二朗に向かって、一言。
 『ワン吉君は、今日は留守番なんですか?』
 『そうだよ。ワン吉は今日は留守番。』
“ちえみ”が少しがっかりしたように晋二朗には見えた。
 『じゃーとりあえず、出発しよう。』
 『はい。』
晋二朗は、車を国道から、東名高速、首都高速、東北自動車道を使用して、猪苗代署へと車を走らせた。
途中SAで休憩をしたが、車が順調に流れ特に渋滞の発生も無かったため、予定していた9時半前より大分早く、9時18分に猪苗代湖に到着した。
ここから、猪苗代署までは車で走って5分程度で行ける場所に有った。
2人は、猪苗代湖の湖畔を言葉を交わさず散歩した。
ただ、無言で湖畔を歩いた。
しばらくして、晋二朗が時計で時間を確認し、
 『そろそろ行こうか?』
 『そうですね。そろそろ時間ですね。』
 『仲田、今日は何時に終わるかわからないけど、後で、若松城に行って見ようか。お前、お城好きだもんな。』
 『いいですね、先輩。』
 『了解です。』
2人は車に戻り、猪苗代署を目指して車を走らせた。
猪苗代署には、9時48分前に到着し、受付で、細川刑事と武田課長を呼んでもらった。
しばらくして、細川刑事が1階の受付まで迎えに来てくれた。
 『お久しぶりです吉田さん、仲田さん。お元気でしたか。』
 『お2人にはその節は捜査に大変ご協力をいただきありがとうございました。』
 『いいえ、細川刑事。その節は、こちらこそお世話になりました。』
 『今日は武田課長はご不在ですか。』
 『いいえ、別室でお2人を待っています。』
 『では、今からお2人をお連れしますので、どうぞ付いてきてください。』
そう、言いながら細川刑事は先に歩いた。
しばらく、廊下を歩いて、ある会議室の前に到着した。
細川刑事が、会議室の扉をノックし、官姓名を名乗ってから入室した。
会議室には、武田課長が待って居られた。
武田は、晋二朗と“ちえみ”の顔を見るなり、席を立って歩いてきて、
 『吉田さん、仲田さんその節は捜査に大変ご協力ありがとうございました。』
 『あの、難事件を無事に解決できて本当によかったです。』
 『では、早速ですが先日、細川刑事が吉田さんにご連絡させていただきました内容からご説明をさせていただきます。』
武田課長は、細川刑事を見て目で合図を送り、それに、応えるように細川刑事が説明を始めた。
 『まず、事件の容疑者の氏名から、』
ご家老 ⇒ 脇坂 源蔵(86歳) 配偶者無
松さん ⇒ 佐久間 二郎(82歳) 配偶者無
ただし、脇坂はステージ4:胃癌を患っていました。
なお、両名共に先祖は吉田さんの推測通り浜田藩のご家来でした。
犯行の動機については、
動機も、吉田さんの推理通り、戊辰戦争時の仇討ちとのことです。
ただ、仇討ちと言いますとあまりにも漠然としているため、島根県警及び山口県警に依頼し、出来る限り動機を調べてみました。
調べた結果は、毛利藩が戊辰戦争時にかなり酷いことをしたことがわかり、その際に脇坂のご先祖様は惨殺されたそうです。
脇坂家は浜田藩の家老職に就いていたのは事実であり、戊辰戦時にはかなりの数の家来がおり、その家来たちの家族の仇も打ったためこの度の事件が複数の県に渡って発生したことがわかりました。
また、実際の犯行については、佐久間が実施したとのことです。
脇坂が1人で実行しようとしたのですが、どうしても病気が邪魔をして、体が動かなかったため、佐久間が見かねて協力をしたそうです。
細川刑事の話が終わった時、同席していた加藤刑事が、
 『しかし、私には理解できない事件です。よく、吉田さん犯行動機が分かりましたね。』
 『いや、私と、この仲田は歴史が好きなので、いろいろな歴史の本を読んでいたから理解できたと考えています。』
 『ところで、細川刑事と武田課長は福島県の出身ですか?』
晋二朗の質問に、今まで黙って話を聞いていた、武田課長が言葉を発した。
 『吉田さん、個人の意見として回答させていただきます。私はここ福島の出身ですから、脇坂・佐久間 両名の考え(動機)は、ある程度理解できます。』
晋二朗の質問の意味を理解した武田の回答であった。
 『今までも、TVで戊辰関係の番組が放送されると見てしまいます。』
武田課長の話を聞いて、細川刑事が不思議そうな顔をした。
そんな、細川刑事の顔を見て、武田課長が話を始めた。
下諏訪で両名を確保した時、特に抵抗することもなく、また、連行された下諏訪署内での取り調べに対しても素直に話をしたことを聞かされた。
では、何故、松さんとご家老が自殺したのか、また、何故晋二朗がここ猪苗代署に呼ばれたことがはっきりしていない。
 『武田課長、質問いいですか。』
そう、断ってから晋二朗は疑問をぶつけた。
 『何故、松さんとご家老は自殺されたのですか。何か酷い事でもされたのですか。』
 『吉田さん、それは有りません。』
 『自殺については、いいですか、気をしっかりとお持ちくださいね。』
武田課長は前置きしてから一言、
 『では、吉田さんはっきりと言います。』
 『2人は、割腹(切腹)されたのです。』
 『2人共、ほぼ同時刻に割腹されました。』
 『看守が発見した時には、既に息が無かったとのことです。』
武田の話を聞いた晋二朗は、武田の言葉が理解できないように、うつろな目をしていた。
また、“ちえみ”に至っては、慟哭していた。
少し、間をおいてから晋二朗が、武田課長に向かって質問を投げた。
 『何故、看守さんは気が付かなかったんですか?』
 『気が付いていれば、助かった可能性があったのでは…。』
武田は、一呼吸おいてから、
 『それはですね。2人ともに壁に向かって、正座していたため発見が遅れたのです。』
武田の話を聞いて晋二朗はますます理解できないでいた。
 『何故、ですか。呻き声とかは無かったのですか。』
 『いえ、物音一つもしなかったとのことです。』
晋二朗は信じられないと言った表情で武田課長の顔をぼんやりと見ていた。
晋二朗の表情を見て、武田が声を掛けた。
 『吉田さん、平気ですか。気を確かに。』
武田の声に反応した晋二朗が、
 『ありがとうございます。私は平気ですから。』
武田が晋二朗の事を気にしてか、
 『吉田さん、まだお話が続くので、ここで1回、休憩にしますか?』
 『その方が、仲田さんには良いかと思いますが。どうしますか。』
武田の声で我に返った晋二朗は、“ちえみ”の様子を確認して、
 『じゃー、休憩お願いします。』
 『では、10時48分から再開しましょう。』
武田の声で、休憩となった。
休憩中、晋二朗は、“ちえみ”にお茶のペットボトルを手渡した。
 『仲田、お前平気か?』
 『駄目だったら、廊下で休んでいていいんだぜ。』
 『なんなら、俺、武田さんに話すけど。』
晋二朗は、“ちえみ”の手前、強がってはいたが、一番ショックを受けているのは、晋二朗であった。
その後、晋二朗は、腕時計で時間を確認してから、煙草を吸いに行った。
吸い終わって会議室に戻ってきた時、細川刑事から、まだ時間がかかると言われ、尚且つお昼は何ににするか考えておいて欲しいと言われた。
晋二朗は、その旨を“ちえみ”に伝え考えておいて欲しいと伝えた。
休憩明け後、晋二朗は武田課長に再度、質問を投げた。
 『武田課長、何故、切腹なんですか。切腹の動機は何でしょうか。』
 『そうですね。』
武田が呟いた。
 『恐らく、最後は病気ではなく、武士らしく死にたかったのではないでしょうか。』
 『じゃー、何故、松さんも切腹されたんですか。』
 『使従関係です。』
 『まさか、そんな事は無いんじゃないんですか。』
 『吉田さん、そこが武士(侍)なんですよ彼らは。』
 『私は、そう考えないと2人の自殺の原因が分からないと考えています。』
晋二朗が、武田課長に向かって、
 『武田課長、こんなこと聞いていいか分かりませんが、お2人は切腹で自殺されたと言われましたが、道具は何を使用したんですか。』
細川刑事が、晋二朗に向かって、
 『吉田さん、それは一般の方には説明できません。』
細川刑事の言葉を聞いた、武田が、会議室に居る人の顔を見回してから、椅子から立ち上がり、室内を歩きながら大きな声で、独り言を呟き始めた。
 『凶器の入手経路は分かっていないんだな〜。』
 『ただ、怪しいのは面会で来られた同郷の方達の差し入れかな。』
慌てて、細川が、
 『課長!』
と、声を上げて武田の独り言を止めようとしたが、
武田は、手で細川を静止して独り言を続けた。
しばらくしてから、武田の独り言は終わった。
話終えた、武田は晋二朗に向かって、
 『お2人から、吉田さん宛ての手紙を預かっています。』
そう言って、武田は、晋二朗に向かって手紙を見せた。
 『しかし、吉田さん、手紙を渡す前に約束して欲しいことがあります。』
 『吉田さんが、読み終わったら私たちにも必ず一読させてください。』
 『お願いします。』
武田が、頭を下げて晋二朗に依頼した。
 『武田課長、頭を上げてください。』
 『分かりましたので、こちらで、手紙を読み終えたら、お渡しさせていただきます。』
武田は頭を上げて、
 『ありがとうございます。』
 『では、これが恐らく吉田さん宛てに書かれた手紙です。』
 『恐らくとはどういう意味ですか。』
 『封筒を見ていただければ分る筈です。』
晋二朗は、武田から渡された封筒に眼を移した。
その封筒には、
 『丹後温泉で会った兄さんへ と、書かれていた。』
晋二朗は、その宛先を見て、顔に笑顔が戻った。
 『これは、松さんが書いたな、粋だな松さんは。』
晋二朗は、早速封筒を開けて、中の便せんを取り出して、読み始めた。
便せんの書き出しには、
 『丹後温泉で会った兄さんへ、
兄さんが、この手紙を読んでいるということは、俺とご家老さんは既にこの世には存在していない事ってことだ。そこをしっかり理解してこの手紙を読んで欲しい。』
手紙を読んでいくと、今回の事件の動機などが書かれていた。

犯行動機については松さんの手紙には以下の事が書かれていた。
戊辰の役の時、私の爺様はご家老の手紙をもって長州藩のお偉いさんに届けに行っていた。
何度目かのやり取りの時に、長州藩から武力侵攻はしない旨の確約をもらったそうだが、実際は騙され尚且つ、ご家老の爺様は味方に殺されたんだそうだ。
何故、騙されたのが分かったかと言うと、うちの爺様が一部始終を見ていたため、ご家老の爺様が切られた時にも、うちの爺様は助けに行った行ったときにご家老様から、死に際に『仇』をとってくれと頼まれたそうだ。
それから、ご家老と私の家では、仇を求めて捜し歩いたんじゃ。
それぞれの親父の代では、大東亜戦争が起きたために『仇討』は出来ずにそれぞれの親父が出征するときに、遺言としてわしとご家老様が引き継いだんだ。
 兄さん、これがわしの生まれ持っての使命なんだよ。
おかしな話だろ、この平成の時代に。

晋二朗は、しばらく無言で手紙を読んだ。いや、読み続けた。
手紙を読み終えた時、晋二朗は手紙を“ちえみ”に読むように渡した。
 『いいんですか、読んでも。』
 『ああ、仲田の事も書いてあるから読む権利は有るよ。』
晋二朗は、“ちえみ”が読んでいる時は一言も発せず、目を瞑って読み終わるのを待った。
“ちえみ”は、読みながら所々声を詰まらせて泣いた。
いや、泣かずには読めない手紙であった。
しばらくしてから、“ちえみ”が晋二朗の事を呼んだ。
 『先輩、お手紙読み終わりましたのでお返しします。』
 『うん、ありがとう。』
“ちえみ”から、手紙を受け取った晋二朗は武田課長に手渡した。
 『吉田さん、拝見します。』
 『どうぞ。』
武田もまた、読みながら目頭を押さえて読んだ。
読み終えた時、短く一言だけ口に出した。
 『ここには、本当の動機が書かれていた。』
そんな、武田課長の一言に晋二朗と“ちえみ”も黙って頷いて見せた。
頷いた後に、晋二朗が、
 『生まれた時代が遅すぎたのかな・・・。』
晋二朗の横に座っていた、“ちえみ”が、
 『先輩、なにか言いました?』
 『あ、うん、ご家老と松さんは生まれた時代が遅すぎたのかなと思ってね。』
 『現在(いま)の普通の人が2人の起こした事件については、恐らくただの連続殺人事件としか思われないと思うんだ。』
 『ただ、俺たちみたいな歴史が好きな人は別な見方をすると思うんだな。』
 『でも、それは、全体から見たら数字に表せない位の比率だと思うんだ。』
 『もし、2人が生まれた時代が戦国、いや、江戸時代だったらまた違った見方をされたかなと思ったんだよ。』
“ちえみ”は、黙って、晋二朗の話を聞いていた。
武田も、
 『確かに、今、吉田さんがお話をされていたように、現在(いま)の方には理解されることはないでしょう。』
 『ただ、私には多少なりとも理解はできますよ。ただし、私個人の意見としてですけどね。』
昼食後、晋二朗と、“ちえみ”は武田課長から手紙のコピーを受け取り、2人に礼を言って猪苗代署を後にした。
その後2人は、帰途についた。
当初、話していた会津若松城観光を中止して帰途についた。
 
 
以上、終わり





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