★ ≪トキメ気≫の[iBOX] ★ [男と女の風景] (短編小説集)

これは、大人のラブストーリーです。 我が人生に、夢よ! もう一度・・!  いつまでも、恋も愛も、いっぱい欲しい。 そんなバーチャル・ラブを、どうぞ・・。 
 
2019/10/17|その他
 ★ O型の女 ★ [男と女の風景・153]
              2019年10月17(木) 00:00時 更新  
 
  我が家のベランダ・ガーデン
 
  今回は、≪秋の山野草展≫に出品した3品を紹介します。
 
  ≪写真・左・・ヒトツバ(獅子葉)
 これは、ヒトツバの中でも、葉の先端が分岐して、縮んで、丸まっているのが特徴です。
 その様子がオス・ライオンのタテガミのように見えるので、獅子葉と言われています。
 
  ≪写真・中・・不明
 当初は、ヒノキシダと思っていましたが、調べたら違うようでした。
 
  ≪写真、右・・不明
 これも、サツマシダと思っていましたが、違うようです。


 
               [男と女の風景・153]
 
 
(注)

 今回は、前回お知らせした通り、前作品と同じような状況を設定して、O型の女性だったら、どう反応し、どう行動するか。
 そんなことに思い至って、書いてみました。

 
   ★ O型の女 ★
 
 10月11日(金)午後6時に、大沼顧問が退任することになって、秘書室が主催する送別会が開かれた。
 大沼顧問は、当社の生え抜きであり、専務取締役まで勤められた方で、人柄も温厚だったから、皆から親しまれていた。
 そこで、この機会に秘書室だけではなくて、専務が管掌していた勤労部や総務部の現職もOBも呼んで、旧交を温めることになった。
 さらには、他の部署や支社に異動した塩谷なども呼ばれた。
 もう還暦を過ぎた多くのOBも招待したから、総勢は90人を優に超えるメンバーだった。
 そのため、会社の社員食堂を借り切って、ケータリングによる立食パーティをすることになったのだ。
 
 集まったメンバー達は、お互いに同じ職場の同僚だったし、同じ仕事で苦楽を共にした仲間だった。
 とくに退職したOBたちは、皆、久々に見る先輩たちだった。
 だから、懐かしさを感じながら肩を叩き合い、握手を交わして、お互いに健康なのを喜び合っていた。
そして、現職の秘書課長の司会で始まり、大沼顧問のご挨拶になった。

 顧問は、いくつかのエピソードをトツトツと語っていた。そこに、皆は自分の当時を思い出して、感慨深いものを感じていた。
 特に、塩谷は新任の秘書課長となった時に、大変お世話になっていたから、感謝の気持でいっぱいだった。
 時には、社外とのトラブルや、社員の際どい事件に対するマスコミとの対応など、切羽詰まった時に、塩谷は矢面に立って対応した。
 そんな時にも、専務に状況を報告すると、陰で具体的な指示を出してくれて、自信を持って対応できたのだ。
 そういう意味で、専務からは多々教えられたことで、今の支社長の地位があるのだと、塩谷は改めて噛み締めていた。
 そして、現職の秘書室長の音頭で、皆が乾杯をした。
 
 皆と歓談をしていると、大御所の酒井貴子が、ビールの紙コップを持ってやってきた。
「塩谷支社長、ご無沙汰してまして・・」
「おお、酒井さん。元気そうで、なによりですね」
 酒井貴子は、2代前の社長の秘書をしてきたし、社長が相談役になってからも担当秘書だった。
 現在の秘書たちは皆、学卒で、人物を見た上で人事課が配属をするのだ。
 だが、実は誰も言わないが、古い時代だったから、酒井だけは短大卒だったのだ。
 ただ、酒井は、陽気でおおらかな人柄だったから、大御所として皆から慕われていた。
 そして、その後は、今も秘書課の庶務担当として、睨みを利かせていた。
 酒井は、塩谷より2年先輩で、独身だと聞いていた。ただ、娘がいるようで、離婚したとも思えるが、そこは秘密で誰も知らなかった。
  酒井は、多少の小皺が見られたが、肌の色艶があって、年齢の割には若々しかった。
――アアッ、酒井さんは、もしかしてO型かも・・。
  一般にO型は、陽気で社交的で、人当たりがいいんだ。
  でも、実は恰好つけ師で、自慢屋で、ナルシストなんだよな。
  そう、自分が天下の大将だと思って、裸の王様になりかねないんだ。
  だから、褒めると喜ぶし、けなすと気持が折れるんだ。
  もっと厳しく叱ると、最後は開き直って、自暴自棄になる。
  そう、感情の起伏が激しくってね、
  時には豹変して、激高することもあるんだ。
 
 塩谷が、当たり障りのない雑談をしていると、酒井がつぶやいた。
「でもね、最近は、若い人が相手にしてくれないのよ」
「そうですか。でも、大御所だったら、若い子も付き合うでしょ」
「なにを、言ってるの・・。イケメンが、なの・・」
 塩谷は、たとえ親しい仲とはいえ、思わぬ発言に耳を疑ってしまった。
――ああ・・、そう言えば、前任の秘書課長から、聞いたことがあるな。
  そう、酒井は、若いイケメンを食い散らかしてる、って・・。
  秘密の引き継ぎ事項だから、要注意だよ、って・・。
  やっぱり、そうなのか・・。
  社長秘書をいいことに、ストレス発散をしていたんだ。
  独身だからかな・・。
  でも、お互いに大人同士だから、ご自由にだけどね。
  まぁ、オレには、どうでもいい事だよ。
 
 酒井がさり気なく離れていって、塩谷は考え込んでしまった。
――飲み屋の女の子の方が、よっぽど身持ちが堅いよ。
  だって、食事には付き合うけど、その先はないからね。
  まぁ、お金を積めば別だろうけど・・。
  そう、人にもよるけど、OLのほうが、自由奔放な不倫をしてるよ。
  まぁ、そんな時代なんだろうな。
  でも、なぜかな。なぜ、オミズは堅いのかな。
 すると、B型の浜田美千代が目の前を通り過ぎたが、塩谷には目もくれずに大御所に向かって行った。
――そうなんだよな。B型は、興味のあるターゲットしか、追わないんだ。
  まぁ、人それぞれの生き方だから、色々なパターンがあるけど・・。
  そう、B型は、ロマンチストだから、
  何事も苦労だなんて感じないで、自分のロマンに突進するんだ。
  エッ、そうか。オミズ達は、苦労しているのかも・・。
  両親の横暴とか、貧困な家庭環境とか・・、
  そんな悲惨さが、身に染みてるのかも・・。
  そして、過去にフラれた男たちの亡霊が、心の奥底を痛めてるのかも・・。
  そう、そんな過去のなにかを、心の中で引き摺ってるんだ。
  だから、世間に対しては臆病だし、失敗を恐れてる。
  まぁ、ヤリマンの女やアバズレの子もいるけど・・、
  でも、必死にもがいている子が、いっぱいいるんだよ。
  そうか。だから彼女たちは、一線を越えないのかも・・。
  やっと、あのオミズたちのハートが見えてきたよ
  それにしても、さ、我が社は、風紀が乱れているよな。
 
 すると、OBたちに親しげに愛嬌を振りまいていた酒井が、塩谷の前に戻ってきた。
「やっぱり、大御所はモテモテですね」
「あら、そうでもないですよ」
「でも、20年も昔のOBと親しいだなんて、僕には出来ないですよ」
 塩谷は、直感的に約30年と思ったが、敢えて酒井の勤続した年数を短く言った。
 酒井は、一瞬戸惑ったが、ふと、まだ40才と若く塩谷が言ったことに気づいて、内心「ウフッ」と喜んだ。
「塩谷さん、お久しぶりだから、この後、二人で飲みませんか」
「ああ、いいですね」
 内心では、あまり歓迎ではなかったが、昔のよしみでそう応えてしまった。
――ああ、若いイケメンには、断られたのかな。
  まぁ、その代役でも仕方がないか。
  でも、オレは、絶対に不倫はしないよ。
 
 それから、立食パーティがお開きになって、二人は示し合わせると、丸の内の地下街にある居酒屋に入った。
 酒井が「やっぱり、ビールから」と言うので、ジョッキを頼んだ。
「酒井さんは、お宅は何処でしたっけ」
「ええ、落合でして、地下鉄の東西線で一本なの・・」
「ああ、いいですね。あの辺は静かでしょ」
 塩谷は、感情を害さないように、当たり障りのない話題を心掛けていた。
 それからジョッキが届いて、二人が乾杯すると、塩谷は考えていたテーマで切り込んだ。
「酒井さんは、もしかしてO型ですか」
「アラ、よく判りましたね。ズバリですよ」
「だって、ナルシストだから、色んな面で、自分を磨く努力をしているんです。しかも、その努力を人には見せない。そこが素晴らしいんです」
「ワー・・、嬉しい」
 塩谷は内心、褒め方が大成功だと満足していた。
――そう、O型は、美人だ、知的だなんて、平凡な褒め方はダメなんだ。
  若々しいと褒めても、そんなの当然よ、って、受け流すだけでね。
  もっと心臓をグサッと掴むような、褒め方でないと・・。
「だって、その艶のある肌は、単に化粧品だけではなくて、日頃の食生活から努力をしてるんでしょ」
「そんなこと、男性に判るんですか」
「なにを言ってるんですか、秘書課長は、出勤した朝の顔色を見ただけで、秘書たちの体調や気持の乗り方が判るんです」
「マァ・・」
 塩谷は真顔で、もっともらしいウソの説明をしたのだが、酒井はもう絶句していた。
 それから、ジョッキがなくなると「塩谷さん、私の神田のスナック、ご案内しますけど、どうですか」と言い出した。
 塩谷は、腕時計を見ながら、まだ8時前なのを確かめると、「ああ、まだ時間が早いからな。では、もう一軒だけ」と応えた。
 
 それから、山手線で神田まで出て、裏通りを抜けると、古びたビルの地下にそのスナックはあった。
 薄暗い店に入ると、まだ時間が早いせいか、6席ほどのカウンターには、客はいなかった。
 大泉は、マスターとママに「先日は、大騒ぎをしてすみません」と、悪びれもせずに挨拶をした。
 だが、なぜ大泉が、こんな場違いな店を知っているのか、しかも親しい間柄なのか、不思議だった。
 すると、大泉はカウンターの真ん中に座ったが、それを見た塩谷は、やっぱりそうかと思った。
――ああ、O型って、真ん中に座るんだよな。
  天下を取った気分でね。
「マスター、紹介します。当社の未来を背負うナンバー・ワンの塩谷君です」
「イヤァ、僕は単なる一兵卒でして、しがないサラリーマンです。宜しく」
 大泉が、自慢げに紹介するのに、塩谷は戸惑いながらも、謙遜した言い方で応えた。
「こちらのお二人は、ご夫婦でしてね。いつも仲がいいから、見ているだけで妬けちゃうの・・」
 ママが水割りを作ってくれたので、二人はまた乾杯をした。
 
 すると、サラリーマン風の二人組が、もう酔っているのか陽気な話し声で入ってきた。
 カウンターの手前に座った二人に、マスターが対応して、ママが厨房に入っていった。
 すると、そんな様子を見た酒井が、耳元でささやいた。
「あのお二人、15才も年齢差があるのよ」
「おお、そうなんだ。ママは、見た感じ、まだ若いものね」
「女って、ダメよね。情にほだされて、一旦惚れると、もう一生、地獄までついて行くのよ」
「まぁ、それが普通だけどね」
 しかし塩谷は、「惚れて一生ついて行くのは、A型だ」と思っていた。
 だから、O型は自分が最優先で、相手のことなど見てないんだと、チョッと軽蔑的になった。
「あのママは、田舎から出てきて、最悪な時に、マスターに救われたんですって・・」
 塩谷は、他人の身の上話には興味がなかったから、酒井の話を黙って聞き流していた。
「大手のスーパーに就職したら、売り場の主任にセクハラされて、キャリーバッグひとつで逃げて来たらしいの」
 酒井は、黙ったままの塩谷が気になったのか、覗き込んできた。
「それで、上野に着いたのはいいけど、途方に暮れて街を歩いていたら、女性募集の張り紙があって、それを見ていたら声を掛けられたんですって」
 長々とした話にも、塩谷は黙って聞いていた。
「それで、事情を聞いてくれて、働く気があるなら、面倒を見てやるよって言われたそうなの。それからは、色々と親切に世話になったって。その後、お店が、この神田に移ってきたけど、ついてきて・・。世話になったマスターの男気に惚れたって、本人が言っていた・・」
「まぁ、救われたのも運命なんだろうね。人の出会いなんて、偶然がもたらすから・・」
「そうなんですよね・・」
 酒井は、ふと落ち込んで、ポツリとこぼした。
 
「そう言えば、大泉さん、旦那さんは・・」
「アラ、痛い所を突いてきますね。そう、私は離婚したの・・」
 塩谷は、また黙ってジョッキを握ると、飲み始めた。
 いつもの通り、こういう際どい場面になると、黙って遠くを見ているほうが、相手は話したくなるのだ。
「実は、元亭が浮気性でね。私、ずっと我慢してたの・・」
 塩谷は、大泉が話し始めても、前を向いたまま応答しなかった。
「ええ、実は彼もO型でしてね。いつも自慢ばっかりで、威張ってるの・・。私、堪忍袋の緒が切れて、大喧嘩の末に、娘を連れて実家に帰っちゃったの。O型同志って、ダメなんですかね」
「いや、それは相性ではなくて、旦那の女遊びが原因でしょ」
 塩谷は、そう言って取り繕ったが、内心では別の意見だった。
――旦那に、もっと手をかけてやったら、浮気をしなかったろうに・・。
  そう、O型は、少しだけでも褒めると、それで舞い上がるんだよ。
  そんな、チョッとした気配りでいいのにな。
  離婚は、双方が自分勝手で、自分が優先だし、
  お互いに思い遣りがないから、どっちも悪いんだ。
  まぁ、O型もB型も、違った意味で自己主張が強いんだよ。
  だから、自分を半分殺して、我慢しないとな。
 
「私の元亭は、学園祭で知り合って、お互いにノリノリで気が合ったから、結婚に至ったんです」
 塩谷は、また黙然として聞き役に徹していた。
「でも、いざ一緒に暮らすと、いつまでたっても子供みたいに、大はしゃぎして、この人、バカじゃないの、って、思ったんです。でも、それを我慢してたら、浮気をし始めて・・」
――ああ、この酒井も、腹に溜まっているものがあるんだ。
  自分の思い通りにならない、そんなストレスが・・。
  でも、誰もが抱えているんだよ。
  そう、回りからの情報過剰で、自分は不幸だって思い込むんだ。
  それが、不安と不満を煽るんだな。
  だから、余計なことは、知らない方がいいし、
  自分を信じて、我が道を行くことだよ。
 
 すると、酒井がさり気なく体を寄せ付けてきたので、塩谷は何事かと覗き込んだ。
 上目使いの色目が、なんとも艶めかしく光っている。
「塩谷さん、私とお付き合いを、してくれませんか」
――エッ、どういうことだ。
  だって、こうして酒に付き合ってるじゃない。
  エッ・・、まさか、セックスではないよな。
「ネェ、ダメですか」
 もう一度ささやかれて、酒井を見ると、謎めいた眼をトロンとさせていた。
 それを見た塩谷は、もう逃げ場を失って、気持の上では藻掻いていた。
「塩谷さん、私と一戦、交えませんか」
――エッ、ウソだろう。この女とは、あり得ないよ。 
  それって、不倫だろ。
  オレには女房も、子供もいるんだ。
 
「酒井さん、申し訳ないな。最近は、お酒を飲むと、そっちの方は全くダメなんです」
「アラ、ダメなんですか・・」
 酒井は、残念と言うよりは、軽蔑的な目線でジロッと見回した。
 それを見た塩谷は、一瞬、頭にカチンと来て、この女を食ってやろうかと思った。
――この野郎、ナメやがって・・。
  ブイブイ、悲鳴を上げさせてやろうか。
 塩谷は、内心、怒りが爆発していた。あえて頭を下げたのに、こんなことで軽蔑されたのが、許せなかった。
――でもさ、こんなアバズレ女とはやりたくないよ。
  だって、単なる欲求不満の捌け口なんだろ。
  ああ、落ちぶれたもんだ。可哀想に・・。
  そう、据え膳を食わないのも、男の美学だよ。
 塩谷は、実はAB型だったから、あくまでも冷静だった。だから、胸の内を明かすこともなかったし、表情にも出さなかった。
 しかも、妻の顔が浮かんできたから、自分をダメな男にした上で、丁寧に詫びを入れたのだ。
 そのほうが、こんなプライドの高い相手を傷つけないし、無難に逃げ切れると思ったのだ。
――もう、こんな女、相手にしたくないよ。
  オマエさぁ、O型だったら、本当のプライドを持てよ。
  ああ、こんな女とは、サヨナラしたいな。
  まぁ、中年女のセックスレスは理解できるけど、さ。
  でも、見ている方が、辛いよな。
 塩谷は、ママに「チェック」と言うと、酒井にはなにも告げずに立ち上がった。
 
                              ― おしまい ―
 
 





     コメントする
タイトル*
コメント*
名前*
MailAddress:
URL:
削除キー:
コメントを削除する時に必要になります
※「*」は必須入力です。