2019年9月26(木) 00:00時 更新 ○我が家のベランダ・ガーデン○ 現在、平塚の≪花菜ガーデン≫で、我ら山野草の同好会が、10月13日(日)まで展示会を開いています。 100点を越える展示品や、安価な余剰苗の販売もしており、毎日100名を超える来場者が訪れてくれます。 皆さんも是非、気分転換でご来場ください。 今回の写真は、私の展示品を紹介するつもりでしたが、私のデジカメでは暗くてムリでした。 ≪写真・左・・ハコネシダ≫ この≪箱根シダ≫は、イノモトソウ科で、アジアンタムと同じ仲間です。 江戸時代に、オランダ商館のドイツ人医師が、箱根で採取して、この名前にしたとか。産前・産後の特効薬として使われたとか。 ≪写真・中・・タイワンアオネカズラ≫ この≪台湾青根蔓≫は、絶滅危惧種で、沖縄にも自生していますが、台湾が有名です。 この緑の葉は、この9月に芽を吹いた新芽ですが、直射の日光で、もう葉焼けをしています。 実は、この葉の下に、5ミリほどの太くて、薄緑色の根茎が張っているのですが、それが≪青根≫の名前の由来です。 ≪写真、右・・ナキリスゲ≫ この≪菜切り菅≫は、この細い葉が固くて、菜が切れそうなことが、名前の由来です。 スゲ属は、一般に春に開花しますが、これは秋に開花するのが特徴です。 この鉢はまだ3年物で、あと3年もしたら大きくなり、密生することでしょう。
[男と女の風景・153] ≪ 注 ≫ 今回は、前回の作品と同じような状況を設定して、A型の女性だったら、どう反応し、どう行動するか。 ふと、そんなことに思い至って、書いてみました。 ★ A型の女 ★ ある日の午後、庶務担当の女の子が、支社長室のドアをノックして入ってきた。 「支社長、花岡さんという方から電話がありまして、お邪魔したいのですが、ご都合はどうですか、とのことです」 「そうか。では、電話を僕に回して・・」 横浜支店長の塩谷は、ふと先週、支店の前で偶然、出会った花岡を思い出した。 あれは、お客先に挨拶に出かける時で、慌ただしくって取り込んでいた。 だが、久しぶりだったから、「来週にでも支社に遊びにおいで。必ずだよ」と、念押しをして別れた。 花岡朋美は、塩谷が秘書課長になる前に、人事課採用係の主任をしていた頃に採用して、総務課に配属した女性だった。 だが、その後は、社内の立食パーティなどで立ち話をする程度で、ほとんど接触はなかった。 先日来た浜田の話で、初めて知ったのだが、なぜか退職して、今は保険代理店の事務員になっていた。 ――そう言えば、浜田君は、来なくなったな。 B型って、一旦NOとなったら、NOなんだ。 まぁ、誰もが自分流だけど、 特にB型は、終わったことは,ケロッと忘れて、振り向かずに、 平然と、次のターゲット、次のテーマに向かうんだ。 だから、男にフラれても、泣かないし、なんの気にも留めないんだ。 そして、5時を回った頃、庶務担当に案内されて、花岡が静かにに支社長室にやってきた。 「おお、花岡さんか、元気そうだね」 「ええ、お蔭さまで」 そんな挨拶代わりの言葉を交わしながら、ソファに案内した。 「先日は、突然出会った時、エッ、見たことがある、って、思ったのよ。君が『花岡です』って、名乗ったから、直ぐに思い出してね。でも、びっくりしたなぁ」 「ええ、私もです。まさか横浜で、とは・・」 「でも、君は相変わらず真面目で、しっかりしてるね」 「いいえ、そんな・・」 朋美は、いつも控え目で口数は少ないのだが、仕事も接客も丁寧で、信頼できる社員だった。 二人は懐かしさもあって、お互いに親しみの笑みを浮かべていた。 「あの当時から、もう20年か」 「ええ、もう私も四十路ですから・・」 「そうか、君とは10才、違うんだな。まぁ、いい中年だね」 「ところで、君たちは、同期入社の女子会はないの・・」 「ええ、あの年度は、学卒女子の営業職がまだなくて、事務職が5名だけでした。でも、そのうちの2人が、チョッと仲が悪くて・・」 「そうか。まぁ、女同志って、難しいからな」 見れば、朋美は、薄化粧なのか顔の肌が白くて、艶があった。 そして、両足を斜めにそろえて、ソファーに座っていた。 ――そう、この背筋を伸ばした姿勢なんだよな。 凛として、水辺に立つ鶴のようだよ。 このさり気ない振る舞いが、いいんだよな。 「あの時、私は、役員の秘書がやりたかったんです」 「ああ、面接の時に聞いたら、そう言っていたよな。でも、あの時は空きがなかったんだ」 「ええ、残念でした。でも、会社説明会で、塩谷さんに出会ったから、御社に応募したんです」 「エエッ、そうなの・・。じゃあ、僕のファンだったんだ」 「ええ、ずっと・・。今でも・・」 まさかの発言に、塩谷は黙ってしまって、ただ見つめるしかなかった。 ――A型は普通、自分からは、自分の本心を言わないんだよ。 そう、自分からは告白しないで、ジッと待ってるんだ。 それなのに、今でもオレのファンだなんて・・。 まぁ、昔っからのよしみで、友達感覚があるのかもな。 でも、それって、オープンマインドで、気を許しているのかも・・。 「ところで、君はなぜ、会社を辞めたの・・」 「ええ、私、実はノイローゼになったんです」 「ああ、そうなんだ・・」 塩谷は、軽く聞き流して、朋美の出方を待った。 こんな時、A型は、本人が言いたくないなら、言わないだろうから、放って置くのが適切なのを知っていた。 「ええ、こんな話は、ご迷惑でしょうから・・」 「アッ、いや、気にしなくていいよ」 「ええ、育児を乗り越えて、娘が小学校に上がって・・、やれやれと気が楽になった時期でした。主人が、主任に昇格して喜んでいたんです。そしたら、なんと毎日、課長に苛められたんです」 ――ああ、あの美智代と同じで、弱い亭主という境遇だな。 でも、花岡はA型で、粘り強く我慢するタイプだから・・。 きっと、亭主を元気づけようと、一緒に苦しんだんだろう。 「お蔭で、主人は、気が変になってしまって・・。ええ、家に引き籠って、会社に行かなくなったんです」 朋美は、そんな苦しい状況を思い出したのか、顔を歪めて、哀しい思いを浮かべている。 「私は会社、娘は学校、そんな時でしたので、病院の精神科で看てもらったら、入院を宣告されたんです。でも、主人の親に相談して、実家が近いから面倒を見てもらって・・」 朋美は、目に涙を浮かべると、思わずバッグからハンカチを取り出して、目頭に当てた。 「すみません。なぜか悲しくて・・」 「いや、気にするな。いいよ。腹に溜まってるものがあるなら、聞いてやるから・・」 「はい。それから、主人の実家を行き来して3年、頑張りました。それで、私がノイローゼに・・」 「そうか。病人がいると、気持が滅入るからな」 「でも、あの人は一向に回復しないんで、私が鬱病になりかかって・・。それを見かねた主人の親が、離婚してもいいと言ってくれまして・・」 「でもさ、君なりに頑張ったんだもの、仕方がないよ」 ハンカチで拭いた朋美の眼は、もう赤くなっていた。 ――降って湧いた災難に、辛かったんだろうな。 まぁ、様々な巡り合わせで、そんな結末を迎えたんだろうけど・・。 でも、人生って、不可抗力ってあるよな。 平穏無事、そんな日常が幸せなのかも・・。 「そうしたら、3か月後に上司の総務課長から、応接室に呼び出されて叱られたんです。『君は、離婚したんだって。それは、言ってくれないと』って・・」 「なぜかな。そんなことは、プライベートでしょ」 「でも、『その時は、相談に乗ってやったのに』って・・」 「余計なお世話だよね。しかし、なぜ、バレたの」 「ええ、離婚届と同じに、人事課で私の家族票を旧姓に戻したんです。でも、社内では従来通り、結婚した田中性のままでと、お願いして・・」 「と言うことは、人事課がプライバシーを漏らしたのか。許せんな」 塩谷は怒った顔で応援したが、朋美は浮かぬ顔をしている。 「それで、その時、課長が慰め会をやろうと言い出して。でも、子供の食事を作るからって、お断りしたんです」 「なんだ、その慰め会って・・」 「ところが、戸塚駅に着いて改札を出た所に、課長がいたんです」 「でも、それって、変だよね」 「それで、下を向いて無視をして歩いていたら、追いかけてきて、強引に居酒屋に引っ張られて、軽く飲んだんです。そして、帰りに強引にキスをされまして・・」 塩谷は、もう言葉を失っていた。 ――なんだ。うちの課長連中は・・。 セクハラは罪だ、って判ってないのか。許せんな。 職場の風紀が、乱れすぎだよ。 でも、うちの支社でも、あり得るかもな。 専門家にコンプライアンスの講話をしてもらって、注意を促すか。 すると、終業のチャイムが職場に響いてきた。 「アッ、定時だよ。花岡さん、食事でもと思ったけど、どう・・」 朋美は一瞬、どうしたものかと迷った表情を見せた。 そんな顔付きを見て、塩谷は、ここは押してはいけないと思った。 「ああ、無理しなくてもいいから。じゃあ、またの機会にしようか」 すると朋美は、反射的に「はぁ・・」応えてしまった。 だが、内心では、残念な思いがよぎっていたのだ。 ――ああ、返事が遅れたよ。 私って、一瞬の迷いがダメなのよね。 そう、絶対に支社に来いよと、って、言ってくれたから・・。 だから、あえて夕方に来たのに・・。 なんで、OKだって即答しなかったのかな。 もっと、色々と話をしたかったな。 そんな煮え切らない様子を見て、塩谷、ふと朋美がA型なのを思い出して、もう一度声を掛けた。 「君は、これから、なにか用事でもあるの・・」 「アッ、いいえ。特にはありませんけど・・」 「じゃあ、ほんの軽く、どう・・」 塩谷は内心、「A型って、意思表示をしないから、面倒なんだよな」と思っていた。 だが、朋美は、もう一度、押してくれて嬉しくなっていた。 それからまた、塩谷は、例の通り総務課長の席に出向いて「今日の現場は、問題ないか」と確認した。 すると、また「支社長、今日の方も、美人ですね」と、謎かけをしてきた。 「そう、花岡さんは、昔、僕が人事の時に採用して、庶務課に配属した人なんだ。先日、偶然、支社の前で会ってね」 「ヘェー、そうなんですか」 「今は保険代理店のOLらしいけど・・。相談事があるって・・」 もう最近は来なくなった美智代の時と同様に、庶務担当の女子もさりげなく聞いていたから、もう公認だった。 二人にとって花岡は、かつての大先輩だったから、敬意を示す気にはなっていた。 だから、塩谷と花岡が部屋を出る時には、軽く会釈をして見送った。 それから塩谷は、いつも部下達と行く居酒屋に案内した。 そこは、支社の課長連中とも時々行く店で、店長や女将さんとも顔馴染みであり、塩谷は声を掛けると、隅のテーブル席に座った。 聞けば、花岡はビールが飲みたいと言うので、ジョッキを頼んだ。 「なに、職場の人たちとは飲むの・・」 「ええ、たまに、ですけど・・。でも、皆さん、自分優先の人が多くて、私は隅っこで細々と・・」 そこにジョッキが届いて、二人は乾杯した。 朋美は笑顔を見せたが、塩谷には、なんとも言い難い寂しげな陰を感じた。 ――どこかに憂いを感じさせる、そんな心情なのかな・・。 そういえば、昔、『愛は優しさだ』って、本で読んだことがあるよ。 そう、学校で荒れる中学生、彼等の心の中には憂いがある。 その憂いの傍に立つ教師は、人偏のイであり、その心は優しさだって。 この花岡も、傍にいてあげたい、って、そんな気にさせる女だな。 しっかり者なのに、寂しがり屋で・・、 でも、人に甘える、その甘え方を知らない。そんな女・・。 見れば、制服なのか黒いスーツに白いブラウスを着込んで、地味ながらキッチリと決めていた。 塩谷は、女性の警察官や乗り物の乗務員たちが制服を着ている姿が、見るからに凛々しくて好きだった。 だから、目の前にいる朋美の端正な容姿にも、好感を持っていた。 「でも、君は、昔から変わらないよね。美人のままだし、控え目で、しっかりしているし・・」 「いいえー、最近は、土曜とか、日曜の夜になると、ふと、寂しくなるんです。ええ、気分が、奈落の底に堕ち込んでいくような」 塩谷は、それに応えずに、ジョッキを持つと、黙ってビールを飲んでいた。 「私、今は娘が心の支えですけど、でも、もう高校生だし、大人ですから・・。ええ、自分自身がしっかりしないと・・」 朋美は、虚ろな目で、独り呟いていた。 「そうなんですよね。仕事中は夢中になれるのに、定時に事務所を出ると、さてどこへ行こうかな、って・・。しばらくは、行く宛てもなくて、街を彷徨うんです。私って、変ですよね」 ――ああ、重症かも・・。 もう寂しさを通り越して、孤独な世界に嵌っていのるかも・・。 このA型のキャラは、何事もいつも真剣に考えて、 そう、自分を追い込むんだよ。 でも、少しだけ自覚症状が残っているのが、最後の救いかも・・。 しかし、この女は、危ないかもよ。 「君は、なにか、気分転換をする趣味はないの・・」 「ええ、私、無趣味でして」 「では、お酒なんて飲まないの・・」 「ええ、職場の皆さんとは、たまに・・」 「君は、戸塚だったよね。地元で知ってるスナックなんてないの・・」 気落ちしたまま首を振る朋美を見て、塩谷も気分が萎えてきた。 ――酒を飲んで、鬱積したストレスを発散すればいいのになあ。 でもまぁ、女性だから、仕方がないか。 アッ、そう言えば、戸塚には一軒だけあるよ。 知人に紹介された店で、ママが優しいから時々行くけど・・。 そう、スナック≪ポエム≫だったら、いいかも・・。 話をしているうちに、ジョッキのビールもかなり少なくなっていた。 そんなこともあって、塩谷は声を掛けた。 「君さぁ、戸塚のスナックに案内するけど、どう・・」 「エッ、そんな所、あるんですか」 「うん。そこは月に1回位しか行かないけど、ママが優しくってね。気分転換には、いいかも・・」 朋美は、塩谷を見る目に生気が戻ってきた。 それからJRに乗って戸塚に着くと、塩谷たちは、駅の西口に出来た大きな商業ビルを抜けた。 そこは、昔の面影が残る下街で、さらにその裏通りに廻った。 「こんばんは」 塩谷が、2階にある≪ポエム≫のドアを開けて、声を掛けた。 すると、ママが「アラ、いらっしゃいませ」と、笑顔で迎えてくれた。 ママは小太りだったが、少し垂れ目で笑うと可愛らしくて、いかにも人が良さそうだった。 そんな様子を見て、朋美は即座に「ああ、本当に優しそう」と安心した。 そして、ママは黒いスーツ姿に、利発そうに整った顔付きの朋美を見て、内心「この子は、一級品だね」と直感していた。 ママが水割りを作るのを見ながら、塩谷は朋美を紹介した。 「この子は、花岡さんで、昔、うちの会社にいた同僚でしてね。ずっと、戸塚に住んでるんだって・・」 「アラ、私は踊場ですよ」 「エッ、私は中田ですから、同じバス路線ですね」 そんな会話で、朋美はもう気持が楽になって、いいスナックを紹介してくれたなと、嬉しくなった。 「ママね、もしこの花岡さんが来たら、僕のボトルでいいから・・」 「はい。こんな素敵な方なら、是非とも、また来てほしいわ」 「この子はね、かの有名な聖心女子大を出ていて、人柄だけではなくて、いい仕事もするんですよ」 「ええ、一目、見ただけで判りますよ。第一印象で圧倒されたし、一言で言うなら、聡明な人、かな・・」 塩谷が売り込んでくれて、ママが絶賛してくれたのが、朋美には嬉しかった。 お蔭で、鬱積していたモヤモヤのストレスを忘れていた。 「どう、この店」 「ええ、ママが素敵ですね。いい家柄のお嬢様のようで、心の底から優しい人、そんなことを感じてます」 それを聞いた塩谷は、ママが厨房に入ったのを見て、朋美にささやいた。 「これは、僕の推測だよ。ママがね、以前、私は芸者の子、って、言ってたから・・。相手の男性は多分、良家の御曹司の血筋だと思う」 「ああ、そうかも、です。でも、本当にああいう上品な人が、世の中にはいるんですね」 「そう、宮様の末裔みたいでしょ。だから、僕はママを見ながら酒を飲むのが、最高の癒しなんだ」 ――ああ、判るな。男性なら、みんな、そうでしょう。 恋人や妻を越えて、優しい慈母観音、そんな存在ですよ。 「でも、子供の頃は、苦労したって、言ってたよ。しかも、踊りや三味線の修行が厳しかったし、その分、女の子の遊び方を知らない、って・・」 ――そうか、世界が違うからね。 人、それぞれに、いいも悪いも背負ってるのかも・・。 私だって、あの主人と結婚して、別れて、母と娘と3人暮らし・・。 そう、そういう運命だったのかも・・。 あの人のいい主人が、上役のイジメに弱かったのも、仕方のない事・・。 だから、今を一生懸命に生きるしかないのよ。 そして、気分転換のお酒、そう、それから趣味よ。 そうだ。市役所とか区役所で、カルチャー教室を探してみよう。 なにか、ボランティアでもいいかも・・。 朋美は、偶然、昔懐かしい塩谷と出会って、こうして今、一緒に飲んで、しかも刺激を貰ってる、それが嬉しかった。 ――ああ、神さまが、この偶然を私に下さって、感謝します。 毎日を寂しく過ごしている私に、頑張りなさいって・・、 ええ、エールが聞こえました。 「塩谷さん、こんなに楽しいお酒で、私は刺激を貰いました。私は今、嬉しいんです」 「そうか。よかったよ」 塩谷には、どこが、どう良かったのか判らなかったが、今日見た中で最高の笑顔に,ホッと安心した。 ――私は、生きてる限り、自分に負けない。 そう、私は今、私に誓うよ。 いずれ、娘はお嫁さん、母はあの世、私は独りぼっちになるの・・。 だから、あと30年は、孤独で生きる。 その目標で、どう生きるかの計画を立てる。 それが、今年の宿題かな。 アア、いいですね。この課題。 私、ガンバルぞ。 「塩谷さん、私、自分の課題が見えました」 ずっと、黙々と考え込んでいた朋美が突然、言い出して、塩谷は何事かと面食らった。 「ええ、未来への実行計画を、立案します。それが出来ましたら、報告に上がります。これからもズッと、見守っていてください。私、頑張りますから・・」 「おお、ここに連れて来た甲斐があったな」 塩谷は、計画の中身は判らなかったが、元気を取り戻したのを見て、溌剌だった新入社員の朋美を思い出していた。 そして、≪ポエム≫を出ると、朋美が壁に寄り掛かって、恥ずかしそうに塩谷を上目使いで見ていた。 「どうしたの・・。そんなに見つめられると、恥ずかしいよ」 そう言われても、朋美は含み笑いをして、ジッと見ていた。 ――なんだよ。この女・・。 A型なのに、大胆にオレを誘ってるのか・・。 この子供のような甘え方、なんなんだよ・・。 塩谷は、端正な顔に輝きを取り戻した朋美を見て、頭が錯乱して、たまらないほどに可愛く見えた。 咄嗟に手を取ると、抱きしめて、朋美を引き寄せた。そして、吸いつけられるように、口づけをしていった。 軽く押し付けただけだったが、朋美はそれに応えてくれた。 それから、二人が顔を見合わせると、朋美は塩谷の顔を見ずに言った。 「塩谷さん、久々に最高の夜でした。私、心から感謝してます」 ー―そうなんだよな。A型の女は、慇懃で控え目なんだ。 しっかりと、自分の意志を持っているのに、それを言わないんだ。 八方美人だから、イヤな男にでも合わせるけど、 でも、内心イヤだったら、絶対にイヤなんだ。 でも一旦惚れると、地獄まで一緒についてくる。 今の口づけは、OKだし、日陰の女でもいいと、腹を括ったんだ。 そう、A型の女を惚れさせると、なにをやっても、優しく見守ってくれる。 ある意味で、日本的な女性で、芯の強さがあるんだ。 もし、この女に惚れられちゃったら、 オレはこの女と、どう付き合えばいいのかな。 ― おしまい ― ≪注≫ なお、≪O型の女≫も、考えてみますが、自信はありませんので、もしダメでしたら悪しからず。 |