★ ≪トキメ気≫の[iBOX] ★ [男と女の風景] (短編小説集)

これは、大人のラブストーリーです。  人は誰しも、ファザコン、マザコンによる願望があり、それを達成する行動をとります。その生まれ、育ちで、パーソナリティが形成されて、その体験が、深層心理やトラウマとなります。  そんな男と女が出逢って、その心の奥底から求め合う≪願い≫、そんな愛の物語を、フィクションで・・。
 
2018/06/21|その他
✾ あの日に戻って ✾ 2018年6月21日(木)・更新
                             2018年6月21日(木)・更新
− 我が家のベランダ・ガ−デン −

  ○ 斑入りの草木 ○
 
 今回は、通常なら単なる緑なのに、葉に斑が入っている変り種たちを紹介します。
 私は、斑入りの植物が好きで、売っているのを見ると、とにかく入手したくなるのです。
 これは、太陽光などによる突然変異だそうですが、それだからこそ、変わり葉の≪珍品≫だと思うのです。
 
≪写真・左・・クマヤナギ≫
 この野生のものは、ツル性の木で、山野では他の木の上に突き出して、覆うように茂るそうです。
 八月に小さな粒状の白い花を咲かせ、緑の実が、赤になり、熟すと黒になるようです。しかも、この実をつけたまま、次の年の花が咲くそうです。
 皮と葉が、整腸や胆石の漢方薬になるとのこと。
 
 ≪写真・中・・スイカズラ≫
 これもツル性で、甘い香りのする白い花が咲き、子供たちがその甘い蜜を吸うことから、≪吸蔓≫との名前になったとか。
 また別名の≪忍冬≫(ニンドウ)は、寒い冬場でも緑の葉で耐え忍ぶことからのようです。
 別名≪金銀≫とは、花が白から黄色に変わるため、風水では金銀財宝を表わす縁起の良い花木と言われています。
 また、漢方薬として、抗菌、抗炎症、利尿などの作用があるようです。
 
  ≪写真、右・・名前は不明≫
 これは、平塚山野草の例会で、会員から苗の交換で100円で購入したものですが、名前を書いた版をなくしたため、不明です。
 
 

                     [男と女の風景・131]
                       ― その1 ー

 ✾ あの日に戻って ✾  
 
 ある週の金曜日、夜の11時過ぎに、常連客なのか、男がもっそりと店に入ってきた。
 その男が無言のままで、カウンターの隅に座った時、その顔を見て朋美は閃いた。
――エッ、この人見たことがある。
  もしかして、蔵原さんでは・・。
  そうだよ。間違いない。
 男は、ダークスーツでスカッと決めていたし、濃いグレーにシルバーのストライプが入った渋いネクタイをしていた。
 見た目は地味だったが、いかにもサラリーマン風だった。
 髪はスポーツ刈りで短かかったが、美しい銀髪になっていた。
 朋美は、このスナック≪あやめ≫に週に二日、火曜と木曜日に、バイトで来ていた。
 もうこの店に来てから三カ月は経つのだが、蔵原と出会うのは初めてだった。
――あの頃は髪が黒くて、顔も日に焼けていて、健康的だったな。
  確かテニスをしていたから、スタイルがいいの・・。
  そう、相変わらず体が締まって、精悍な顔をしているよ。
 
 厨房から出てきたママが、「アラ、蔵原さん、いらっしゃいませ」と挨拶をして、朋美はやっぱりそうかと確信した。
 ママが蔵原のキープ・ボトルをカウンターに置いたので、急いでアイスペールに氷を入れた。
「水割りで、いいですか」
「うん、そうだね。君も、どう・・」
「あっ、いいんですか」
 朋美は、もうひとつショット・グラスを棚から取り出すと、自分の水割りも作った。
 そうしながらも、初対面の女性にさり気なく言う、そのサッパリした話し方は、昔と変わらないなと思った。
 乾杯をしてから、朋美は「蔵原さん、20年くらい前、ルフランによく来られてませんでしたか」と聞いた。
「ああ、あのクラブか。20年前でしょ。ウーン・・、行ってたなぁ」
「蔵原さんは、いつもお一人で来られて、カウンターの隅に座って・・」
「エッ、当時の僕を知ってるの・・」

「ええ、遠くから見てました。あの当時から、素敵な紳士で、直ぐに女性たちに囲まれてましたよね。ええ、当時、私は新人で、とても近寄れませんでしたけど」
「そんなにモテた気は、しなかったけどなあ。でも、君とは、話をしたことはなかったよね」
「ええ、先輩のお姉さんたちのガードが固くって、遠くから憧れているだけでした」
「それでか。僕からは、初対面だよね」
 蔵原は、朋美が見た目で40代の半ばだとは思ったが、そんなことを、いきなりは聞けなかった。
 
「私、当時からサーファーでして、今でもいい波の時は、海に出てます」
「ああ、それで、そんなにスタイルがいいのか。僕はスラッとした人が、タイプなんだよな」
 今日の朋美は、ブラウスは白と黒の細かい柄物を着ていたが、黒のパンツで腰回りの締まりと長い足を強調していた。
「でも、25年ぶりに、再会するなんて、今日は驚きましたよ。それで蔵原さん、今、お歳は・・」
「うん、50代の後半、定年まじかだよ」
「そうですか。当時も、バリバリの紳士でしたよ。他のお客さんは、無駄なお金を使ってるのに、蔵原さんはサラッとして」
「そうかな・・。でも、あの頃は、課長時代で突っ張っていたから、顔が強張っていたんでは・・」
「いいえ、朗らかないい顔をしてました」
 そんな話でほめられて、蔵原は心地よかった。
 だが、この歳にもなると、若い子にアプローチをしても、しょせん無駄だと思っていたから、深追いはしなかった。
 
 蔵原のグラスが空いて、朋美が水割りを作り出そうとしたら、蔵原は朋美のグラスを指差して、「君も、どうぞ」と言った。
 朋美は、チラッと蔵原を見て微笑むと、「そのさり気ないのが、お洒落なんですよ」と呟いた。
「蔵原さん、今まで、いっぱいお酒を飲んできましたけど、こんな美味しいお酒、初めてです」
「そうでしょ。蔵原さんのお酒は、気持が温かくなるのよ」
 傍で聞いていたママが、二人の会話に割り込んできた。
「ママ、今日はいつもの金曜の人と交代して、すごいラッキーです」
「そうでしょ」
「ママね、蔵原さんとご一緒に飲むのは初めてですけど、実は私、25年前から知っていたんです」
「マァ・・。それでは、あなたが二十歳の頃でしょ」
「ええ、ルフランに入って直ぐに見かけまして、ああ、あんなカッコいい男性がいるんだなって、憧れていました」
 朋美は、恥ずかしいのか頬に両手を当てて、眩しそうに見ている。
「蔵原さん、朋美ちゃんはね、人がいいばっかりに、苦労してるんですよ」
「そうか・・。でもね、この子の褒める点は、その苦労を人に見せない陽気さであり、前向きの姿勢だと思うけど」
――ああ、蔵原さん、ありがとう。
  私、ノー天気だけど、終わったことはクヨクヨしないの・・。
 
「そう言えば、ルフランのチーママだった真理奈さん、覚えてますか」
「ウーン、そんな子がいたな。噂話で聞いたけど、確か、店が閉店した後に結婚をしたとか・・」
「ええ、でも、ここ半年前から、藤沢のこの近くで、≪アリス≫というスナックをやってまして・・」
 朋美は、蔵原が首を捻っているのを見て、「アレッ、知らないんですか」と覗き込んできた。
「そう言えば、目が茶色で、フランス人形みたいに可愛い子、だったよな」
「ええ、そうです」
「そうか。あの子も,もう五十路になったか」
「真理奈さんは、新人の私に気を配ってくれましたけど、でも、本当に好きだったのは蔵原さん、あなたでした」
「エッ、まさか・・。本当に・・」
 朋美は、蔵原を見詰めたまま、黙ってうなずいている。
「ああ、それは気付かなかったし、初耳だよ」
「ええ、あの人は、絶対にそんな素振りを見せないんです。でも、私には判ったんです」
「なぜ、それが・・」
「ある晩、蔵原さんにママがお店のオーナーを紹介して、名刺交換をしましたよね」
「いやぁ、覚えてないよ」
「その時、真理奈さんが『私にも』って、名刺を貰ったんです。しばらくして、真理奈さんが厨房で、それをブラジャーに仕舞って、トントンと胸を叩いているのを見たんです」
「いやぁ、そんなのはよくあるでしょ」
「いいえ、名刺や、たとえお金でも、好きではない人が触ったものは、乳首に直には絶対に当てないんです。」
 確かに、相手に不潔感があれば、そんなことしないはずだと思った。
「しかも、幸せそうな笑顔でしたよ」
 蔵原は、そう言われても半信半疑だった。
 
「蔵原さん、今度、≪アリス≫に連れて行って欲しいんですけど」
「ああ、いいね。それで、そこは何時までやってるの・・」
「多分、1時ぐらい迄でしょう」
「それなら、まだ1時間以上もあるよ。思い立ったら、即実行だ」
「でも私は・・」
「アラ、朋美ちゃん、11時半に上がっていいわよ」
 あちらこちらに気配りをしていたママが、またさり気なく割り込んできて、朋美は「ワァー、有難うございます」と歓声を上げた。
 カウンターの客は、もう二人しか残っていなかった。
「だって、蔵原さん、真理奈さんに会うのも25年振りでしょ」
 藤沢の飲み屋街は狭いし、昔からの古い店が多かったから、ママは同業者として知っていたのだ。
 しかも、藤沢の飲み屋は、客に他の店を紹介したりして、共栄共存の気持を共有していたから、お互いに交流があった。
「あっ、そうだ。真理奈さんは、開店の時に挨拶に来られましたから、聞いてあげますよ」
 ママは、奥の引出しから店の名刺を探し出すと、電話をかけ始めた。
「はい、アヤメのこずえですけど。ええ・・。アリスは、何時までやってますか。ええ、はい。それでは25年前のお客様が、是非とも再会したいとのことですが・・、ええ・・。2名ですが、宜しく」
 ママは電話を切ると、ニコッとしてOKサインを出した。
「真理奈さんは、『さて、誰でしょう』って言ってましたよ」
 
 二人が店を出て歩き出すと、朋美が腕を絡めてきた。
「蔵原さん、私、とっても嬉しいんですけど、チョッピリ寂しいんです」
「えっ、なにが」
「こうして、ご一緒なのは嬉しいんですけど、真理奈さんに取られそうで」
「なに言ってるの。しょせん君だって、真理奈だって、口説けないんだから・・」
――この人、本気で言ってるのかな。
  だって、真理奈さんは、まだ好きなはずよ。
  そう、女は歳の差なんて、気にしないの・・。
  私だって今、独身だし、不倫でも付き合っちゃうのにな。
  そうだ。先にチューして、奪っちゃおう。
 信号を渡った先の、あのビルだと言うので、蔵原は見上げると、細長いのっぽビルだった。
 入口を入ると、エレベーターの横には各階ごとの案内版があって、アリスは4階だった。
 すると、寄り添ってきた朋美が「蔵原さん、キスをして下さい」と、上向き加減で目をつぶっている。
 蔵原は一瞬、驚いて躊躇したが、仕方なしに両手でそっと頭を包み込むと、軽く口づけをしてあげた。
「嬉しいです」
 それからエレベーターに乗ると、朋美は、さらに自分から積極的に熱い唇を求めていった。
 突然、豹変した朋美に驚いたが、蔵原は、その必死に求める気持に応えて、唇を熱くむさぼってあげた。
 4階に着くと、朋美は小さな手カガミで、口紅や容姿の乱れををチェックしている。
 
「真理奈さーん、お久しぶりでーす」
 朋美は、ドアを開けると、あえて陽気な第一声を発した。
「アラー、朋美かぁ。元気だったの」  
 真理奈は、カウンターの中から、嬉しそうな笑顔を見せると、「アレッ、二人って聞いたけど」と怪訝な顔をした。
「もう一人の方、ドーゾゥ」
 二人の打ち合わせ通りに、あえて遅らせて蔵原がドアを開けると、もっそりと入ってきた。
「エッ、まさか・・」
 真理奈は、両手で頬を包み込むと、その男を凝視したまま動きが止まってしまった。
「もしかして、蔵原さん、ですか」
 蔵原が近づいて来ると、「ワァー、そうだ。お久しぶりです」と、懐かしい人に出会って、胸の前で手を叩いている。
 蔵原が、カウンター越しに右手を差し出して握手を求めると、笑顔でそれに応えて握り返してきた。そして、さらに左手を添えて包み込んでいる。
 すると、25年もの歳月を越えた若い頃の蔵原を思い出して、万感の思いが募ってきた。
 思わず真理奈は、その懐かしさにもう目が潤んでいた。
 
「まぁ、どうぞ」
 真理奈は、ふと気づいて、カウンターの席を示した。
 見れば、真理奈はピンクのブレザーを着ていた。それは、懐かしい昔に、見覚えのあるスタイルだった。
 頬が少しふっくらとしていたが、とび色の眼や白い肌は、二十代の頃と同じだった。
「でも、朋美、なぜ一緒なの」
「ええ私、あやめでバイトをしていまして、今日は金曜日の人の都合で交代したら、偶然にお会いしたんです」
「そうなのか。でも、福を呼んでくれる福女だね」
 明るい性格の真理奈は、いかにも嬉しそうだった。
 
「アッ、バーボンのボトルを入れてくれる。銘柄はなんでもいいから」
「いえ、今日はお店のボトルで・・。ええ、昔お世話になったお礼です」
「なに言ってるんだ。この店、そんなに客は入っていないだろ」
「ええ、まぁ・・」
 金曜日のこの時間帯なら、酔っぱらいが何人かいてもいいはずだったが、ガランとしていたのだ。
「やっぱり25年のブランクは、大きいです」
「だったら、マイボトル、入れてよ」
「いえ、とにかく今日は・・」
「おい真理奈、僕のボトルを入れてくれないのは、二度と来るなって、いうことなの」
「いえいえ、そんな」
「そこのワイルド・ターキー、12年物をさ。それで今夜は、ボトルが空けるまで飲もう」
すると、朋美が「ワァオ、サイコ―」と歓声を上げた。
 
 三人は乾杯をすると、その後の消息を語り出した。
「僕はね、相変わらず同じ会社で、今は部長。でも、あと数年で定年だよ」
「あの大企業で部長さんだなんて、立派ですよ」
 蔵原は、そう褒められても、役員になれなかった無念があったから、黙り込んでいた。
「私はね、アリスの頃が人生で最高だったな。当時は忙しくて夢中だったけど、後で考えたら、とっても充実していたのよ」
「ええ、私もアリスの頃が最高でした。でも真理奈さん、結婚して幸せだったんでは・・」
「そうね。何度も口説いてきたのに、気がついたら、いつか命令されてたのよ」
真理奈は、俯いたまま、寂しげにつぶやいた。
「そう、熱々で幸せなのは、2年か3年よ。だから、水商売の世界が恋しくなるの・・」
「ああ、判りますよ。私も、アリスが閉店してから、色んなパートやバイトをしましたけど、充実感が違いますね」
「そうなのよね。夜の世界で男性にチヤホヤされると、舞い上がってしまって、そうしてくれない夫にイライラが溜まるのよ。だから、オミズの頃が懐かしくなるの・・」
 蔵原は、男の客から言い寄られる快感が、日常的に得られるオミズ、そのギャップを自覚した真理奈を見直していた。
 きっと、平凡な主婦にはなれないのかも知れないと、蔵原は思った。
 
 さり気なく時計を見ると、もう深夜の2時になろうとしていた。
 日頃のストレスが溜まっているのか、女たちの飲みっぷりは、すごかった。
 グラスが空けば、手酌でボトルから注ぎ足していた。しかも、水割りの水がなくなって氷だけになっていた。
 蔵原は、この二人、こんなに大酒をして大丈夫かなと心配だった。
 見れば、もうボトルの中身も半分を越えていた。
 きっと、気楽に安心して飲める友達と再会して、気分が解放されて、若い頃に戻っているいるのだろう。
 
 蔵原は、酔っ払って朝帰りしても、土曜日の休日は、目が覚めるまで寝ていればいいと、気楽だった。だが、気になっていることがあった。
「自宅に、飲んで帰れそうもないから、って、メールしておくよ」
 蔵原は、いつ帰れるか判らないと諦めて、さり気なく二人に断った。しかも、妻とは言わずに、自宅としたのだ。
 そして、この二人が二日酔いで朝を迎えたら、果たすべき仕事はなにかなんて判らなかった。だから、もう大人なのだから、とやかく言わずに放っておいた。
 こんな飲み方は、オミズの女たちには日常茶飯事だったのかもと、蔵原は改めて思った。
 だが、こうして彼女たちと深夜まで一緒に飲むのは、初めてだった。
 それから、大ママの話になって、真理奈は命の恩人とまで言い切った。なにがあったかは言わなかったが、誉めちぎって心酔していた。
 さらに、当時いた女の子の評価や、その後の消息とかが語られた。
 蔵原はそれを聞いていて、女が女を眺める視点やコメントが面白かったし、興味津々だった。
 
「私には、言い寄ってきた男たちが、いっぱいいましたよ。でも、付き合うとダメなんですよね」
「なにが・・」
 朋美が、酔った勢いで語り出すと、真理奈がそれに突っかかった。
「ええ、いつも蔵原さんと比較すると、みなさん、レベルが低いんです」
「あなた、それはそうよ。蔵原さんは、高根の花だもの」
「そうなんですよね。私の父よりも、世の中の男性達の誰よりも、ずば抜けているんです。ああ、私、蔵原さんと一緒になれるなら、死んでもいいです」
「おいおい」
 朋美はもう酔っ払っていたから、中年の女を丸出しにして、大胆に本音を吐き出していた。
「朋美、私だって負けないわよ」
「オイ待てよ。僕は妻帯者だし、守るべき家族がいるんだよ」
「蔵原さん、ひとつだけ、お願いがあります。これだけは是非とも・・」
「なんですか。僕に出来ることなら・・」
「実は私、バージンなんです」
「エッ、あなた、嘘でしょ」
 真理奈は、形相を変えると、ライバル意識を剥き出しにして、また突っかかっていった。
「いえ、本当です。二十歳の頃は男性がバカに見えて、付き合ったことがありませんでした。そしたら、蔵原さんを見て、それ以来、私にはあなたしかいなかったんです」
 朋美は酔った勢いで、思いの丈を切々と訴えていた。
「チョッと待ってよ。私だって、蔵原さんが頭から離れなくって、離婚したんだから」
 もう、ボトルも残りが少なくなっていて、女たちは真ともな意識はあったが、かなり酔っていた。
「オオイ、チョッと待ってよ。僕は、最後の一線は越えないよ」
「どうしてもですか」
「ウン。でもね、こうやって酒を飲んで発散するのは、いいことだよ。だから今後、三人の飲み会に参加するのは、同意するよ。でも、エッチはダメだな。だって、自信がないもの・・」
 蔵原は、そうまで追いつめられて、自信がないからと弁解するしかなかった。
 さっきまでは、眠気があったが、二人に言い寄られて、意識が過剰になってきた。
 だが、女たちは、コの字型のソファーがあるテーブルに移動するのがやっとで、そこに座り込むと、横になって眠ってしまった。
 時計を見ると、もう三時を過ぎていた。
 
                             ― つづく ―
 
 
 
 
 





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