★ ≪トキメ気≫の[iBOX] ★ [男と女の風景] (短編小説集)

これは、大人のラブストーリーです。 我が人生に、夢よ! もう一度・・!  いつまでも、恋も愛も、いっぱい欲しい。 そんなバーチャル・ラブを、どうぞ・・。 
 
2018/06/14|その他
 ◇ ベリーダンサーの悲壮 ◇ [男と女の風景・130]  
 
                 2018年6月14日(木)・更新

− 我が家のベランダ・ガ−デン −

  ○ 今月の花たち ○
 
 今回は、この六月に咲いている花たちを紹介します。
 
  ≪写真・左・・スイレンボク≫
 これは南アフリカが原産で、この花の、花びらの径は1.5センチほどの小さなものです。花の裏に、次の蕾が見えますが、順次咲いてきます。
 ただ、ご覧のように花が睡蓮のようであり、しかも草ではなく木ですから、この名前になりました。
 
 ≪写真・中・・ジュウニヒトエ≫
 
これは、斑入りの≪十二単≫です。
 花は普通のものと同じですが、斑入りの葉が特徴的です。
 まだ少し残っていますが、新芽が小さい頃は、葉に濃いい赤紫の輪郭がほどこされて、それが白っぽくなる日々の変化が、見ていて面白いのです。
 
  ≪写真、右・・名前は不明≫
 実はこの鉢は、色丹草が植わっていたのですが、昨年の秋からこの花に占領されました。
 でも、こんなにも元気に咲いてくれて、飛び込み苗も嬉しいですね。
 

                      [男と女の風景・130]
                      ― つづき・3 ―

 
 ◇ ベリーダンサーの悲壮 ◇
 
 華子は父を見舞って病院を出る時、ロビーで母に電話をして、「今、お見舞いを済ませたよ」と報告した。
「それで、どうだったの・・」
「お父さん、泣いて、ごめん、て、謝ったから・・。過去のことは気にしないで、って、言いました」
「そう・・。では、会ってよかったね」
「はい、思い残すことはないです」
「そう、お疲れ様・・」
 華子は、なにかが込み上げてきて、ホロッと涙ぐんでしまった。
――母の、お疲れ様の言葉に、かな。
  それとも、父の姿を思い出したから、かな。
    そう、末期ガンの最期を迎えて、痩せ細った父を見たよ。
  ごめんと謝って、頭を下げたままの父は小さかったな。
  でも、今日の面会は良かったよ。
  そう、背中を押してくれた大川さんに、感謝だよ。
「大川さん、付き添って戴いて、本当に有難うございます」
 華子は、立ち止まると、大川に深々と頭を下げた。
 
 病院からしばらくの間、二人は無言で歩いていた。
 だが、ふと周りを見回した華子は、「エーッ、なに、これ・・」と空を見上げている。
 その大きな空間には、なんと、何棟もの超高層ビルがそびえ立っていた。
「こんな景色は、初めて・・。映像では見たことがあるけど、こんなに迫力があるなんて・・。いやぁ、やっぱり大都会だなぁ」
 さらに歩いていくと、間近に住友ビルがあり、三井ビルがあり、東京都庁の庁舎まで見えてきた。
 新宿駅に通じるメインの道路に出ると、大川が「あれが、京王プラザホテルだよ」と教えてくれた。
 華子はその威容に圧倒されていたが、興味津々で眺めていた。
「アッ、大川さん、広場がある。行ってみたいな」
 見れば、階段を下りたテラスには、いくつものテーブルとパイプ椅子が見えた。
 日曜日でもあってか閑散としていたが、ゆったりとしたその場所は、ホッとひと息ついてくつろげた。
 椅子に座って、辺りを見ると、そこはビルの谷底に造られオアシスだった。
 道路側の壁面には、赤レンガが施されていて、ヨーロッパの街並みをほうふつとさせる風情があった。
 
 二人は落ち着くと、病院の自販機で買ってきた缶コーヒーで乾杯した。
「大川さん、さっきは、優しいチューをありがとう。私ね、実は、ファースト・キスなんだ」
「エエーッ、オレもだよ」
 向き合った二人は、目を剥いて驚いている。
「そうか、最高・・」
 思わず二人は、ハイタッチをした。
「大川さん、もう一度、チューをして下さい」
 華子は、パイプ椅子を持ち上げて傍に来ると、寄り添って目を閉じた。
大川も身を乗り出して、優しく肩に手を回して抱くと、軽く口づけをしてやった。
「大川さん、ありがとう。私、嬉しい」
「オレも、嬉しいよ。でも、オレは女性の口説き方なんて知らないからさ、ずっと女性から逃げて来たんだ。ましてや、キスなんて・・。でも、気が合えば、簡単なんだよな」
「そうよ。お互いの気持が合えばね」
 
 背もたれに仰け反って、天を仰ぐと、ビルの先端に小さな青空が見えた。
 まだ5時を過ぎたばかりだったが、ビルの谷間のテラスには、いつしかライトが点いていた。
「でも、華ちゃん、君を知れば知るほど、芯の強い子だね」
「えっ、そうですか」
 ぼんやりと植込みの緑を見上げていた大川が、しんみりと呟いた。
「うん。ダンスもそうだけど、別れた親の最後の言葉も、自分の意思だものね。素晴らしいよ」
「ええ、まぁ・・、でも、そうとしか出来ない自分がいるんです」
「普通だったら、自分を捨てた親を恨むよ。でも君は、過去を振り返らない、って、言ったよな」
「だって、父がごめん、て、謝ったから・・。それで、総てが飛び散ったの・・」
 大川は、やっぱり遠くを見つめたままだった。
 
「あっ、そうだ。オレはね、いつかは福岡の博多へ帰るんだ」
「それって、博多で寿司屋さんを開くって、ことですか」
「そう。本店の店長にはもう了解を取ってあるし、今、後継ぎがいなくって、閉店しそうな店を探してもらってるんだ」
「いいですね。それが夢ですか」
「そう。玄界灘は魚の宝庫でね。安くて美味しいんだ。食べさせてあげたいよ」
「ええ、判ります。宮城も三陸も、魚は美味しいですから」
 二人は、それぞれに自分の故郷を思い出していた。
――ああ、多賀城に帰りたいな。
  でも、あそこでは、食べて行かれないしね。
  そう、今は忙しいけど、夢中で生きているから、いいの・・。
 
 それから、二人が新宿駅に戻ってくると、大川が「思い出横丁で、ホルモン焼きでも食べようか」と言い出した。
 華子は内心、ブタの内臓とかってイヤだなと思ったが、こういう時こそ、なんにでもトライしようと覚悟を決めた。
 だが、その横丁に案内されて、華子は驚いた。
 いつも華子は、新宿の西口にはダンスで通っているのに、こんなに駅に近い場所に、古くからの飲み屋街があるなんて知らなかった。
 しかも、細い路地の両側に、暖簾だけのオープンな店が、ずっと奥まで続いているのだ。
 すると大川がどの店にするかと、通りすがりの店のガラス戸を、そっと覗いた時だった。
 手拭いで鉢巻をした店長と目が合ってしまって、戸を開けると、吸い寄せられるように店に入って行った。
 あとから着いていく華子は、大きな赤提燈に黒字で≪ウッチャン≫と書かれてあるのを確認した。
 店内は、コの字型のカウンターになっていて、ご機嫌が良さそうな客が、もう5人程もいた。聞けば、ピーク時には、行列が出来るとのこと。
 華子は、東京では初めての居酒屋だったから、物珍しそうに店内を見回した。
 カウンターや壁板のテカリ具合は、なんとも昔ながらの焼き鳥屋という風情があった。壁に貼られたお品書きも赤茶けていて、年月を感じさせて、華子は感心している。
 注文を大川に任せると、初めてだからと、店長が推薦する品にするという。
 それで、ホッピーを頼み、スジのトロトロ煮とモツ煮、さらにはもつ焼きを頼んだ。
 華子は、大川の様子を見ていたが、案外と堅実で慎重な人柄なのが判った。
 ホッピーが来て、乾杯したが、二人にはあまり会話がなかった。
 だが、スジ煮とモツ煮が出されて、摘まむと美味しくて、いきなり顔がほころんだ。特に華子は、初めての触感であり、初めての味だった。
「大川さん、美味しい。ブタの内臓というイメージが先行して、敬遠してたんですけど、いいですね。好きになりそう」
 華子は、ホッピーを飲んでは、突っつき続けていた。
――そうか、これも社会勉強よね。
   いろんな人と付き合って、何事もトライよ。
 だが華子には、ずっと引っかかっている問題があった。
――そう、もし大川さんが『博多へ帰る』って言ったら・・。
  しかも『一緒に来てくれ』って、頼まれたら・・。
  私、どうしよう。
  でも、今の赤坂にずっといたいな。
  私が私でいられる場所、それがあのクラブなんだ。
 
 店を出ると、大川が「ねえ、伝説のラーメンを食べに行かない」と言い出した。
 華子も、ラーメンは好物だったが、どこの店が美味しいのか判らなかったし、自炊を心掛けていたから、東京ではまだ食べていなかった。
 大川がビッグカメラの裏路地を奥まで行くと、ビルの一階に和風造りの入口があり、≪満来≫の暖簾が見えた。
「平日のお昼なんて、行列らしいよ」
 大川は自慢げに言うと、店の中に案内した。
 カウンターに並んで座ると、「チャーシューラーメンでいいかな」と華子に確認してから、二杯注文した。
「ここのチャーシューは、びっりするほどテンコ盛りでね、食べられなかったら、残りをお持ち帰りでいいから」
 それから、カウンター越しに出されたドンブリを見て、華子は目を見張った。
「ナニ、これ・・。麺が見えないよ」
 華子は、そっとチャーシューを持ち上げてみたが、それでも麺が見えなくて、「大川さん、先に半分、お持ち帰り」とささやいた。
 大川がその旨を伝えると、中居さんが薄手の容器を持ってきてくれた。
 だが、半分ほど取り出しても、華子には食べきれない程だった。
――ああ、このチャーシューの分量が、伝説かも・・。
 スープには、豚の油がかなり浮いていたが、薄めの醤油味で食べやすかった。
 寿司屋の店長は、普段食べられないラーメンにご満悦なのか、チャーシューを口にいっぱい詰め込んではスープを飲み、黙々と麺を食べていた。
「ああ、満腹だ。食べ応えがあったよ。どう・・」
「うん、美味しかった。このお持ち帰り、濃いい味付けで煮直すと、もっと美味しそう」
 
 二人は、そんな二軒もハシゴをして満腹になって、大川は新大久保まで送ってくれた。
 そして、別れる時、今日が初めてなのに、三度目のキスをして別れた。
――ああ、恋人気分だよ。いいね。
  大川さんは誠実だし、優しいし・・。
  貧乏で忙しい毎日だけど、なんか張り合いが出来て、
  そう、バラ色を感じるよ。
 
 次の週の火曜日、ベリーダンスのショーを終えて、客席を回をろうとした時、マネージャーの佐々木に呼び止められた。
 「華子、そのまま、直ぐに事務所に来てくれ」
――エッ、なに・・。なんだ・・。
  こんなの、初めてだよ。
 華子は、終電にはまだ早いが、何事かと思いながら事務所に出向いた。
 すると静まり返った事務所の奥で、マネージャーが手招きをしていた。
 そこは、社長室の前であり、部屋の明かりは点いていた。
「オイ、華子、今日の踊りは何だ」
 部屋に入るなり、デスクから立ち上がった社長は、すごい剣幕で罵声を浴びせた。
 応接ソファーに来て座り込むと、また怒鳴った。
「オマエは今日、頭の青竜刀を落としそうになったな。客には判らんけど、オレは騙せんぞ」
「アッ、はい」
 華子は、キャンドルと青竜刀を交互に替えて、ダンスを披露していた。
だが、確かに今日は、頭の青竜刀を落としそうになったのだ。
「オイ、オマエは、もうクビだ」
「エッ、社長。すみませんでした。もうしませんから、クビだけは・・」
「なんだと、オマエは、プロだろ。完璧でないとな」
「はい、すみません」
 華子は、ミスをガンガン責められて、思わず社長の前に土下座をすると、床に手をついて謝った。
 社長に「クビだ」と言われて、もう必死になって床に額をこすり付けていた。
 だから、マネージャーが、傍で見下ろしていることなんて気がつかなかった。
 
 すると、社長は華子の手を取って、ソファーに引っ張り上げた。
 そして、背中から腕を回して華子を抱え込むと、アゴに手をやって強引に顔を向けさせた。
 そこには、涙をボロボロと溢した泣き顔の華子がいた。
「オイ華子、クビでもいいのか」
 華子は声も出ずに、必死になってイヤイヤと首を振り続けた。
「もしこのクラブにいたいなら、オレの前でもう一度、ベリーダンスを踊ってみろ。ただし、なにも着けずにな」
 窮地に追いつめられていた華子には、その意味が判らなかった。
「オイ、オレの前に立て」
 そう言われて、華子は渋々立ったが、なにをしていいのか判らなかった。
「オイ、衣装を脱いで、裸で踊れ」
 華子は、「エッ、まさか・・」と思った。
「いえ、それは出来ません」
「ナンダト、それが出来ないなら、クビだ」
 華子はキッパリと拒絶したが、追い打ちをかけられて、もう逃げられなかった。

 華子は天を仰いで、ふと見回した時、部屋の入口で直立する佐々木と目が合った。
 だが、助けを求める気持を否定するように、佐々木は小さく首を振った。 
 華子は、逃げ場のない窮地に立たされて、もう絶望的だった。
――ああ、どうしよう。
  でも私、踊りを続けたい。
  ベリーダンスが、私の命だ。
  いいよ。やるよ。やるしかないよ。
 華子は、腹を括った。
 もう、なり振り構わずにやるしかないと、開き直っていた。
 
「では、社長、一曲、踊ったら、クビにはなりませんか」
「おお、いいだろう」
「誓ってくれますか」
「おお、誓うよ」
「本当ですね。条件はそれだけですね」
 華子がさらに念押しをすると、マネージャがの佐々木が「華子、オレが証人だから・・」と言ってくれた。
 マネージャーは、社長の要求が理不尽なのは判っていたが、華子のダンスを評価していたから、繋ぎ留めておきたかったのだ。
「アッ、BGMがないですけど」
 華子が振り向くと、佐々木がOKサインを出した。
――エッ、もう準備が出来てるの・・。
 それから華子は、一呼吸すると、おもむろに靴を脱ぎ、着ていた上着を脱ぎ、長くて赤いスカートもゆっくりと下した。
 そこまですると、華子はもう平気になっていて、大胆にブラを取り、パンティを脱いだ。
 その美しいボディはスレンダーだったが、バストと腰回りはボリュームがあり、腹のくびれもある美しい裸体が露わになった。
 
 すると、スタンバイしていたミュージックが入った。
 華子は、青竜刀を頭に乗せて、頭出しのポーズを真剣にとって構えると、ダンスを踊り出した。
 直ぐ前にいた社長が、身を乗り出してじっと見ていた。
 それは、舞台で披露する踊りと同じだったが、体を一回転させて見せた顔には、本番の舞台と同じように、客に対する笑みが浮かんでいた。
 華子は、自分が素っ裸で、露わになった豊満な乳房が揺れて、しかも陰毛が丸見えなのも直ぐに忘れて、踊りに集中していたのだ。
 佐々木は、華子が単に開き直っただけではなくて、素っ裸でも客に笑顔を見せるプロ意識の凄さを感じた。
 華子は、裸体を色っぽくくねらせては、腰を激しく振って、いつもの通りに、ただひたすら自分の踊りに集中していた。
 だから、どのポーズが助平オヤジの好みかなんて、考えもしなかった。
 そして、曲が終わった時、やり遂げた恍惚の表情をして、最後のポーズを取った。
 
 すると、佐々木があえて大きな拍手を送ってくれた。社長室にそれが響いて、緊張が解けた華子は、思わず床に崩れ落ちた。
 だが、衣装なしで踊り切った自分に、内心では、ガッツポーズを出していた。
 どんな状況でも、踊り切れる自信が湧いて、トライした自分を褒めていたのだ。
 社長は大きな溜息を吐くと、「ウーン、よかった」と一言、呻いた。
 佐々木は、真っ赤なレースのロングスカートを持って、華子に近づくと胸を隠すように渡してやった。
「よくやったね。お疲れさん」
 佐々木はそう褒めると、華子に靴を履かせ、下着を持たせた。それから、そっと抱き起して、部屋の外に連れ出してくれた。
――ああ、やっぱり根性勝負だったよ。
  社長が難癖つけたのは、すごい試練だったんだ。
  でも私、ダメな自分に勝ったんだよ。
 華子はデスクの通路で身づくろいをすると、「失礼します」と佐々木に断って背を向けた。
 すると、追いかけてきた佐々木が、「話があるから、仕事が終わったら見附の駅前で待っててくれる。タクシー代は出すから」と言ってくれた。
 
 華子は、赤坂見附の駅に降りるビルで、時計を見ながら「ああ、終電がもう出ちゃったよ」とつぶやいた。
 すると、佐々木が小走りで駆け寄ってきた。
「やぁ、待たしてごめん。近くの立飲み屋に行こう」
 佐々木は、初めての女性には、個室の居酒屋や高級レストランなどは案内しなかった。警戒されるし、誤解されるからだ。
 佐々木は、駅から歩いても直ぐの≪銀だこ≫に華子を連れて行った。
 店内に入ると、客は少なかったが、店員に角ハイボールとたこ焼きのセットを二人前頼んだ。
 そして、直ぐに出されたグラスとたこ焼きを持って、店の前にある外のテーブルに華子を案内した。
 佐々木は、乾杯をする時に「今日はお疲れさん」と、優しく微笑んだ。
「でも、立派だったよ。オレは、華子を見直したな」
「はい、ありがとうございます。でもあの試練、あれを乗り越えて、自分に自信を持ちました」
「そう、あの条件でも、平常心で踊れるって、すごいことだよ」
 そこでひと息つくと、二人はお腹が空いていたから、早々にたこ焼きを突っついた。
「あのさぁ、あのやり方は社長の悪い癖なんだ。人の弱点を怒り狂って罵倒しておいて、裸にさせる。女たちは泣いたり縋ったりして、許しを乞うのが多いけど、それで手籠めにしてセックスに持ち込むんだ。あれは罠なんだ」
「エッ、そうなんですか」
「そう、それが常套手段でね。オレは、目の前でやられる女を、何人も見て来たよ」
――ハァー、そんな悪人だったのか。
 佐々木は、ホストクラブの時代からずっと、修羅場を見てきた。
 夜の世界で、切った張ったの大喧嘩や、パワハラやセクハラの理不尽な場面を、様々に見たり聞いたりしてきたのだ。
 だから、今仕える社長の横暴も、冷静に突き放して見ていられる、その腹は座っていた。
「でも華子は、キッパリと断ったし、裸でやったらクビにしないって、誓わせたよな。その罠を越えた所で勝負をかけたのが、すごいことなんだ。だからオレは、証人になるって、言ったんだ」
「ええ、だから私も、根性勝負をしたんです」
「オレは、こんな尊敬できる女は、初めてだよ」
 佐々木は、握手を求めてきて、肩を軽く叩いてくれた。
 
                    ― おしまい ―
 

 





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